連載:第1回 組織改革 その根幹
「V字回復のヒントは牛丼」。吉野家で学んだ「一つの教訓」が組織を成長させた


物流業界で長年事業を展開してきた野村運送。しかし2009年、社長に就任した野村孝博さんは厳しい現実に直面しました。リーマンショックの余波を受け、会社は1,500万円の赤字を抱え、90人のドライバーの多くは「自分さえよければいい」という意識が強く、組織としての一体感は希薄だったのです。この危機的状況から脱却できた背景には、二つの重要な学びがありました。一つは、大学時代の吉野家アルバイトで学んだ「教訓」、そしてもう一つは京セラ創業者・稲盛和夫さんの経営哲学でした。野村さんはこの二つの軸を融合させ、経営改革に着手。地道な改革の積み重ねによって赤字は解消し、売上高も社長就任時の9億円から16億円とV字回復。その道のりを詳しく伺います。

株式会社野村運送
代表取締役社長 野村 孝博 さん
1974年生まれ、中央大学理工学部卒業。大学在学中の1993年から吉野家でアルバイトとして勤務。卒業後、運送会社で5年間の経験を積み、2002年に家業である野村運送に入社。2008年に稲盛和夫氏が主宰する「盛和塾」に入塾。2009年、社長に就任。著書に『吉野家で学んだ経営のすごい仕組み 全員が戦力になる!人材育成コミュニケーション術』がある。
吉野家のアルバイト時代に得た「教訓」が改革のヒントに
――社長就任当時、財務状況と組織の状態はいかがでしたか?
野村孝博さん(以下、野村): 2009年に社長に就任した時、リーマンショックの影響で前年まで3,000万円ほどの黒字だったのに、急転直下で約1,500万円の赤字に転落。また、当時の我々の業界では月間293時間という拘束時間の上限があったのですが、その上限を100時間以上オーバーするドライバーもいました。
ただ、法令順守や財務状況以上に深刻だったのは組織の問題でした。当時は約90人の社員がいて、そのうち9割がドライバー。彼らの多くは「一匹狼」気質で、「自分さえよければいい」という考えが強かったんです。例えば誰かが休みたいと言うと、代わりを頼んでも「なんで俺が行かなきゃいけないんだ」と断られる。チームワークという概念がほとんどありませんでした。
――そのような状況を変えるきっかけは何だったのでしょうか?
野村: 実は大学時代、吉野家でアルバイトをしていたのですが、 そこで得た教訓が改革の大きなきっかけになりました。
ある日私はお店のレジ下に置いてあった、レシートを発行する新品の機械を壊してしまったことがありました。私は恐る恐る店長にそのことを報告したんですが… 。 店長から思わぬ「一つの教訓」を得ることになったのです。
――その「一つの教訓」とは?
この記事についてコメント({{ getTotalCommentCount() }})
{{selectedUser.name}}
{{selectedUser.company_name}} {{selectedUser.position_name}}
{{selectedUser.comment}}
{{selectedUser.introduction}}
バックナンバー (1)
組織改革 その根幹
- 第1回 「V字回復のヒントは牛丼」。吉野家で学んだ「一つの教訓」が組織を成長させた