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連載:第3回 リンクアンドモチベーション麻野耕司の人事論

「働き方改革」で変わる人事の役割。リンクアンドモチベーション麻野耕司の人事論(後編)

BizHint 編集部 2017年1月22日(日)掲載
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リンクアンドモチベーション執行役員として中小ベンチャー企業向けの組織人事コンサルティングなど、クライアント企業の「会社づくり」に携わる麻野耕司さんに、世論が盛り上がりを見せている「働き方改革」と人事の果たすべき役割の変化について伺います。

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働き方が多様化しています。金銭やポジションだけでは従業員・求職者のモチベーションを満たすことができなくなっている昨今。企業や人事は働き手のさまざまなニーズに、どうやって応えていけば良いのでしょうか。

今回お話をうかがうのは、株式会社リンクアンドモチベーションの麻野耕司さん。同社が行っているのは、組織と社員のモチベーションを変える組織変革コンサルティングです。創業以来今まで2,000社以上ものクライアント企業の人事部を変えてきました。

麻野さんは入社後に管理部門に配属され、人事のマネジャーや社長室マネジャー長など、自社の約7年間「会社づくり」に奔走されました。現在は執行役員として中小ベンチャー企業向けの組織人事コンサルティングを行うなど、クライアント企業の「会社づくり」に携わっています。

そんな麻野さんに、人事に求められること、人事が目指すべきキャリア、良い人事の特徴を語っていただきました。

前編中編はこちら)

後編では、企業が改善すべき課題と良い人事について紹介します。

時代遅れの価値観では良いマネージャーは育たない

今、日本の多くの会社が「働き方改革」の真っ最中です。多くの人事の方がスマートワークやダイバーシティへの対応に取り組まれていると思います。しかし、「働き方改革」の成功に向けて人事の方々の真価が問われる課題は、その先にあると考えています。それは、現場マネージャーの変革です。

他の国を例をあげると、アメリカなどでは人事や経営だけではなく、現場マネージャーが組織開発を行います。しかし日本の場合、現場マネージャーは組織開発以前に、マネジメント力がそもそも高くありません。そして「働き方改革」は現場のマネージャーの負荷を更に高めます。

これからの人事は、現場のマネージャーへのマネジメント支援を強めなければなりません。そこを怠れば、「働き方改革」は業績向上に繋がらず、かつての「ゆとり教育」のように後戻りすることになりかねません。

現場マネージャー変革のポイントは2つあります。

ポイント1:部下への業務の丸投げを止め、タスクマネジメントに取り組む

いままでの日本は長時間労働が当たり前。「社員の時間は無限である」という認識を持ち、上司は部下に業務を丸投げしてきました。結果として、部下のタスクマネジメントにきちんと取り組むマネジャーは非常に少なかった。

アメリカなら、部下の仕事の範囲や役割をきちんと定めるのは当然のこと。仕事の目的、対象、役割、期限、基準、納期、方法を定めるのは上司の責務です。

これまでは部下に丸投げしても何とかなりました。しかし、現代は働き方改革において労働時間の短縮が至上命題となる企業が多い。今後、そのようなマネジメントはまかり通らないでしょう。

ポイント2:多様な価値観を理解し、メンバーマネジメントに取り組むこと

また、日本の上司には「部下は同じ価値観である」という認識を持っている人が大勢います。これは「新卒・男性・正社員」という近い属性で上司が部下のマネジメントに取り組んできた名残です。今後は労働市場の流動性が高くなり、かつ多様性を組織内に取り込んでいくため、女性、高齢者、外国人、有期雇用なども視野に入れ、「部下は違う価値観を持っている」という前提を今まで以上に強く持つ必要があります。

アメリカは個人主義の国。タレントマネジメントシステムがある一方で、集団主義的なエンゲージメントシステムも沢山あることを不思議に思っていました。しかし、前提としてアメリカでは同じ会社の人たちでも、みんな違う価値観を持っていると認識しているのですよね。

これは産業医の大室正志さんが仰っていたことですが、その認識は家族観にもあらわれていています。夫婦も「他人」と思っているから、奥さんにも“I love you”と言ったり、花束を贈ったりする。「他人」なので、ちゃんと気を配らないといけないんですね。一方、日本の夫婦は「家族」なので、「家族で褒め合うなんて照れくさいよ」といいます。

会社も一緒で、アメリカ人は会社の中に「他人」がいると思っています。「他人」なので、サーベイ(意識調査)をしないと何を考えているかわからないと思っています。

上司と部下は違う価値観を持った「他人」同士。言葉に出して褒めないと相手には伝わらないという考えもあります。だから、アメリカ人は上司が部下を言葉に出して褒める。一方で日本人は上司と部下は同じ価値観を持った「家族」という前提だから、褒めるのが照れくさかったりする。実は私も上司にあまり褒められてこなかったので、部下を褒めるのは苦手です。今後、現場のマネジャーは部下の話を聞く、部下を褒めるといったメンバーマネジメントをこれまで以上にしていかないといけませんね。

人事はこういったマネージャーのステップアップをサポートする必要があります。

人事の役割はどう変わっていくか

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