連載:第36回 リーダーが紡ぐ組織力
人が辞めない組織のリーダー、唯一の責務。あなたの部下は仕事に誇りを持っていますか?
どうすれば社員が辞めず、やりがいや誇りを持って働いてくれるのか――。この問いを紐解く、ヒントとなる企業があります。それが大阪府に本社を置く東海バネ工業株式会社。かつては、「3K(きつい・汚い・危険)だけど、仕事が見つからないから」とイヤイヤ入社する社員も多く、モチベーションも低い状態だったという同社。しかし、現在の従業員満足度は高水準、「この会社で働くことが誇りだ」という社員で溢れる組織に変わっているそう。結果、離職率ほぼゼロの「人が辞めない組織」に変化を遂げています。同社は、どのようにして人が辞めない組織を作り出したのか。そして、顧問の渡辺良機さんが語る「リーダーの唯一の責務」とは?詳しく伺いました。
東海バネ工業株式会社
顧問 渡辺 良機さん
1945年大阪府生まれ。近畿大学卒業後、実家の鉄工所での勤務を経て、1973年遠縁であった東海バネ工業に入社。1983年、二代目社長に就任。2018年より現職。東海バネ工業は、1934年創業。手作りでなければできない高品質・高難度のバネ製造を実現。多品種微量生産体制で、1個のフルオーダーメイド発注も可能。従業員数90名(2024年7月現在)、売上高18.8億円(2023年12月期)。2008年、高い収益性を持つ事業に与えられる「ポーター賞」を受賞。2022年、日本でいちばん大切にしたい会社大賞 中小企業庁長官賞ほか、多数受賞。
人が辞めない組織に必要な、たった一つの責務
――貴社は、「離職率がほぼゼロ」の中小企業として知られていますね。
渡辺 良機さん(以下、渡辺): はい。 新卒採用の社員に関して言うと、この5年間の離職率はゼロ です。それ以外の社員についても、 やむをえないライフイベント等での退職を除けばほぼゼロ 。どこへ行っても通用するような技術を身につけた職人も多くいますが、当社で働き続けてくれています。
――新規学卒就職者の就職後3年以内離職率は、平均で3割を超えると言われます。そんな中、なぜ貴社は「人が辞めない会社」となっているのでしょうか?
渡辺: 要因は、さまざまあると思います。が、やはり 一番は社員が自分の仕事に誇りを持っていること でしょう。当社の社員たちは「この会社で働くことが誇りだ」と言ってくれます。見学に来られた経営者の方からも「若手社員が、誇りと自信を持って仕事について説明している姿が印象的」と感想をいただくこともありますよ。
それによって、従業員満足度も高水準 となっています。定期的に調査を実施しているのですが、いつも「他社と比較して満足度が高い」という評価をいただいています。最新の調査では、5点満点中3.6点でした。2.5点を超えていれば合格と言われる中で、健闘しているほうではないかと思います。
――以前から、そのような組織だったのでしょうか?
渡辺: いえいえ。僕が入社した当時は、「3K(きつい・汚い・危険)だけど、就職先が見つからないからイヤイヤ入社した」という人ばかりで。当然、 モチベーションも最低の状態でした よ。
――そうだったのですね。「仕事に誇りを持つ」これは、会社にとっても社員にとっても幸せなことだと思います。どうすれば、このような組織に変化させられるのでしょうか?
渡辺: 僕は、 社員が仕事に誇りを持てるような組織を作るために、リーダーがやるべきことは「たった一つ」 だと考えています。
――それは何でしょうか?
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