連載:第9回 流通・運輸
中小・零細企業の「2024年物流問題」、制度改正されたのに「行っている施策ない」が8割超え
働き方改革の一環として、2024年4月からトラックドライバーの時間外労働について960時間が上限に規制されるようになりました。過剰な労働・残業がなくなるとされる一方で、物流の人手が足りなくなり輸送能力が不足する「2024年物流問題」が発生しています。長時間労働になりやすい業種であり、特に中小・零細企業はその影響を大きく受けています。
制度改正に懐疑的な人たちが4割以上に
フリーウェイジャパンは、中小・零細企業の代表取締役や個人事業主161人、従業員104人の計265人を対象に「2024年物流問題に関するアンケート」を実施しました。
まず全体に「物流2024年問題について、どの程度知っていますか?」と聞くと、「理解している」48.3%、「どちらとも言えない」27.9%、「聞いたことがあるが、理解していない」15.5%、「深く理解している」5.7%、「まったくわからない」2.7%となりました。
2024年の制度改正にともなって行っている施策はあるか
一方で、物流業界のドライバー以外、管理者以外の回答者243人に「2024年の制度改正にともなって行っている施策はあるか」と聞くと、「ない」86.0%、「ある」14.0%で、物流業界以外の関心の低さがうかがえます。「取引先の物流企業から価格改定の打診が来たか」についても、「いいえ」70.0%、「はい」30.0%で、物流側の動きもにぶいようです。「物流業界の制度改正について賛成かどうか」を聞いても、「賛成」57.2%、「反対」42.8%で、制度改正そのものに疑問を投げかける人が目立ちます。
2024年の制度改正を日頃意識しているか
「2024年の制度改正を日頃意識しているか」を聞くと「はい」は35.0%。そのうち具体的な対策としては「再配達とならないように、到着時間にオフィスにいる、もしくは日付指定をする」と再配達防止策をとっている人が67.1%。「まとめ買いにより、一度に荷物を受け取るようにする」43.5%も高めです。
2024年の制度改正によって自社の経営・運営に影響があるか
また「自社の経営・運営に影響がある」と考える人たちはほぼ半数で、「配送費が値上がりし、原価が圧迫されているため」67.6%、「配送の遅延・在庫不足などが起き、顧客満足度の低下が起きているため」32.4%、「部品などの到着が以前よりも後ろ倒しとなり、製造物の納品が遅れているため」31.5%、「郵送依頼できる機会が減り、作業が滞っているため」9.3%といった声があがりました。
2024年の制度改正に伴い行っている施策はあるか
さらに「2024年の制度改正に伴い行っている施策がある」と回答した26人に具体的な内容を聞くと、「納品タイミングの見直し」「作業フローの見直し・改善」各42.3%、「サービスの値上げ」38.5%、「顧客満足度に繋がるサービスの開発」7.7%、「その他」15.4%という結果でした。
2024年の制度改正に対して、現時点でメリットを感じているか
逆に、物流業界のドライバーとその管理者22人に「2024年の制度改正に対して、現時点でメリットを感じていますか」と聞くと、「そう思わない」63.6%、「どちらかと言うとそう思わない」27.3%、「どちらかというとそう思う」9.1%、「そう思う」0.0%と、制度改正は受け入れられていないことが判明しました。その理由については、「人件費や経費・コストが増えたから」55.0%、「2024年問題に対しての会社・社員の意識が低く、特に何も変わっていないから」40.0%、「労働時間が減ったことで、1時間当たりにこなさなければならない仕事が増え、忙しくなったから」35.0%、「残業代が減ったから」20.0%、「作業フローを見直した結果、新しいルールが浸透せず逆に混乱を招いているから」15.0%など、さまざまな意見がありました。
また「物流業界において、もっとも課題だと思うこと」という質問に対しては「給与の低さ」45.5%、「人手不足」「人材の高齢化」「労働環境の質」各18.2%と、労働環境の悪さを訴える声が多くあがりました。
調査方法
調査期間:2024年7月26日~8月1日
調査方法:インターネット調査
調査対象:中小企業/零細企業の従業員・代表取締役、個人事業主
調査人数:265人
プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000052.000061444.html
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