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連載:第4回 [LINE WORKS×BizHint]変わる、中小企業の働き方

非対面で組織を強くした経営者たちの決断。従業員を守る新しいコミュニケーションの形

BizHint 編集部 2020年7月14日(火)掲載
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「お客様と対面で接することが必須」の業界では、コロナ禍や、それに伴う休業で「仕事が止まってしまうのでは?」という懸念がありました。しかし一方で、新しい働き方を模索しながら、前進し続ける企業も存在します。今回は、コロナ禍での休業という不測の事態の渦中にあった観光業界・美容業界の経営者による、本音トークをご紹介。「会えなくても仕事が進む、強い現場の作り方」をテーマに、新しい生活様式の中での従業員とのコミュニケーション、非IT業界におけるデジタル化のヒントを探ります。

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(画像左)
株式会社和心亭豊月
専務取締役 杉山慎吾さん

1979年、箱根生まれ。神奈川県立小田原高校卒、東洋大学経営学部卒業後に現(株)ミリアルリゾートホテルズに入社。ディズニーホテルにてハウスキーピング、人事、営業部署に勤務後、2009年に実家である旅館「和心亭豊月」入社。2018(平成30)年より現職。

(画像右)
株式会社アンジェラックス
最高人事責任者 CHRO 大杉一真さん

上智大学文学部史学科卒業後、米アイダホ州にあるボイシー州立大学へ留学。経済学部首席卒業。帰国後、ITベンダーに就職するも家業立て直しのため、株式会社アンジェラックスに入社。倒産寸前の会社をV字回復に導く。「働きがいのある会社」ランキング、小規模部門で3年連続ベストカンパニー、女性部門1位を獲得。


本当に大切なものを守るために、休業を選ぶ

―――それぞれの事業内容と、コロナの影響を教えてください。

杉山: 当社(和心亭 豊月)は箱根・芦ノ湖にある温泉旅館です。お客様の40%がリピーターで、客室は15室、従業員は20名ほどです。コロナの影響は1月のインバウンドの減少から見え始め、3月の全国的な自粛の動きを経て、4月6日に休業決断に至りました。4月の売上は前年比マイナス95%、5月もマイナス85%です。

大杉: 当社(アンジェラックス)は、全11店舗を展開するエステティックサロンです。コロナへの対応としては、4月8日の緊急事態宣言の発令を受け、東京と福岡の店舗は休業しましたが、長野県内(スパを除く)は感染者数が少なかったこともあり営業を継続。4月の売上は前年比でマイナス50%ほどでした。

―――休業を決断した背景や、お客様への対応はどのようなものだったのでしょうか?

杉山: 休業を選択した理由は、大きく2つあります。

1つは、観光業界ならではの考え方とも言えますが「評判管理」です。万が一、お客様が当館で「新型コロナウイルスに感染した」となれば、当館だけではなく、箱根という観光地全体に好ましくない評判が立ってしまいます。これは絶対に避けなくてはなりません。

旅館業は実は政府から自粛要請は出ていない業界ではあったのですが、このリスクを考慮して、多くの旅館が休業という選択をしました。当館は5月に営業を再開しましたが、6月いっぱいは休業という選択をされた旅館もあります。

箱根の温泉旅館、和心亭豊月。2020年3月より休業が現実味を帯び、緊急事態宣言の2日前に休業を決断。(2020年7月現在は営業再開)

もう1つは、「旅の楽しさ」です。コロナ状況下であってもお客様が宿泊を希望してくださるのは本当にありがたいことでした。しかし3~4月時点で、コロナウイルスがどういったものか、またどんな対策が有効なのかもわからない中で、お客様と従業員が不安を抱えながら接するのは「はたして楽しいことなのか?」と考えたのです。

「旅は楽しいもの」。これは当社の哲学でもあります。それが胸を張って言えない状況となり、緊急事態宣言を待たず休業を決めました。例えば、「お客様の体温を測る」という行為についても感染拡大防止策として頭では理解できるのですが、お客様を試しているような一面も感じられ、うまく割り切れなかったんですよね。

日々状況が変わる中、本当に混乱していましたが、休業という選択は「箱根」「お客様」「当社の哲学」、そして「社員」を守るためのものでした。

―――アンジェラックスでは、お客様に何か対応はされましたか?

大杉:東京の4店舗と福岡の1店舗の休業期間中には、リピーターであるお客様すべてに、社長直筆で手紙を書きました。エステティックサロンですから、日頃からお客様には「定期的にお越しいただくことが大事です」とお伝えしているのに、こちらから門を閉じてしまって申し訳ございません……と、正直な気持ちをしたためました。何より大事にしたのは、誠実に対応することです。逆にいえば、それしかありませんでした。

エステティックサロン・アンジェラックスが休業中に送付した手書きの手紙。何より誠実な対応を優先した。

一方、長野・軽井沢の店舗は、消毒などを徹底し、3密を避ける形で営業していました。しかし、いわゆるマーケティングができません。営業はしていても「来てください」が言えない、というのは非常につらい状況でした

経営者も従業員も「不安」。解消するために「コミュニケーションの手段」を確保する

―――日頃から、お客様だけでなくES(従業員満足)や人材教育も重視した経営をされているお二人ですが、休業中、従業員とのコミュニケーションはいかがでしたか?

杉山: 3月ごろに休業というものを現実問題として意識し始めた時、頭をよぎったのがまさにコミュニケーション・連絡手段でした。

休業?…スタッフが出社しない…3密避ける…集まれない?

あれ?どうやって社員と連絡取ればいいんだ?電話しかないじゃないか?

仕事は進むのか?

いや、仕事が進むかどうかどころか、社員は元気なのか…?

それが「確認できなくなるかもしれない」という不安に、まず襲われました。

当社で一番大切なものは「社員」です。その社員の状態がわからないことが、これほどまでに不安なことなのかと痛感しました。これは多くの経営者の方々にも共感いただけるのではないかと思います。

―――どうされたのでしょうか?

杉山: 当社では3月の中旬にビジネスチャット「LINE WORKS」をフリープランで導入しました。社員と会えない可能性がある中で、何よりも「コミュニケーションの手段・インフラ」を確保した形です。結果的には、これにより社員への連絡や、集まれない状況下での一体感を維持することができました。

コロナの前から、口頭やホワイトボードで日々行われている業務のやりとりを「ナレッジとして蓄積したい」と思い、複数のグループウェアなどを比較検討はしていたんです。結局LINE WORKSを選んだわけですが、導入当初は、正直ためらいも残っていたんです。

―――ためらい、とは?

杉山: LINE WORKSは、LINEとは別の、法人向けのサービスであることはわかりながらも、仕事にLINE系のものを使うなんてとんでもないという印象があって(笑)。また、経営者としては業務に使うなら会社で端末を支給する方がいいだろうと考え、運用も迷っていました。

しかし、その話を社員にしてみると「スマホ2台持ちなんて面倒くさい」「要はLINEみたいに使えるものですよね?」「全然いいですよ!」と、あっけらかんとした答え……。私がカッチリ考えすぎていたと言いますか、経営側と社員側のギャップにも気づくことができた一件でしたね。

そんな経緯もありつつ、「本当に集まれなくなるかもしれない」という状況の中で、「誰でもすぐに確実に使える」ということが、私自身にとっても大きな価値に変わりました。実際に、休業の延長連絡、シフトの調整など、自粛中も本当にLINE WORKSが活躍しました。もしあの時、LINE WORKSを導入していなかったら、社員も私も大きな混乱に見舞われ、非常に不安な期間を過ごしていたと思います。

和心亭豊月でLINE WORKSを使って社員に向けて発信された休業期間中の連絡の一部。画面はPC版

これは災害時でも同じだと思います。大切な人と連絡が取れる、コミュニケーションが取れるというだけで、不安は大きく軽減できます。今後も起こるであろう有事の備えとしても、経営者は「社員とリアルタイムにコミュニケーションが取れる手段」だけは、しっかり確保しておくべきだと思います。

―――アンジェラックスさんでは、社員とのコミュニケーションはいかがでしたか?

大杉: 当社は2016年から、社内のコミュニケーションインフラとしてLINE WORKSを活用し、すでに浸透・定着しています。ですから、「休業で出社できない」という理由で連絡手段に困ることはありませんでした。日頃からの業務体制が、有事においてもそのまま活きた形ですね。

しかし、この「コミュニケーションの中身」が課題になりました。

というのも、当社は東京・福岡では休業し、長野では営業。また各店舗を見ると、ベテランの社員は出社する一方で、まだ修行中の社員は出社していないなど、店舗・社員によって置かれている状況がバラバラ、という事態になりました。

これは、不公平感を生みます。「他の店舗が休業している分、自分たちががんばろう!」という前向きな声が上がる一方で、「他店は休業しているのに、なぜこの店舗は営業しているのか?」「コロナが広がる中で、なぜ会社はリスクがある場所に自分たちを出社させようとするのか?」という不満も聞こえてきました。

この時期サービス業全般で問題となった、いわゆる「出社したくない問題」です。これは我々をはじめ、お客様と接することが必須の業態では、経営者が正面から向き合わなければならない課題だったと思います。

今後の会社のこと、自分のこと…社員もやはりみんな「不安」なんです。

そして、少しでも社員の不安を取り除くためには、トップが「きちんと話す」しかありません。今、会社はどういう状態なのか?経営側は何を考えているのか?経営側と社員との距離を縮める必要がありました。

有事での事業運営。出社する社員と自宅待機する社員、どちらに対しても経営側からのコミュニケーションが重要になる

具体的には、休業期間中は度々、LINE WORKSのトークでZoomのURLを発信し、全社員に対し社長が直接話をしました。今回のコロナという危機に際しては、まさに「経営者が何を考えているか?」「それをどう伝えるか?」、姿勢が問われたのではないかと思います。

例えば「withコロナ」という言葉の意味です。社員の中には「目の前の1~2ヵ月を耐えれば、もとに戻る」と考えているメンバーもいる一方で、経営側はまったく違います。少なくとも1年はかかる、長期戦になると考えています。こういった認識の相違を、きちんと説明して埋めていくこと。それが非常に大切だったのではないでしょうか。

―――アンジェラックスでは、数年前からLINE WORKSで業務連絡をしているとのことですが、コロナ禍特有の活用の仕方はありましたか?

大杉: 「マスクや消毒薬があそこのお店で売ってたよ!」といった刻一刻の事態への対応が飛び交ったのはもちろんですが、休業中の職業訓練の内容を、一つのスレッドにまとめるといった使い方もしていました。遠隔地でありながら、テクノロジーの力で地域を超えて研修をし、レポートをまとめるのにも大変助かりました。

LINE WORKSを使って目的に応じたグループを作成。研修の感想の投稿や、体温の投稿など(アンジェラックス)

LINE WORKSの良いところは、トークグループを増やせるところです。プライベートのLINEを仕事に使ってしまうと、部署のグループ1つの中ですべてやりとりしなければいけないケースがほとんどだと思います。会社用であるLINE WORKSなら「アンジェラックスのLINE WORKS」を作り、その中にトークルームを自由に作成できるので、研修用グループのほか、毎日の体温報告グループなどもできました。

LINE WORKSを通じて社員と遠隔でコミュニケーションできる体制は整っていたので、「そこで何をするか?何を伝えるか?」ということを思案した期間でしたね。

「直接会う」は手段にすぎない。「きちんと伝えようとすること」こそが大事

―――コロナ禍の中、LINE WORKSを初めて使い始めた豊月さんでは、オンラインでのコミュニケーション構築について気づいたことはありますか?

杉山: まず、コミュニケーションは「直接会うことだけじゃないんだ」ということです。

文字でもコミュニケーションは取れるし、むしろ「文字で残す」ことが、会社全体のベクトルを合わせることに役立ちます。言葉で伝えると、どこかで意味や解釈が変わってしまいますが、「文字」であればそれがありません。これは、全員で使わざるを得ない状況の中で実際にやってみたからこそ、得られた気づきです。

さらには、「一人ひとりのリアクションが見える」ことも大きな気づきでした。今回、社員全員への休業連絡は、LINE WORKSを使って行いました。そうすると、全員から異なるリアクションが返ってきたのです。もしこの連絡を会議室で行っていたとしたら、社員のリアクションは「はい」だけだったかもしれません。LINE WORKSを使ったことで、社員それぞれの反応が見えたことは新鮮な驚きでした。そして、リアクションを返してくれたことが純粋にうれしかったですね。

「直接会う」コミュニケーションは大事ですが、それだけではない。手段は二の次で「きちんと伝えようとすること」こそが大事なんだとあらためて気づかされました。その手段の一つが、今回はたまたまLINE WORKSだった、ということです。

LINE WORKSを使うことで、一人ひとりのリアクションがわかる。写真も簡単に投稿でき、コミュニケーションが促進される。「情報化社会ですね!」の声も。(和心亭豊月)

―――社員の方の反応はいかがでしたか。

杉山:LINE WORKSの導入後、社員が「新メニューできた!」と料理の写真を投稿しました。するとみんなが「すごい!」「おいしそう!」などのコメントを寄せていました。その中に「デジタル革命ですね!」という投稿がありました。まさに当社にとっては革命でした。新メニューができたことを「伝えたい」社員がいて、その気持ちが全社員の手元のスマートフォンに伝わっている。数か月前にはあり得なかった光景です。

オンライン上で会話できる場ができたことで、社員の誕生日に社長がハッピーバースデーを歌ったり、社員が自粛中の過ごし方を投稿するなど、休業で会えない環境を補う新しいコミュニケーションも自然に生まれました。新鮮でしたね。

Zoom飲みは正直つまらない!オンラインでは「ダメな所を出す」ことが難しい

―――アンジェラックスでは、組織運営やチームのコミュニケーションについて新たに気づかれたことはありますか?

大杉: 「やっぱりリアルって最高だよね!」ということでしょうか(笑)。当社は会社の成長のうえで「チーム作り」を大事にしているのですが、そのためには人と人の「絆」は不可欠です。そういった「絆」を作るためには、リアルに勝るものはないと感じましたね。

例えば今年は新入社員研修をオンラインでやり、参加者の自宅にUber Eatsで食事を届けるなど、コロナ禍に応じた工夫も行いました。

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