close

はじめての方はご登録ください(無料)

メニュー

BizHint について

カテゴリ

  • Icon mailmaga
  • Icon facebook
  • Icon twitter

最新情報はメールマガジン・SNSで配信中

連載:第4回 中小企業の危機管理術

債権保証サービスとは?売上代金の回収が難しい時の備えに

Logo markBizHint 編集部 2020年5月10日(日)掲載
メインビジュアル

2020年5月の大型連休を終えても、新型コロナウイルスの影響による混乱は収束の兆しが見えません。取引先の倒産や支払遅延も、起こり得るリスクとして想定している企業も増加しています。そういったリスクへの備えの一つとして活用できるのが「債権保証」サービスです。債権保証サービスは、取り扱い会社や契約内容によって中身が異なります。当記事ではそのメリット・デメリットについて、事例も交え解説していきます。

メインビジュアル

1.債権保証サービスとは

(1)概要

債権保証サービスとは、自社が持っている取引先への債権(主に売掛債権)に対して、あらかじめ保証会社・保険会社と契約し保証料を支払うことで、倒産や支払遅延の際に保証を受けられるものです。提供している会社は多くあり、金融機関の系列会社から、独立系の会社まで様々。保証料は取引先の信用度によって決まることが多く、信用度が高い取引先ほど保証料は低くなります。また、全額保証とするか、一部保証とするかはサービス提供会社によって異なり、契約の際に選択できることもあります。

似たような制度に「ファクタリング」がありますが、その中の「保証型のファクタリング」も債権保証サービスに含まれます。また、損害保険会社が「保険」という形で売掛債権を保証するサービスについても、当記事では債権保証サービスの一部として解説していきます。

(2)買取型のファクタリングとの違い

債権保証サービスと類似の制度に「買取型のファクタリング」があります。「買取型のファクタリング」は、倒産等の発生に関わらず売掛債権をサービス提供会社に譲渡し、手数料を差し引かれた金額で入金されます。そのため、債権保証サービスでは倒産や支払遅延が起こらないと現金を得ることができない点が、買取型のファクタリングとは異なる点です。

なお、買取型のファクタリングは、一般的に通常の回収サイトよりも早期に現金化ができるため、資金繰りの改善のために利用されるケースが多いです。注意点は、既に破産等が発生している取引先の債権については買取ってもらえないこと、3社間取引(自社、取引先、ファクタリング会社)の場合には取引先に買取型のファクタリングに加入していることが知られてしまい「資金繰りが厳しいのでは?」と思われてしまうことが挙げられます。

(3)利用するための手順

債権保証サービスを利用するための手順は、おおむね以下の通りとなります。

①債権保証サービス提供会社の選定

債権保証サービスを提供している会社には金融機関のグループ会社、独立系など様々な会社があり、それぞれ特徴があります。選定時点でまず確認したほうが良いのは 「保証金の支払条件」 になります。多くの会社の保証金の支払条件は「破産手続きの開始等の法的倒産」「手形・小切手の不渡り」「営業の停止や本店事務所の閉鎖」等に限定していることが多く、「支払遅延」で保証金が出る会社は多くありません。標準プランにはないが、特約で対応可能なケースもあります。

契約後に、「せっかく契約したのに、保証金が支払われなかった……」ということのないように、検討時点で確認しておくのが望ましいでしょう。

②保証契約条件の確認・契約締結

契約条件については様々あり、取り扱い各社ごとにも特徴があります。契約条件については、特約等で変更できることもあります。代表的な契約条件については、「(4)契約時に確認することは」を参照ください。

また、保証料については契約時に予納という形で一括支払となる場合もあります。

③保証候補の審査

保証契約後に保証対象の取引先を追加する場合、債権保証サービス会社の審査を受ける必要があります。一定額までは無審査で良いとしている会社もありますが、一般的には即日~3営業日程度の審査期間を要します。

④取引状況の報告

売上高や売掛債権残高に対して保証料を課金する場合、月次で取引状況の報告を行うケースが多いです。また、支払遅延などが発生した場合には速やかに報告をしないと、その後倒産等が発生した場合に保証金が支払われないことがあるため、注意が必要です。

⑤保証履行事由の発生・報告

倒産等の保証履行事由が起きた場合には、債権保証サービス会社に速やかに報告・申請し、保証金支払いの手続きを行います。

⑥保証金の支払

保証金の支払申請に基づき、保証金が支払われます。保証金の支払いと同時に保証会社への債権譲渡や求償権の移転が行われるケースが多いです。

(4)サービス選定時に確認することは

債権保証サービスを契約する際には、以下の点を確認しながら契約手続きを進めましょう。

個別保証か包括保証か

個別保証は、取引先ごとに保証の有無を検討し、個別に保証料率を債権保証サービス会社が見積もる方法です。取引先の信用度が高いほど、低い保証料率となります。また、任意で保証先を選択できるのも特徴の1つです。

包括保証は、ある一定の基準で取引先をグルーピングし、まとめて一律の保証料率で保証する方法です。

保証対象の入替が可能か

社内外の状況が変わると、債権保全の必要性も変わってきます。しかし、保険等では契約期間中は保証対象を入れ替えられない場合があるため、注意が必要です。

保証料の減額があるか

契約期間中に債権保証サービス会社の意向で保証上限額が減額されることがあります。減額されて困る場合は、特約等で「契約期間中の減額は行わない」ようにする必要があります。

課金方式

大きく分けて「売上高もしくは債権残高」「保証限度額」に対して保証料を課金する方式となります。

売上高もしくは債権残高への課金は、売上高が変動する取引先が多い場合に有効です。ただし、毎月保証会社に対して取引実績報告をする必要があります。

保証限度額への課金は、取引実績報告を行わなくてよいケースが多いです。売上高が変動する取引先が少ない場合に有効です。

保証割合

債権が全額保証されるのか、それとも一部(90%等)なのかを確認しましょう。場合により、消費税は保証対象外となっているケースもあります。

返戻金があるか

契約期間中の保証金支払額一定の基準以下だった場合、保険の無事故返戻のようなイメージで保証料が返金されることがあります。

保証料率

保証料率は契約条件によって異なりますが、月1~10%程度が一般的です。収益に対して過大な保証とならないようにしましょう。

2.メリット・デメリット、活用事例

(1)メリット

①与信管理の負担を軽減し、営業活動に注力できる

債権保証サービスを契約することによって、煩わしい与信管理を債権保証サービス会社が代行してくれているともいえます。また、従来の社内基準では難しかった取引先とも取引ができるため、他社との差別化にもなります。

②債権回収の負担軽減

債権事故が起こった際の売掛代金の回収等には多くのコストがかかります。債権保証サービスを契約することで、回収コストを低減させることができます。

③経営の安定化

2020年4月現在、新型コロナウィルスの影響で企業経営は難しい舵取りを強いられています。このような状況で、債権保証サービスを活用することで経営の不安定要素を緩和することができます。

(2)デメリット

①保証料が発生する

保証対象債権の状況に応じて、保証料がかかります。保証料が高すぎて逆に経営を圧迫しては本末転倒です。収益とのバランスを取る必要があります。

②希望通りの保証限度額とならないことがある

債権保証サービス会社の審査を受けるため、取引先の状況によっては希望通りの保証限度額にならないことがあります。

(3)活用事例

筆者が経験した事例を紹介します。

ある取引先の代理人(弁護士)から、債務超過で法的手続きに入るという連絡がありました。しかし、債権保証サービスに加入していたため、破産手続開始決定後に消費税を含めた債権全額を債権保証サービス会社から保証金として約150万円受け取ることができました。仮に債権保証サービスに加入していなかった場合、支払督促や現地に足を運んでの回収作業、煩雑な社内の決裁手続等を行わなければならなかったため、多くの手間や時間を節約できたといえます。

また、今まで社内の与信承認に長ければ1週間ほどかかっていましたが、債権保証があるため、手続きが1日で終わるようにもなり、機会損失の減少にもつながりました。

(4)債権保証サービス提供会社

債権保証サービスを提供している会社をいくつかご紹介します。

イー・ギャランティ株式会社

東証一部上場の保証会社です。自社の状況に合わせて保証スキームをアレンジすることが可能です。

株式会社ラクーンフィナンシャル

東証一部に上場しており、EC事業や決済事業も手掛けています。債権保証サービスとして「T&G売掛保証」「ウリホ」という事業規模に応じたサービスを展開しています。

リスクモンスター株式会社

東証二部に上場しており、与信管理に強みを持つ会社です。そのため、与信管理を強化しつつ、保証を受けたい場合におすすめです。他社と提携して、債権保証サービスを展開しています。

3.まとめ

冒頭でも記載した通り、新型コロナウィルスの影響により社会全体が混乱しており、不安定な状況は当分の間続く見込みです。そのため、今後取引先の倒産や支払遅延は増える一方だと推察されます。

例えば、売上1億円、利益1,000万円の会社の場合、利益率は10%となります。この会社で500万円の売掛債権が貸し倒れとなった場合、この損失を埋めるには500万円÷10%=5,000万円の売上アップが必要となります。それはこのご時世なかなか難しいのではないでしょうか。だからこそ、今回解説した債権保証サービス等を活用して、債権保全を行うことで収益を確保することは重要だといえます。

売上を拡大しづらいこんな時代だからこそ、債権保全をしっかり行いたいものです。

当記事が皆様のお役に立てれば幸いです。

(執筆)
株式会社プロデューサー・ハウス 鎌市 航太郎
中小企業診断士

この記事についてコメント({{ getTotalCommentCount() }})

close

{{selectedUser.name}}

{{selectedUser.company_name}} {{selectedUser.position_name}}

{{selectedUser.comment}}

{{selectedUser.introduction}}

仮登録メール確認