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連載:第70回 リーダーが紡ぐ組織力

人が辞めない組織のリーダーが貫いた、組織改革の軸。「売上8割減」からV字回復への軌跡

BizHint 編集部 2026年2月27日(金)掲載
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イベントの企画・運営・制作などを手掛けるバンセイ株式会社では、かつて「現状維持」の空気が蔓延しており、受動的な社員が多かったといいます。さらには、若手社員を採用してもすぐに辞めてしまう負のサイクルに陥っていたそう。しかし現在は、直近5年間の離職ゼロを実現。さらに、コロナ禍で売上が前年比で約8割も減少するという状況から、過去最高売上へとV字回復を遂げています。その背景には、自ら考え動く社員たちの活躍がありました。同社はなぜ、組織を生まれ変わらせることができたのか。そこには、代表取締役社長 上田浩太郎さんが貫いた、組織改革における一つの「軸」がありました。詳しく伺います。

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5年間、離職ゼロ。人が辞めない組織をつくったリーダーが、組織改革で貫いた「軸」

――上田さんは2009年に専務取締役に就任され、業務全般を担われていたそうですね。その頃の状況について教えてください。

上田 浩太郎さん(以下、上田): 少し会社のことをお話すると、当社はイベントの企画運営・制作やディスプレイの設計施工などを手掛ける企業です。祖父が創業し、今年で83年目を迎えます。私は2001年に入社し、2009年に専務取締役に就任しました。

当時は業界特有の「技術は見て覚えろ」という職人気質が強く、ベテラン社員が仕事やノウハウを抱え込んで若手に譲らない傾向がありました。その結果、 若手はいつまでも「サポート役」に留め置かれ、成長の実感を持てず、不安から退職してしまうケースが後を絶ちませんでした。 私は採用面接を担当していましたが、将来を見込んで採用した社員が、次々と辞めてしまう状況に心を痛めていました。

先代までは完全なトップダウン経営で、管理職の意向のみが重視されていました。 現場の社員は「言われたことをやるだけ」という受動的な姿勢になりがちで、仕事に対するモチベーションも高いとは言えない状態でした。

売上は、長年横ばい。事業の特性上、世界的なイベントを手がけた年には大きく売上が跳ね上がるなど、数字だけに目を向ければ順風満帆に見えていたかもしれません。しかし私は 「若手の躍動なしにこれ以上の成長はない」と強い危機感を抱いていました。 ただ、当時の私は対外的な仕事に忙殺されており、組織改革に注力する余裕がありませんでした。

そして2020年、東京オリンピックの開催で過去最高益を見込んでいたところ、パンデミックが到来。それによりオリンピックはおろかイベントが軒並み中止に……。一気に仕事を失ってしまったのです。

しかしこの期間を、私は「組織を変える時間」だと捉えました。長年の課題であった組織の問題に、徹底して向き合うと決めたのです。そこから、 私は一つの「軸」をもとに、さまざまな取り組みを進めました。その結果、社員たちの主体性は高まり、2021年から現在まで「離職ゼロ」という成果にもつながりました。一般的に離職率が高いと言われるこの業界において、一定の成果を上げられているのではと考えています。

――どのような「軸」を持って、改革を進められたのでしょうか?

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