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連載:第78回 経営危機からの復活

年商同等の8億円被害から4年でV字回復・過去最高益。絶対に諦めなかったリーダーの貫徹力

BizHint 編集部 2024年12月19日(木)掲載
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2019年に本社工場が全焼、その直後にコロナ禍に見舞われ売上は7割減。次々と襲う倒産危機からV字回復し、過去最高の売上、利益を出すまでに復活した会社があります。栃木県さくら市でレンタルおしぼり事業を手掛ける株式会社三協です。「災難は会社を一気に変革させるチャンス」――倒産危機をポジティブに捉え工場を再建、それを機に将来への道を拓きました。同社代表取締役 添田泰弘さんに話を聞きました。

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株式会社三協
代表取締役社長 添田 泰弘 さん

大学卒業後、父の経営する株式会社三協に入社。2019年、2代目代表取締役に就任。栃木県を中心に10営業所を展開。主な著書に『どん底からの会社再建記』『心が折れない! 飛び込み営業8のステップ』(ともに同文舘出版)がある。


本社工場が全焼の地獄絵図。「もう終わりだよ、たたんだ方がいい」

――2019年12月26日の早朝、漏電出火で鉄骨2階建ての本社工場が全焼したとのこと。当時の状況を教えてください。

添田泰弘さん(以下、添田): 「会社が火事だ!」。深夜3時に電話があり、駆けつけた時にはすでに消防隊員が消火活動を行っていて、工場からは煙が立ち込めていました。その後1時間ほどで、真っ赤な炎に包まれ工場は焼け落ちてしまったのです。

「もう終わりだよ…」 。現場に駆けつけた母はそうつぶやきました。そしてその翌日、 「会社はたたんだ方がいい」 と告げられました。

客観的に見れば、その光景は倒産を予見させるには十分なものでした。しかし私にはなぜか、そんなイメージはまったく湧いてきませんでした。黒こげになって崩れ行く工場と真っ赤な炎を前に、不思議な気持ちが起こっていたのです。

「前にも見たことがある…」。デジャブのような感覚とともに「もしかすると自分は、これをなんとかするために生まれてきたのではないか」。使命感にも似た、再建への思いが胸の底から湧き上がってきていました。

――再建にあたっては、何から手をつけられたのでしょうか?

添田: 本社工場ではすべての製品を生産していたのですが、火災の翌日からゼロになり、約8000軒のお客様に届けられなくなりました。

しかし、私たちの仕事はお客様の信用あってこそです。どんな手段を使ってもお客様におしぼりを届けようと考えた結果が、同業他社の力を借りることでした。同業者におしぼりの生産をお願いして、自分たちは配送に徹することができれば、お客様の信用には応えられるし急場はしのげる。依頼のためにかけずり回りました。

――社員の様子はいかがでしたか?

添田: 表には出さないものの 「会社、やばいんじゃないか」「倒産する」と水面下では噂が流れていました。

それを耳にして「これはまずい」と、私はあえて真っ黒こげになった本社に社員全員を集めて語りかけました。

「もう何にもないけれど、再建のあかつきには、前よりもずっと良い会社に変える。生産性も上げる。元に戻すのではなく、それ以上の会社にする。だから一緒にがんばってほしい」

――「前よりもずっと良い会社に」と語った裏に、具体的な方策はあったのでしょうか?

添田: …正直ありませんでした。しかしその場では、そう言うしかなかったのです。

ただ1つだけ、私が可能性を信じられる根拠がありました。 それを伝えたことは、社員が前を向く助けになったかもしれません。

――何を伝えられたのでしょうか?

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