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コンプライアンス教育の重要性や目的、階層別の内容や実施方法などご紹介

BizHint 編集部 2018年10月31日(水)掲載
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昨今のグローバル化や様々な業界での不正が明らかになるなど、企業におけるコンプライアンス教育の重要性は高まっています。ここでは、コンプライアンスの教育目的と内容、教育方法など、教育効果を高めるためのポイントについてご紹介します。

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コンプライアンス教育とは

ここでは、コンプライアンス教育の重要性や教育の対象者についてご紹介します。

コンプライアンスとは

コンプライアンスは、「 法令遵守 」と訳されますが、この「法令」が指し示すのは、公的な「法令」に加えて「 就業規則をはじめとした社内規程 」と「 企業倫理や社会的規範 」も含まれます。

つまり、企業がこうした 「きまり」を守りながら健全な事業運営を行うこと を表しています。

【関連】コンプライアンスとは?意味や違反事例、対策法まで徹底解説/BizHint

コンプライアンス教育の重要性

現在コンプライアンス教育の重要性が高まっていますが、それには時代背景の変化が強く関係しています。

【コンプライアンスが重視されることになった背景】

  • 法令を守ることと捉えられていた頃はそれを徹底すれば良かったが、昨今では社会的規範や企業倫理も含まれるようになり、守るべき対象や範囲が広がった。
  • グローバル経営が主流になり、海外企業が取引や競合の相手となったことで、日本より厳しい法的内容やリスクが増えた。
  • 人材の流動化やITの進化により文書管理がデジタル化したことで、情報漏洩リスクが高まっている。
  • スマートデバイスの普及により、インターネットやSNSで問題や不正が拡散するリスクが生まれた。
  • 司法制度改革などにより不正が発覚した場合の、責任追及の厳格化や説明責任が強く求められるようになった。
  • 不祥事に対する消費者の見方が厳しくなったため、コンプライアンス違反による企業存続のリスクが高まった。

こうした時代の変化から、企業規模に関わらず法的リスクや予想される事業活動のリスクを予防するためにコンプライアンス経営に取り組み、従業員に対するコンプライアンス教育を行うことが重要になっています。

コンプライアンス教育の対象は全従業員

コンプライアンス教育は、 トップや経営幹部をはじめ、社員全員に対して行う必要があります 。トップは自社におけるコンプライアンスの浸透をリードする役割があり、幹部社員以下の従業員は、仕事を通してコンプライアンスを実行していきます。

社員一人ひとりがそれぞれの役割のなかでコンプライアンスを保持するため、 関連する法律や社内規定など必要な知識と正しい倫理観を身につけることが重要 です。

コンプライアンス違反の原因

従業員がコンプライアンス違反をしてしまう原因として考えられるもの一例として、以下が挙げられます。

  • 従業員のコンプライアンス意識の欠如
  • コンプライアンスや危機管理の基準(ルール)や体制の不在
  • 悪い情報を忌み嫌う企業文化と問題や不正を隠ぺいする企業体質

こうした原因から起こる不正行為をなくすためには、不正を行う動機と機会をなくし、不正行為を正当化できない環境を整えることが有効です。

そのためには、コンプライアンスに関連する社員教育の他にも、内部統制の一環としてコンプライアンス体制の整備を行うといったリスクマネジメントによる危機管理を行うことも重要です。

【関連】内部統制とは?意味や目的、メリット、実施基準をご紹介/BizHint
【関連】「リスクマネジメント(リスク管理)」とは?手法・事例もご紹介/BizHint

コンプライアンス教育の目的

コンプライアンス教育を形骸化させないためには目的を明確にしておくことが大切です。ここでは、コンプライアンス教育の主な目的についてご紹介します。

倫理観を身につける

コンプライアンスを継続して守るためにベースとなる考え方や判断軸として最も重要なのが、 社員の倫理観 です。コンプライアンスに含まれる企業倫理や社会的規範は法令や社内規定のように明確にルール化されていないことについても、人としての良識や自社の行動指針に基づいて判断し、適切な行動をとることが求められます。

そのため、社会人経験が浅い新入社員や若手社員には、企業コンプライアンスの基本方針を伝え、業務における倫理観の重要性についてきちんと教育する必要があります。そのほか、具体的な事例を挙げて教える研修などの機会を設けるほか、相談に乗るなど高い倫理観が身につくよう工夫を行うことが大切です。

コンプライアンス違反のリスクを知る

コンプライアンスの重要性を社員の意識に根づかせるためには、コンプライアンス違反によって企業や当事者が受ける影響の大きさから、コンプライアンスを守ることの重要性を知ってもらうことが有効です。

違反によるリスクとしては、社会的信用を失う、社会的制裁を受ける、事業衰退や倒産の危機などがありますが、どれも 信頼を回復して企業経営が再び軌道に乗るまでには長い時間がかかります 。こうしたリスクについて様々な実例から習得することは、コンプライアンスを実行する当事者意識を醸成するきっかけにもなります。その上で仕事に必要なコンプライアンスの知識について教育をすることが効果的です。

役割に必要なコンプライアンスの知識を身につける

コンプライアンスを実行するには、コンプライアンス意識や倫理観に加え、役割に応じて実務に必要な知識を身につける必要があります。 裁量が大きく、不正に関わるリスクが増える管理職や経営幹部などは特に重要 です。

こうした役職に就く社員はそれぞれ上司として部下をマネジメントする立場にあるため、模範となる態度を示すことが、一般社員のコンプライアンス意識や正しい知識の定着化に大きな影響を与えます。職場で起こる不正や問題を未然に防ぐためにも、知識を身につけておくことが必要です。

コンプライアンス教育の内容一例

コンプライアンス教育では、企業倫理、企業コンプライアンスの基本方針やルール、体制についてなど、コンプライアンスを守るために必要な基礎知識と心構えを伝えていきます。

コンプライアンスの重要性

コンプライアンスの重要性を認識してもらうために有効な内容として、以下が挙げられます。

  • コンプライアンスが重視されるようになった社会的背景などその理由
  • 時代と共に変化したコンプライアンスに対する認識とその内容
  • コンプライアンス強化に取り組む企業事例

こうした内容からコンプライアンスやその背景の変化について知ることで、コンプライアンスの重要性を十分に認識してもらうことが大切です。

コンプライアンスを守るメリット

コンプライアンスを守るメリットを認識してもらうために有効な内容としては、以下が挙げられます。

  • 社会的信用やブランドイメージが高まり企業利益に繋がる
  • 長期的な企業成長が期待できる
  • コンプライアンスの維持はCSRの一環になる

こうした内容から企業の利益面だけでなく社会的存在の面についても知ってもらうことで、企業はもとより社会の一員として守る重要性を改めて確認してもらうことが大切です。

コンプライアンスを守る態度

コンプライアンスを守るために相応しい業務態度を認識してもらうためには、以下のような教育が必要です。

  • コンプライアンスを守るための企業や個人の役割
  • 今の時代に求められる社会的規範や常識
  • 日々の業務における意識や行動をコンプライアンスの視点からチェックするときのポイント
  • 企業コンプライアンスの基本方針やルール、体制について

こうした内容から、コンプライアンス維持に必要な行動指針や判断軸、自身の態度を振り返るチェックポイントを理解してもらいましょう。

コンプライアンス違反の事例

コンプライアンス違反として問題になるケースを事例から学ぶことで、より深い理解を促していきます。具体的な事例の一部として以下となります。

  • 情報セキュリティに関連した企業秘密や個人情報などの漏洩など
  • 著作権などに関連したソフトウエアの不正コピーや写真などの無断使用など
  • ハラスメントに関連したセクシャルハラスメントやパワーハラスメントなど
  • 企業倫理を含む倫理観に関連した金銭などの業務上横領や私的流用、飲酒運転など

このような、どの会社にも共通した一般的なコンプライアンス違反事例の他に、自社の事業に関連する違反事例についても共有しておくことが大切です。

コンプライアンス違反の罰則

コンプライアンス違反によって、企業が存続の危機にさらされるほどの大きなダメージを受けることを十分に認識してもらうことが大切です。一例としては以下となります。

  • 違反者が企業から受ける処罰と場合によっては行政から受けるの罰則の例
  • 企業が取引先や顧客、株主など社会的信用を失った事例
  • 企業が受ける行政からのの罰則やその事例
  • 企業や違反者が損害賠償など訴訟を起こされる可能性とその事例

階層別のコンプライアンス教育

コンプライアンスは、職種など職位といった役割に応じた必要な知識が異なります。そのため、階層別に内容をわけることで高い効果を発揮します。

一般社員・新入社員へのコンプライアンス教育

新卒や社会人経験の浅い新入社員については、先に挙げたコンプライアンスに関する 基本的な内容について、例を挙げながら噛み砕いて伝えることで理解を促す ことが大切です。

また、それ以外の一般社員については、基本的な内容に加えて 個人レベルのコンプライアンス違反を起こさないための教育が重要 になります。例えば、SNS使用上のポリシーやルールを含めたITリテラシーや金銭の不正行為のルールや処罰など、違反者になるリスクを感じられる問題や事例をテーマにするなど、 当事者意識を持たせる工夫をするとよいでしょう

管理職へのコンプライアンス教育

管理職になると部下を持つ立場になるため、部下に対して模範となる態度を示し、 コンプライアンス違反が起きた場合に対処するための知識を身につける必要があります

また、役職に就くことで裁量が増えるため、 社内だけでなく取引先との金銭などの不正に関与するリスク があります。こうした管理職に起こりがちな不正防止のために、関連する法令についての知識とそれに関連する実際に起きた事例や可能性のある例を示すなど、 具体的な内容で理解を促す工夫をするとよいでしょう

役員へのコンプライアンス教育

企業経営に深く係わる役員は、経営者としての責任と役割について改めて認識し、 内部統制の一環として社内コンプライアンスの基本方針、ルールの策定、体制の構築と運用についての知識を身につける 必要があります。

また、自社株を保有する役員の場合にはインサイダー取引など自身が不正行為に関わる可能性についても、事例などから学んでおくことが大切です。

コンプライアンス教育の実施方法

ここでは、多くの企業で用いられるコンプライアンス教育の方法についてご紹介します。

社内行動規範やマニュアルの共有

コンプライアンスの基本についての教育では、社内行動規範やマニュアルを従業員全員に共有することが必要になります。特にトップから企業コンプライアンスの基本方針を示すと周知として効果的です。

また、トップ自らが模範的な態度を示してコンプライアンスの重要性を情報発信することは、意識の醸成と共に教育の機会としても有効になります。

コンプライアンス研修の実施

コンプライアンス研修によって教育を行う場合には、社内研修や外部講師などを招いてのカスタマイズ研修、研修会社が行う集合研修に受講するなどの方法があります。

社内講師による研修

座学を中心に、企業倫理やコンプライアンスの基本方針とその内容など、企業コンプライアンスに関する基本的なテーマについて行われるのが一般的です。この場合の講師は、コンプライアンス担当者、社内の専門家、経営トップなどが相応しいでしょう。

外部の専門家や講師による研修

階層別やテーマ別の場合には、専門的な知識や多くの事例に明るい外部の専門家や研修講師に依頼すると効果的です。

特に役職別や部門別の場合には、現場で実際に悩んでいる問題や関連する事例を取り上げて、グループに分かれて判断や対処法について話し合う実践的な研修を行うと、研修効果が高まります。

デジタルを活用した教育

対面での教育以外にも、パソコンやスマートフォンを活用したeラーニングも有効です。こうしたITやデジタル教材を活用するメリットは、都合に合わせて受講することができるため、従業員全員の参加が可能なことやコストパフォーマンスが高いことが挙げられます。

コンプライアンスの啓蒙活動

定期的な情報発信による啓蒙活動は、従業員に当事者意識を持たせ、コンプライアンス意識を醸成させる有効な方法です。業界内や自社で起きたコンプライアンス違反の事例や社内ルールの変更についての情報共有だけでなく、コンプライアンスに関わった社員の話を共有するのも効果的です。

例えば、コンプライアンス文書の作成に関わった社員の思いや、苦情対応のなか激励を貰った窓口担当者の話など、コンプライアンスの必要性や重要性を実感している者の話は人の心に響きやすく、最も記憶に残ります。

コンプライアンス教育の効果を高めるポイント

ここでは、教育効果を高めるポイントについてご紹介します。

対象者に適切な教育内容を選定する

教育の対象者に合わせて適切な内容を選定することは、コンプライアンス教育の効果を高めるためのベースとなるポイントです。

教育内容は対象者が身につける必要のある知識や心構えであり、各自がコンプライアンスを実行することは企業の継続的な発展に密接に関わることを理解してもらうために、教育方法も含めて適切かどうかを検討した上で実施する必要があります。

教育目的と教育後のゴールを明確にする

コンプライアンス教育においても、その目的と教育後のあるべき姿であるゴールを明確にして、教育時に共有しておくことは重要なポイントです。実際には、企業コンプライアンスに対する現状を説明し、それに対して教育を実施する目的とゴールとして教育後の取るべき態度や身につけるべき知識について伝えておきましょう。

これは受講者が教育に対して意欲的に取り組むきっかけになります。また、企業コンプライアンスが保持されている具体的なイメージや、既にコンプライアンス強化に取り組み実績を上げている企業事例を伝えることも効果的です。

全社員に当事者意識を持たせる

コンプライアンスは社員一人ひとりが守る必要があるため、各自に当事者意識を持たせる工夫をするとことがポイントです。

例えば、実際に現場で抱えているコンプライアンスの悩みをケースとして取り上げる、あるいは不正の可能性がある違反事例をテーマにするなど、関連性のある例を取り入れて自分事として捉えやすくするとよいでしょう。

タイミングごとに教育を実施する

コンプライアンス教育は、昇格のタイミングや1年ごとなど定期的に実施することがポイントです。実施のタイミングは他にも、自社または同業他社の不祥事や規制緩和や法の施行または改正、倫理観の異なる海外へ進出、事業再編に伴う組織改革などに合わせて行うのも有効です。

また、企業の成長か衰退かの節目となるタイミングで教育を実施するのも効果的ですが、企業運営が順調なときに突然行うと、社員の不信や不安を招いて逆効果になるため注意が必要です。

まとめ

  • コンプライアンス教育が重要なのは、コンプライアンスを守るために必要な正しい倫理観を身につけて適切な判断に基づく行動を社員全員ができるようにするためです。
  • コンプライアンス教育や啓蒙活動を定期的に続けることが、企業コンプライアンス強化に繋がります。
  • コンプライアンスの教育効果を高めるには受講者に目的とゴールを共有した上で業務上必要な内容を具体的で分かりやすく伝えるほか、適切なタイミングで実施することがポイントです。

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