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2018年3月16日(金)更新

リファレンスチェック

外資系企業では、中途採用の際によく行なわれている「リファレンスチェック」。近年、日本の企業でも役員などの幹部を採用する際に行う機会が増えてきています。今回は「リファレンスチェック」の概要と具体的な質問内容も含めてご紹介します。

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リファレンスチェックとは?

「リファレンスチェック(Reference check)」とは、「身元照会」「経歴照会」「推薦」の意味で使われ、企業が中途採用の際に信用調査の一環として、前職への在籍期間や実績、人物像などを第三者に照会を行うことです。

応募書類の内容と事実に違いがないか、また書類選考や採用面接だけではわからない求職者の人物像や、前職での仕事ぶりを確認することで、採用側のリスクを軽減することが目的です。

「リファレンスチェック」の実施対象、実施先、実施者、実施タイミングは企業により様々で、企業の事情にあった方法で行われています。

  • 実施対象
    対象は幹部クラスの採用時に行うことが多いですが、一般スタッフの採用時に行う企業もあります。

  • 実施先
    リファレンス先として求職者と仕事で直接関わった人物として、前職の上司または同僚などに話を伺うことが多いですが、仕事ぶりがわかる人物として前職の取引先の方などの場合もあり、必ずしも求職者と同じ会社だった人物が対象になるとは限りません。どこまでの関係者がリファレンス先として有効か、企業によっても違います。また、リファレンス先を1名とするケースは少なく、情報の正確性や信頼性に欠けがないよう2〜3名以上に対して行うことが一般的です。

  • 実施者
    実施する側は企業の採用担当者またはエージェント(人材照会会社やヘッドハンティング会社など)、外部の信用調査機関が行います。

  • 実施タイミング
    実施タイミングは決まっているわけではなく、書類選考の段階で行う企業もありますが、多くは求職者の採用がほぼ決まり、採用候補者となった段階(内々定以降の段階)で最終確認として行われます。

「リファレンスチェック」は、自分の周辺に外資系企業への転職者がいた場合、世間話などからからその存在を知っている人もいるかもしれませんが、一般的には「リファレンスチェック」の認知度は高いとは言えません。馴染みのなさや、昨今の個人情報に関するセキュリティ意識の高まりもあり、転職先からリファレンスを求められる、あるいは元同僚からの依頼でリファレンス先(推薦人)となることに不安を感じる人も多く、中には応募企業に対し不信感を抱いてしまうケースもあります。

このような無用な誤解を避けるためにも、企業は採用予定者に対し、「リファレンスチェック」の内容と重要性を十分説明する必要があります。

「リファレンスチェック」を実際に行うには大きく分けて2つの方法があり、1つは「求職者自身にリファレンス先の提出を求めるケース」、もう一つは「企業(人事部)自らリファレンス先を探して確認するケース」があります。

求職者自身にリファレンス先の提出を求めるケース

採用側が求職者に複数名のリファレンス先の提出を求め、承諾した求職者は自分の推薦者をリストアップします。リファレンス先は、先に述べたように求職者と仕事で関わっていた関係者が対象であり、求職者の人となりをよく知っていたとしても、家族や大学時代の恩師などは仕事関係者ではないため対象外となります。

提出されたリストをもとに企業側から連絡をとりますが、電話や面会で直接話をする方法だけではなく、求職者がリファレンス先から預かった推薦状を提出してもらうなど、書面で情報を確認する方法もあります。リファレンスチェックを転職エージェントや外部の信用調査機関が行う場合は、採用企業に代わり求職者がリストアップした人物に連絡をし、その結果を採用企業の人事担当者に報告してもらいます。

いずれの場合も、求職者にリファレンス先へ事前説明と許可をとってもらう必要があり、承諾を取り付けた後に連絡先や氏名などをまとめて応募企業に提出してもらいます。

企業(人事部)自らリファレンス先を探して確認するケース

求職者からはリファレンスチェックを行うことに対して同意だけ得て、リファレンス先は企業が主体となって探します。企業から求職者にリファレンス先を伝えることはありません。

このケースの場合、求職者の承諾は得ていても、それは応募企業と求職者の間のみの合意であり、リファレンス先と求職者の間にはなんの約束も合意なされていません。本人の許可を得ていない状態では、リファレンス先が求職者の情報を話すことは違法になることもあるため、調査しても教えてもらえないこともあります。

また、平成27年に改正された個人情報保護法が平成29年5月30日から全面施行となり、「人種」「信条」「社会的身分」「病歴」「前科・前歴」「犯罪被害情報」などは「要配慮個人情報」とされ、事前に本人による承諾が必要となります。さらに同法には「金融分野における個人情報保護に関するガイドライン」も含まれ、金融分野においては「機微情報(センシティブ情報)」に該当する情報については原則「原則として、取得、利用又は第三者提供禁止」となっていますので、履歴書・職務経歴書の内容以上の調査には注意が必要です。

【参考】厚生労働省:個人情報保護法の改正概要
【参考】弁護士法人 三宅法律事務所:改正個人情報保護法:機微(センシティブ)情報と要配慮個人情報(規定例も紹介)(3月26日修正版)

リファレンスチェックが注目される理由

リファレンスチェックが注目される理由は、まさにリファレンスチェックの目的である「採用側のリスクを軽減」に他なりません。その内容は主に2つに集約されます。

信頼関係の構築

一般的にリファレンスチェックが行われる場合は、すでに採用担当者が求職者に対し好印象を持っている状況です。しかし、書類と採用面接だけでは見えていない部分もあり、求職者へ印象が正しいとは限りません。好印象が偽の情報によるものであれば前提が崩れてしまうため、特に経歴に虚偽がないかどうかが一番心配されます。

「転職経験を少なく伝える」「企業の在籍期間を事実より短くまたは長く伝える」「在籍していなかった企業の経歴を記載している」など、リファレンス先への質問ではまず求職者の経歴が正しいことを確認します。また、人物評価ができるような質問を追加することで、第三者からの客観的な評価として情報を得て、求職者に対し採用面接で抱いた好印象に相違がない(あるいはもっと印象がアップする)ことがわかり、企業と求職者との信頼関係が構築できます。

ミスマッチの防止

求職者に情報の虚偽はなくとも、自社が求めている人材にマッチするかどうかが重要になります。特性や特質、職務遂行能力などは、求職者本人が認識しているものと、第三者からの評価が良くも悪くも一致しているとは限りません。

リファレンスチェックにより第三者からの評価情報が複数加わることで、求職者の特徴をより正確に把握し、企業が求めている人材とマッチするかどうか検討ができ、企業と求職者のミスマッチを防ぐことができます。

外資系企業の転職では一般的なリファレンスチェック

外資系企業、特にアメリカ系企業への転職ではリファレンスチェックを行うのが一般的ですが、それには背景として、アメリカでは業績不振による集団解雇は珍しくなく、従業員は常に成長企業へ転職する機会を伺っており、事実、日本では平均勤続年数は11.8年に対し、アメリカは4.6年と1社の勤続期間はかなり短く、人の流動が激しいことが伺えます。

【出典】プロフェッショナルバンク:ここまで違う!日米転職事情

外資系企業では採用した人材についての責任はカントリーマネージャーに課せられます。責任の所在が日系企業よりもはっきりしている上に、採用機会(転職)が多いため、「採用失敗のリスク」を抑える目的で前職での仕事ぶりや特に問題がなかったかなどを知りたいと思うことから、リファレンスチェックが一般的になってきました。

日本国内の外資系企業は日本法人の支社長などがカントリーマネージャーに該当するため、日本国内であろうと外資系企業ではリファレンスチェックが行われる傾向があります。

アメリカ系企業では、採用過程に提出されるレジュメに、経歴や人となりについての評価としてリファレンス先が記載されたリストを提出します。さらに採用の最終段階では調査会社を利用し、犯罪歴がないかなどバックグラウンドを調査します。日本国内においては、先述の「要配慮個人情報」に該当する内容については本人の許可が必要となります。

【参考】MORGANMcKINLEY:外資系転職で求められるリファレンスチェック
【参考】プロフェッショナルバンク:ここまで違う!日米転職事情

リファレンスチェックの質問内容

リファレンスチェックでは、履歴書内容の正誤の確認と、採用候補者(以下、候補者)の人となりや仕事ぶりがわかるような情報を得るための質問をします。よくある質問内容を例として挙げました。

<履歴書・職務経歴書の正誤確認質問の例>

  1. 候補者は御社にて何年勤務されていましたか?
  2. 候補者は当時どのような職務についていましたか?
  3. 候補者が最も貢献した実績はなんですか?
  4. 候補者が御社に入社する前、どこで働かれていたかご存じですか?

<求職者の人となりや仕事ぶりがわるような情報の例>

  1. リファレンス先の人物と候補者の関係について教えください。(上司or同僚or部下or取引先) 
  2. 欠勤は、月に何日程度ありましたか?
  3. 候補者の仕事ぶりはいかがでしたか?また仕事に対する責任感について評価を教えてください。
  4. 候補者の強みと弱みについて教えてください。
  5. 候補者にとって、仕事上、苦手そうに見受けられる人はいましたか?また、それはどんなタイプの人でしたか?
  6. 貴殿はもう一度、候補者と一緒に働きたいと思いますか?その理由も教えてください。

このような質問内容に業務内容や採用ポジション、企業の必要に応じて質問事項が追加されます。

リファレンスチェックののちに内定取り消しする方法

候補者のリファレンスチェックの結果が思わしくなく、内定を出した後のタイミングだった場合、内定取り消しができるかどうかは内定通知書の記載内容によります。多くの企業は内定の際に内定通知書をだし、その中に内定取消事由を記載していると思います。しかし、取消事由に該当すれば簡単に内定取り消しができるわけではありません。

まず、内定とは「始期付解約権留保付労働契約」であると判例上考えられており、内定の時点で「労働契約が成立した」ことになっています。ただし、今すぐ就労するのではなく、一定期間の後に就労を開始するもの(始期付)で、就労開始までの期間に一定の事由があれば労働契約が解消(解約権留保)、つまりは理由によっては内定取り消しが可能です。

ちなみに内々定の段階の場合は内定前であり、この時点では労働契約に至っていないとされているため、法的な効力が発生するのは内定からになります。労働契約が成立となった内定を取り消すにはその理由が「採用内定の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができるか否か」によって判断されます。

仮にリファレンスチェックによって経歴詐称があった場合、内定取消の事由に該当するため契約解消の理由にはなりますが、今後の就業にさし障るような「重大な経歴詐称」であれば内定取消が認められます。実際には「重大」かどうかの判断は難しく、ケースバイケースになることや、取消事由になくとも内定取消が可能なケースもありますので、法務担当者または顧問弁護士に連絡し、今後の対応を相談しましょう。

【参考】弁護士法人 阿部・楢原法律事務所:採用内定とその取消「業務内容と費用」

まとめ

  • 「リファレンスチェック(Reference check)」とは、「身元照会」「経歴照会」「推薦」の意味
  • リファレンス方法としては、企業側からリファレンス先に電話や面会で直接話をする方法と、求職者がリファレンス先から預かった推薦状を提出してもらうなど、書面で情報を確認する方法がある
  • 企業(人事部)自らリファレンス先を探して確認するケースではリファレンス先が求職者の情報を話すことは違法になることもあるため調査しても教えてもらえないこともある
  • リファレンスチェックによって経歴に虚偽が発覚した場合は内定取り消しできるが、就業にさしさわるような「重大な虚偽」である場合に限る

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