連載:第40回 建設業
建設業界の「2024年問題」約9割が影響あり、さらに加速する人手不足問題が深刻化
建設業が直面している「2024年問題」とは、働き方改革関連法によって2024年4月から「時間外労働時間の上限規制」が適用開始されたことで生じている、さまざまな課題を指すものです。規制開始から数ヶ月が経過し、各所で労働環境の整備が進められていますが依然として十分ではなく、今も業界全体がその影響に揺らいでいる状況です。
約9割が「事業活動に影響がある」
日鉄物産システム建築株式会社では、日鉄物産システム建築会の会員780社(1,037名)を対象に「建設業界における2024年問題の影響に関する調査」を実施しました。
2024年4月に適用された「時間外労働時間の上限規制」から数ヶ月が経ち、現在の事業活動への影響の有無を聞いたところ、全体の87%が「影響がある」と回答し、そのほとんどが経営に支障をきたすマイナス面の影響であることがわかりました。そして「影響がない」という13%の回答の中には「現時点ではまだわからない」というコメントが多くみられ、今後どのような影響が出るのか懸念している様子が見て取れました。
以前にも増して人手不足を感じるようになった
新ルールの規制が始まってからの変化として、大多数を占める93%が「以前にも増して人手不足を感じている」と回答しました。日本の建設業界では、少子高齢化による労働人口の減少や労働者の高齢化が急速に進んでおり、慢性的な人手不足が大きな問題になっていましたが、さらに追い打ちをかける形で深刻化していることがわかりました。
さらに踏み込んで、現在の切迫した「人手不足」が引き起こしている最も大きい影響を聞いたところ、全体の72%が「人件費の増加」を選択しました。稼働率を維持しながら労働時間の減少を人員拡充で補う場合には避けられない問題であり、以前より人件費が増えたことで利益が圧迫されている背景があります。
次いで64%が選択した「工期の長期化」についても同様に、労働時間に制限が設けられていることが工期の遅れに直結していることがわかります。そして半数以上の53%が選んだ「人材の採用難・育成の負担」は、建設業が不人気業界であることで新規の採用が難しいことと、現場の仕事はマニュアル化されていない部分も多いため技術や知識の継承が難しく、次世代を担う後継が育ちにくいことが影響していることがわかりました。
システム建築は「人手不足問題の解決策の一助になり得る」95%
「システム建築」とは、建築部材を規格化することで合理的な設計を行い、現場の省力化を実現する建築工法です。高品質でありながら、低コストで工期を短縮することができる仕組みになっています。
システム建築が2024年問題の解決策の一助になると思いますか?という質問に対しては、95%が「なり得る」と回答し、システム建築への期待の高さがうかがえる結果となりました。
システム建築の魅力的な点について聞いたところ、全体の約8割が「工期が短縮できる」と「コスト削減ができる」の2点を選び、大多数の票が集中する結果となりました。この2点は、2024年問題で深刻化している人手不足問題が及ぼすマイナス影響の項目と一致しており、まさに今求められている現代に適した建築工法であることが明らかになりました。
調査概要
調査対象:「日鉄物産システム建築会」会員企業780社1,037名(ゼネコン、設計事務所、商社などの建設関連会社)
調査方法:アンケート調査
調査期間:2024年5月31日~7月10日
調査企画:日鉄物産システム建築株式会社
プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000125407.html
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建設業
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