連載:第12回 建設業
建設技術者は苦戦の1年、2020年は企業の有効求人数が10か月連続で前年を下回る
2020年の今年は、コロナ禍による経済活動の停滞が、あらゆる業界を直撃しました。ただし、バブル期に相当するほど国内の建築需要は高止まりしており、建設業界は比較的影響が少なく安定的と見られていました。しかし、イベント延期・中止などにともなう施設維持の稼働率低下、住宅やインフラ設備の建築見合わせなど、じょじょに沈下している側面もあります。
建設技術者の有効求人倍率の対前年比較(厚生労働省「一般職業紹介状況」より作成)
全体では、10か月連続で有効求人数が前年同月を下回る
人材紹介事業を行うヒューマンタッチは、最新の人材市場に関する公的データ(対象期間:2020年1月~10月)をまとめた「ヒューマンタッチ総研~Monthly Report 2020年12月」を発表しています。それによると、建築・土木・測量技術者といった「建設技術者」における「有効求人倍率」(有効求職者数に対する有効求人数の割合)は、5倍以上の高い数値をキープしていますが、2020年2月以降は9か月連続で前年同月を下回っています。やはり、新型コロナ感染の拡大、外出自粛要請、緊急事態宣言の発出といった動向が影響を与えたと考えられます。
建設技術者の有効求人数と有効求職者数の対前年同月増減率(厚生労働省「一般職業紹介状況」より作成)
企業の求人意欲を表す「有効求人数」、実際に職を求めている技術者の数を表す「有効求職者数」を前年と比べると、「有効求人数」はすべての月で前年より低下していますが5月より回復を見せています。一方で「有効求職者数」は6月から大幅な増加が続いており、バランスが取れているとはまだ言えない状態でしょう。
建設業の就業者数・雇用者数は前年より増加、新規求人は減少傾向
建設業の就業者数と雇用者数の推移(総務省「労働力調査」より作成)
建設業の新規求人数の推移(新規学卒者とパートを除く、厚生労働省「一般職業紹介状況」より作成)
2020年10月時点での建設業の就業者数・雇用者数、公共職業安定所(ハローワーク)における新規求人数を見ると、就業者数は500万人、雇用者数は408万人で、ほぼ横ばいですが前年より増加しています。一方で、新規求人数は7万5,888人と減少に転じていました。
建築・土木・測量技術者の雇用関連指標の推移(常用・除くパート、厚生労働省「一般職業紹介状況」より作成)
建築・土木・測量技術者の有効求人倍率は、前年同月よりも1.16ポイント低い5.86倍。前述のとおり9が月連続で前年を下回っています。
建設・採掘の職業の雇用関連指標の推移(常用・除くパート、厚生労働省「一般職業紹介状況」より作成)
一方、建設・採掘の職業の有効求人倍率は、前年同月比0.43ポイント低下して5.49倍で、こちらも8か月連続で前年同月を下回っています。
想定外の事態で前年比では低調な数字となっていますが、いずれも回復傾向は見せており、状況の変化次第ですが、建設業界の人材事情は好転すると思われます。
プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001105.000005089.html
https://kensetsutenshokunavi.jp/souken/report/202012.php
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