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イノベーション

2018年7月4日(水)更新

統計家 西内啓氏が語る“最強の学問”統計学を使って人事データを活用する方法(前編)データ分析に基づく意思決定を組織に根付かせるには?

Logo markBizHint 編集部

HR領域で注目が高まっている“人事データ”。気にはなっているが、なかなか活用できていないという方も多いのではないでしょうか? 今回は43万部突破のベストセラー『統計学が最強の学問である』の著者である、西内啓氏に、人事領域でデータ分析を活用するための方法を聞きました。

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西内啓氏プロフィール

統計家。東京大学大学院医学系研究科医療コミュニケーション学分野助教、大学病院医療情報ネットワーク研究センター副センター長、ダナファーバー/ハーバードがん研究センター客員研究員を経て、2014年11月より株式会社データビークルを創業。自身のノウハウを活かしたデータ分析支援ツール「Data Diver」などの開発・販売と、官民のデータ活用プロジェクト支援に従事。著書に『統計学が最強の学問である』『統計学が最強の学問である[実践編]』、人事データ分析についても解説した最新刊『統計学が最強の学問である[ビジネス編]』(ダイヤモンド社)など

データ分析によって変わってきた「優秀な人材」「よいリーダー」の定義

多くの企業が「人事データ活用で改善できないか?」と考える課題を抱えています。しかし実際に、人事データを分析し、改善施策まで結び付けられている企業は、まだまだ少ないのではないのでしょうか?

なかでも最大の課題が「いかに優秀な人材を採用し、最適な配置を行って事業を成長させるか?」というものです。

しかし西内氏は、近年の人事データ分析の結果として、経営学の世界における「優秀な人材」の判断基準が変わってきたと語ります。

西内啓氏(以下敬称略) 「それまでのトレンドでは、優秀な人材かどうかを判断するのにIQのような能力の高い低いが重要視されていました。実際、アメリカでは『ベル・カーブ』というIQに関する本がベストセラーになりましたし。ところがそのトレンドに変化が起きています。

アメリカの経営学者界隈では70年代から『よいリーダーの資質とは何か』という研究がずっと行われてきました。ところが、最近の研究では『確かにIQは高いに越したことはないが、それ以外の能力や特性として、発揮されるパフォーマンスと一貫した関係が見られるものはほとんどない』ということが分かってきたのです。

そのため現在では、テーマが『個人の能力と仕事や環境の相性』などのマッチング、あるいは『チーム内のコミュニケーションの改善』でパフォーマンスを上げようとする方向にシフトしています。

つまりポイントになるのは個人の性質と仕事の『相性問題』なんです。例えば単純にチームに同じメンバーが居続けるだけでも、徐々にパフォーマンスは上がります。

『能力の低い人のクビをガンガン切って、上位に入る優秀な能力を持つ人を採用する』というやり方は、採用コストの割に効率的ではない、という考え方が最近のトレンドなのです。

さらに細かな分析の成果として、業務のタイプ別に『よいリーダー』の要件が異なるということも分かってきています。例えば『定型的な業務をする部署』と「非定型的な業務をする部署』では、よいリーダーは違うのです。

非定型な業務がメインの部署では『問題を切り分けて判断できる人』がよいリーダーです。『こんな手順でやっていこう。君はこれをやってくれ』と指示ができ、その判断に結果がついてくれば拍手喝采となります。

一方で定型的な業務がメインの部署では『エモーショナルなサポートができる人』がよいリーダーです。

具体例として、コールセンターの電話対応や店頭での接客などは定型的な仕事です。

そうした領域では、メンバーに対して「大丈夫? 疲れてない? たまには休んで気張らしでもしなよ」などと声をかけ、モチベーションを保つことができるリーダーの方が、従業員の満足度が高く、生産性も高くなる傾向にあるのです。

一方で、定型的業務の部署に真反対のリーダーが来ると、混乱の元にもなるようです。

西内 「異なったタイプの業務を扱う部署のマネージャーを一緒くたにして分析すると、お互いのよい部分が打ち消されてしまい、結果として『よいリーダーの定義はよく分かりません!』となるんです。

よく『他社でこの事例が成功したようだから、ウチでもやってみよう』と、そのまま導入して失敗するのは、会社間のビジネスモデルの違いや人の相性問題が影響しているからです。

きちんと自社の人材に焦点を当ててデータ分析をするだけで、非常によい結果が得られる可能性は十分にありますから、試す価値があると思います」

人に関する生産性を伸ばすためには「相性」に注目して分析するのがカギと話す西内氏。このアプローチならば、それぞれの会社に合った解決策が見つかりそうです。

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