close

はじめての方はご登録ください(無料)

メニュー

BizHint について

カテゴリ

最新情報はニュースレター・SNSで配信中

連載:第28回 経営危機からの復活

赤字経営、止まらない離職…会社存続の危機は“利益の見える化”と“共感型経営”で乗り越えた

BizHint 編集部 2022年6月6日(月)掲載
メインビジュアル

福井の「まちの文具屋」として70年ほど前に創業した株式会社ホリタ。三代目の堀田敏史社長は「日本一の文具屋になる」という高い志をもって家業に戻るも、社員の離職が相次いだり、仕入れを全て止めるほどの経営危機があったりと、多くの困難に立ち向かってきました。現在では営業店舗すべてが黒字化、文具屋の垣根を超えた「エンターテイメントカンパニー」として成長を続けています。その成長の源はどこにあるのか、詳しくお話を伺いました。

メインビジュアル

株式会社ホリタ
代表取締役社長 堀田敏史さん

福井県福井市出身。早稲田大学卒業後、大和証券株式会社に入社。2008年に家業のホリタへ入社し、2014年代表に就任。売上の約7割を占めていた法人向けの外商部門を少しずつ減らし、現在は約9割を店舗経営に切り替え、2021年度の売上は5億、来店者数は年間約70万人。従業員は60名(2022年4月時点)。現在6店を福井県内に構え、「まちの文具屋」から「エンターテインメントカンパニー」を目指している。


「日本一の文具屋になる!」強い意思で家業に戻るも…

――まず最初に、堀田社長が家業に戻るまでの経緯を教えてください。

堀田敏史さん(以下、堀田): 当社は、1950年、福井県福井市でまちの文具屋さんとして創業しました。僕は2014年に三代目として事業を承継しています。「ゆくゆくは経営者になりたい」という願望はあったものの、親から「家業を継いでほしい」と言われたことはありませんでした。

そういったこともあり、大学卒業後は東京の証券会社に就職。営業としてなかなか結果が出ずに悔しい思いもたくさんしたのですが、入社時に掲げた「社長賞をとる」という目標を4年目に達成できました。そこで「さらに大きな目標を…」と考えたときに、頭をよぎったのが「家業」。斜陽産業と言われている文具業界で、日本一を目指したいと思いました。これだけ大きな目標はないと。

そして2008年、当社に入社しました。社員に対して最初に言った言葉は 「日本一の文具屋になる!地方のディズニーランドになる!」 です。

――地方のディズニーランド…ですか。社員の皆様の反応はどのようなものだったのでしょう。

堀田: 全員ぽかーんとしてましたよ(笑)。あれは今でも鮮明に覚えています。でも僕は本気で目指すつもりでその発言をしましたし、今でもこの想いは変わっていません。

――家業に戻られてみて、会社の印象はいかがでしたか?

堀田: それが正直…会社としてこれでよく成り立っているなと感じましたね…。まず社員の働き方。とにかく無駄な業務が多いことが気になりました。

例えば納品書。当時従業員15人ほどに対してパソコンが2台しかなく、納品書は全部手書きでした。納品量が多く、業務の7割くらいは納品書を書く仕事だったんじゃないか…と感じるくらいで。手書きの納品書を何度も手直しする作業を僕もやっていたのですが、途中から「何やってるんだろう…?この仕事に意味があるのか…?」って思いましたね。

このような 非効率な業務を見直し、しっかり売上を立てられる会社にしないと、とても日本一の文具屋は目指せません。 まずは業務改革から進めようと、様々な業務の進め方をトップダウンでどんどんかえていきました。

綱渡りの赤字経営から脱却。利益をちゃんとだせる会社に

――当時はまだ社長という立場ではなかったと思うのですが、先代(当時の社長)からは、何か意見をもらったりしていたのですか?

堀田: 先代はいい意味で自由にさせてくれましたよ。僕が福井に戻ってきたとき「楽になったなぁ」なんて言ってたりもしました(笑)。

しかし先代を筆頭に、会社全体に「利益を出しすぎるのはよくない」といった風潮があって。家業ではよくある話なのですが、税金対策で赤字になったら自分の身銭を切って資金を回す。楽になったら返してもらうといった「役員借入金」みたいなのがものすごく多かったんです。

利益を生み出すという意識がないので、粗利のコントロールもできていなくて。POSもなかったので棚卸も手書き。皆で必死になって在庫の数を数えて、それでやっと利益がわかるといった、まるで綱渡りのような赤字経営でしたね…。「しっかり利益を出せる会社にする」という点においても非常に苦労しました。

――そのような状況を、どう変えていったのでしょうか?

堀田: まずは社内の事務作業の電子化を進め、全店の粗利を一元管理する 「利益の見える化」を一気に進めていきました。

この記事についてコメント({{ getTotalCommentCount() }})

close

{{selectedUser.name}}

{{selectedUser.company_name}} {{selectedUser.position_name}}

{{selectedUser.comment}}

{{selectedUser.introduction}}