連載:第41回 成長企業 社長が考えていること
世界一給料が高い町工場を作る。社長と社員の「普段の会話」が本質すぎた
東京都墨田区で「世界一給料が高い町工場」を標榜する深中メッキ工業株式会社。毎年行われる給与アップ・賃上げに象徴される「徹底的な人材への投資」は、故・安倍晋三元首相が視察に訪れるモデルにもなりました。社員10人ほどの町工場で、なぜそんな給与形態が実現できるのか?なぜそれを可能にする社員が生みだせるのか?その鍵は、経営者の根本思想と、それが反映された社員との普段の会話の中にありました。
深中メッキ工業株式会社
代表取締役 深田 稔 さん
1987年、獨協大学経済学部を卒業後、明治製菓(現明治)に入社。3年後に家業である深田メッキ工業に入り、2008年に同社3代目の代表取締役に就任。大手企業でもできなかったリチウム電池部品のメッキ加工技術開発に成功したことで、高い評価を得る。複写機部品では世界シェア100%。2005年「すみだが元気になるものづくり企業大賞」、2011年「勇気ある経営大賞」優秀賞。札幌学院大学で客員教授を務めるなど、次世代の育成にも力を注ぐ。
社長になって最初に宣言した「毎年給料を上げる」
――貴社では「毎年給料を上げる」と宣言されていますね。
深田稔 さん(以下、深田): 私は家業に入る前に大企業でサラリーマンを経験したこともあって、給料は黙っていても毎年上がるものという認識がありました。「昇給しない」ことは非常識とさえ思っていました。
ですので、 自分が社長になった時「少しずつでもいいから毎年必ず給料を上げる」と決めた んです。
先代(実母)は、業績が悪い時に給料を下げたこともありました。ですが私が社長になってからは毎年賃上げをしています。もちろん景気・業績によって金額の多寡はありますが、下げることは決してありません。だって、バリバリ働いているのに、去年より下がったら、社員のモチベーションは下がりまくりでしょう?
2013年に安倍元首相が視察に来られた時、若手社員2人と懇談されたんです。安倍さんから「毎年賃金が上がっていますけれど、それで変化したことがありますか?」と尋ねられました。
すると社員がこう答えたんです…この言葉は、安倍さんがその後の初心表明から予算委員会の答弁まで至る所で使ってくれましたね。
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