連載:第1回 人事は、どうあるべきか?
見るだけでその企業の「経営戦略」がわからない求人票には意味がない【Findy山田裕一朗さん・GE岡田美紀子さん】
求人票は出したけれども、思っていたような人材が採用できない。そんな思いを抱えている企業は、数多くあるのではないでしょうか。Findyの代表取締役の山田裕一朗さんは、オンライン英会話サービス大手の株式会社レアジョブで、経営企画や人事を担当した経験から、AI求人票採点サービス「Findy Score(ファインディ スコア)」のアイディアを思いつき、AIによる採点やアドバイスに従うことで、求人票を改善するという取り組みを実施しています。そんな山田さんが、レアジョブ時代から人事について相談していた相手、リクルートキャリアで数多くの採用支援を行い、現在は画期的な人事制度をいくつも実施しているグローバル企業GEでHRマネージャを勤めている岡田美紀子さんに、いま新たに人事に求められる役割について伺いました。
Findyが求人票に着目する理由
――山田さんが現在運営している「Findy Score」は、各社の求人票を、AIを使って採点するサービスです。求人票のレベルが高いエンジニア求人だけを紹介する「Findy」も展開しています。そもそも、なぜ、求人票に注目するようになったのでしょうか?
山田: 僕自身が、レアジョブの人事を担当していた当時、人口が減る一方のこの時代、 会社組織を運営する上で、一番大切なものは「人」だなと痛感することが多くて 。ただ、その窓口となる採用で、意外と躓いている企業が非常に多いことに驚いたんです。その原因が「求人票」にあるんですよね。
実際に、エンジニアを採用したい企業に話を聞くと、10社中9社が、「エンジニアが採用できない」「誰を採用していいのかわからない」という点で悩みを抱えているんです。それだけエンジニアの採用が難しく、うまく求人票を書けない会社が多い。そこで、無料で求人票の採点をして、書き直してみると、まだまだ知名度の低い会社でも「採用できました」という声が多かったんですよね。
日本企業は、求人票にコストや時間をかけない傾向にありますが、実は求人票が大切だということにもっと気付いてほしいと思い、このサービスを立ち上げました。
――多くの企業が求人票で陥りがちな問題点はどんな点があるんでしょうか?
山田: たとえば、 多くの企業の方は、求人票を書くときに、「スキル」を重視しがち です。たとえば、「サーバーサイドのエンジニア」の要項を見ると、「Rubyでの開発経験がある人」「HTML、JavaScript、CSSの知識がある人」などとスキルだけが羅列されるケースが多い。しかも、それらのスキルも曖昧に書かれています。結果、単純に 一部のスキルだけが合致しても、ミッションやビジョンが共有されておらず、ミスマッチが起こりやすくなってしまう んですね。
岡田: スタートアップ企業だと、業態やサービスの変化も大きくて、社員側も成長や変化が求められます。スキル重視で、一時的な人材不足を補おうとすると、いざ 業態が変わって募集要項とは違うスキルを求められたとき、対応できない人は、辞めてしまう 。でも、採用の時点から、その会社の考える経営の方向性などの、 根底の部分から共感をしてもらえていれば、変化にうまく適応しようとしてくれる人材が来てくれるはず ですからね。
――理想的な求人票とは、どんなものなんでしょうか?
山田: 求人票は、本来、その会社の持つ 経営戦略から事業戦略、そして人事戦略へと落とし込んでいった上で、作成するのがベスト だと思います。
この道筋がしっかりしていれば、企業に相応しい人材にはきっと出会える。でも、多くの企業では、この経営戦略から事業戦略、人事戦略への落とし込みがしっかり確立していないので、求人票にもスキルだけを羅列してしまいがちです。結果、人が来ないんですよね。
岡田: 私もそう思います。経営戦略を踏まえた上で、しっかりと求人票が書けている企業と書けていない企業だと、その効果の差は大きいですよね。
山田: Findyでは実際にハイレベルなエンジニアの求人票のランキングを作っています。その上位の会社を見てみると、第三者が求人票を見ただけで、単なるスキルだけではなく、その 会社の事業を見て、組織をとらえた上で、どんな人材が欲しいのかがをきちんとイメージできる んですよね。
いかに経営戦略を求人票に落とし込めるかがカギ
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