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2019年1月9日(水)更新

年俸制

年俸制とは、給与を1年単位で算出する給与体系のことです。成果主義制度と連動させることで、業績をあげた社員に報いることが可能となります。今回は、年俸制の特徴や対象となる社員、年俸制を導入した際に生じるメリット・デメリットについて解説をしていきます。また、残業代やボーナス支給の有無、導入時の注意点も順に紹介をしていきます。

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年俸制とは?

年俸制とは、給与を1ヶ月単位ではなく、1年単位で算出する給与体系のことです。プロ野球選手の契約更改の時期に耳にすることも多いでしょう。

年俸制という表現から、一年に一度支払われる給与形態なのかと思われる場合がありますが、実は年俸制の場合でも月額支給が行われています。年俸額として提示された金額を月単位に分割した上で、毎月給与として支払われるという仕組みが取られているためです。

年俸制の背景

特殊な賃金形態というイメージのある年俸制ですが、実は昨今では一般企業でも採用されるケースがみられているのです。

平成26年度の厚生労働省「就労条件総合調査」によれば、年俸制を採用している企業数は全体のおよそ9.5%という結果が発表されています。前回の調査時(平成22年度)の13.4%より若干減少してはいるものの、依然として活用する企業が存在しているということが分かります。

【参考】厚生労働省ホームページ:平成26年就労条件総合調査結果の概況:結果の概要(3 賃金制度)

年俸制と月給制の違い

前述のように、年俸制を採用した場合でも実際の支給形態は月額となります。しかし、いわゆる月給制と同様の内容であるかといえば、そうではありません。ここからは、年俸制と月給制の違いについて見ていきましょう。

年俸制と月給制の明確な違いは、「1年間に支払われる給与が事前に確定されているかどうか」という点です。年俸制の場合、リアルタイムでの企業業績や個人の成果の如何にかかわらず、その年の賃金は事前に確定しているものから変動することはありません。たとえば、プロ野球選手がシーズン途中で怪我をしてその年の働きがゼロになったとしても、すでに確定している年俸額は減額されずに支払われる、ということからも分かります。

一方月給制は、年間の給与総額が年度末まで確定しないという特徴があります。それは、ボーナスや賞与などに見られるように、企業の業績や景況如何によって変動する賃金体系であることが理由となります。最悪の場合、その年のボーナスがゼロになるという可能性も内包した賃金体系といえます。

その他給与体系

従業員へ支払う給与形態には、年俸制や月給制の他にも、次のような内容を挙げることができます。

日給制

一日単位で支払額が定められ、働いた日数に沿った形で給与が支払われる給与形態です。あくまでも「一日」が単位となるため、働いた時間によって日ごとの給与が変動することはありません。

日給月給制

一日あたりの給与額があらかじめ決められている点は日給制と同様となりますが、働いていない時間の給与額が控除される点が異なります。具体的には、遅刻や早退、欠勤した時間帯は、支払額に基づいた計算の上、差し引きが行われます。

いわゆる「ノーワーク・ノーペイの原則」に基づいた制度であるといえるでしょう。

【関連】ノーワーク・ノーペイの原則とは?遅刻時などの賃金控除計算法もご紹介 / BizHint HR

時給制

時間単位で支払額が定められ、働いた時間に応じて給与が支払われる給与形態です。出勤した日数ではなく、働いた時間で算出されることに特徴があります。

年俸制と成果主義

年俸制は、年度始めの段階で年間給与額を確定させる制度であるため、「成果主義」という人事評価制度と相性が良いとされています。

成果主義とは、自らが会社のために生み出した成果が給与に反映されるしくみのことです。前年の成果や能力を基に給与を算出する年俸制と馴染みやすく、その結果、社員のモチベーション維持に効果を発揮する制度とも言われています。

一方、これまで一般的な制度として採用されていた月給制は、年功序列に基づく「年功主義」と連動して日本経済の賃金体系を構築してきました。しかし、この方法を採用した場合、従業員ごとの成果を給与に反映させることが難しいため、従業員のモチベーションに繋げにくいという大きなデメリットを抱えていました。

年俸制により成果主義を取り込むことで、社員のやる気を引き出し、会社を発展させていく方法も有効な手段の一つとなることでしょう。

【関連】成果主義の意味とは?日本企業におけるメリット・デメリットをご紹介 / BizHint HR

年俸制の対象者とは

年俸制の対象となる従業員の種類に制限はありません。したがって、役員クラスから一般社員まで、どの従業員に対しても導入することは可能です。

ただし、年俸制の性質が、社員の上げた実績に沿って賃金額を定めるものであるため、決められた労働時間に応じて働く一般社員に対して導入されるケースはそれほどありません。ある程度のポジションに就く管理監督者や、個人の裁量によって働く裁量労働制によって働く者に活用される場合が多く見られています。

年俸制のメリット

年俸制の導入を見据える企業は、今後も発生することが予想されていますが、その際に具体的にもたらされる利点は、どのようなものでしょうか。

ここからは、企業側・社員側それぞれのメリットを見ていこうと思います。

企業側

まずは、企業側のメリットです。

経営計画が立てやすい

企業の固定費において大きな割合を占める人件費。この人件費は、経営計画を立てる上でも、年度当初段階で確定されていることが理想的です。

しかし、月給制の賃金体系を敷いている企業においては、業績の悪化などにより年度途中での人件費の見直しを迫られる事態が発生します。この場合、人件費の年間計画是正に着手せねばならなくなります。しかし、当然それだけで事は収まらない事態となるため、人件費是正を契機としてさまざまな長期的な経営計画の見直しにも波及することになります。

これに対し、年俸制による賃金体系を確立している企業においては、年度の初めにすでに年間の人件費が確定していることで、経営計画が大幅に立てやすくなるというメリットが享受できます。

社員のやる気やモチベーションが上がる

年俸制は前述の通り成果主義と相性が良い制度です。成果主義では年功主義とは異なり、給与が年齢や経歴などを除外した、個人の業績が反映されます。その一方で、成果の反映されにくい年功主義においては、若手社員の給与はベテラン社員とは大きな差が生じてしまうことが特徴的です。

仮に素晴らしい業績を残したとしても、その成果が給与に反映されず、年功賃金制度の恩恵にあずかるベテラン社員が優遇される実態を横目にすれば、やる気やモチベーションが低下するというのは必定といえます。

しかし、前年の成果・実績に対する評価によって年俸が確定される年俸制であれば、大きな結果を残し翌年の年俸アップへつなげようと、社員は自発的にモチベーションを上げることができます。それにより、企業への貢献度も高まるという好循環を生み出すことができます。

【関連】モチベーションの意味とは?低下の要因や上げる方法、測定手法や企業施策までご紹介 / BizHint HR

社員側

続いて、社員側のメリットです。

長期計画が立てやすい

ライフプランを策定する上で、長期的な経済計画を必要とするものの一つにマイホームの購入があります。それを実現するためには長期間のローンを組み、計画的に返済する力が求められます。月給制の場合、企業の業績不振などにより賞与カットなどの措置が取られることもあります。そうなった場合、ボーナス月のローン返済に支障をきたすこととなります。

それに比べて、年俸制においては、このような長期的な経済計画を必要とされるものの予定を組みやすくなることが、社員側のメリットの一つといえます。年間の収入を事前に知ることができるため、返済計画が立てやすくなるということです。

成果次第で給料が大幅アップ

年功賃金制度による月給制を採用している企業では、個人の成果が給与に反映されづらいのが現実です。それは、能力のある社員を飼い殺しにしてしまうという状況を生み出しやすい土壌ともいえます。自らの頑張りが給与という目に見えた形の評価に反映されないことで、成果をほとんど上げていないベテラン社員よりも低評価と見なされるという事態に陥ってしまうのです。そうなれば必然、モチベーションは下がり、仕事に情熱を注ぐ気持ちも薄れていきます。

しかし、年俸制においては、成果次第で翌年の給与を大幅に上昇させることも可能です。となれば、社員側は当然ながら給与アップを目標に、業務への取り組みがより真摯なものとなります。

年俸制のデメリット

年俸制には、企業側・社員側ともに享受できる恩恵がありますが、それらと背中合わせに懸念点も存在しています。

ここでは、年俸制導入に際して、看過することのできないデメリットについても、企業側・社員側の双方の視点から抑えておくことにしましょう。

企業側

まずは、企業側のデメリットです。

契約期間中は給料を変更できない

新年度を迎える段階で人件費が確定する年俸制は、裏を返せばその年度内の人件費を変更することができないということになります。つまり、契約期間中は、社員の給料を変更することができないのです。社員が当初の予定通りの働きをして成果を出すということが、年俸制においては大前提となります。

しかし実際にはこの通りにはいかず、成果をあげられない社員も発生します。また、それ以上に大きなミスをして企業に損害をもたらしてしまう可能性もあります。ところが、このような社員に対して年俸制を採用している場合は、すでに年度内の契約は確定しているために、その損失補塡を勘案した給与に変更することは不可能となり、状況の如何に関わらず定められた金額を支払う必要性が生じます。

個々の社員との労働契約設定における負荷

年俸制を導入する場合、会社の都合や状況によっては、固定残業代や賞与を含める場合があります。このような場合は、後のトラブルを避けるため、あらかじめ賃金としての年俸額と、残業代となる部分、賞与となる部分について明確に区分し、年俸制を採用する社員ごとに提示をする必要があります。

就業規則等で残業代や賞与についての定めを行い、基準を統一するという方法もありますが、この場合も社員に対してその内容についての周知を行う、という点では個々の契約の場合と変わりません。この手間を省くと、後に「同意をした覚えはない」と主張する社員が発生する可能性があるため、いずれの方法を取るにしてもある程度の時間や手間がかかることを覚えておかなければなりません。

社員側

続いて、社員側のデメリットです。

成果が残せないと給与が減少する

成果主義に基づく年俸制においては、毎年成果が着実にあげられれば、それに連動して給与を上昇させていくことが可能です。一転、成果が残せなかった場合も、それに連動して給与が変動するという表裏一体の制度であるともいえます。もちろんこれは、単年のことと考えることもできますが、事態はそれほど易しいものではありません。実際に不調の年度が生じたことで翌年の年俸が下がった場合、その不調を挽回するためには相当な回復力が必要となってきます。

そして、当然ながら人間には精神的な作用も生じます。一度不調に終わった年をつくってしまったことで、来年も再び不調になってしまうのではないかというような不安や焦りが生まれることもあります。そして、そのネガティブな思考が成績不振という悪循環を助長することにもなりかねません。これは、社員側における年俸制の大きなデメリットといえるでしょう。

成果に対する評価に不満感を覚える

年俸制は、前述の通り成果主義と相性の良い制度です。しかし、一口に成果主義といっても、その成果を客観的に不公平感なく評価することは簡単なことではありません。たとえば、営業職のような顧客数や売上高など成果を数値化しやすい場合は、その数値に応じた基準を作ることで、年俸制度を構築することができます。

一方、たとえば総務部や経理部のような仕事の成果を数値で表すことが難しいケースなどは、評価が上司の主観に影響され正当な評価をしがたい場合があります。このような場合は、社員が評価の不当性を感じるリスクがあり、仕事に対するモチベーションの低下につながるという悪循環に陥ります。

年俸制を適切に運用するためには、成果の正当な評価制度の構築が不可欠であることを忘れてはいけません。

年俸制における残業代支給

年俸制を採用した場合「すでに年間の給与が確定してしまっている以上、その金額が下がることもない代わりに上乗せされることもない」と思われがちです。果たして、年俸制では残業代のような割増賃金は見込めないのでしょうか。

結論は「NO」です。年俸制においても、残業代は支払われることが労働基準法によって定められています。方法としては、年俸額に加え、働いた時間に応じた割増賃金を支払う方法や、年俸額に一定時間の残業代を「固定残業代」として含め、一定時間を超過した部分に対して割増賃金を支払う方法などが挙げられます。

ただし、労働基準法41条2項の「管理監督者」に該当する場合や、「事業場外労働に関するみなし労働時間制」が適用されている場合は、月給制などのケースと同様に割増賃金の支払いは必要ありません。

《労働基準法41条(労働時間等に関する規定の適用除外)》
この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
一 別表第一第六号(林業を除く。)又は第七号に掲げる事業に従事する者
二 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
三 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの

【引用】電子政府の総合窓口e-Gov〔イーガブ〕:労働基準法(昭和二十二年四月七日法律第四十九号)

管理監督者とは

管理監督者とは、経営者と同等の労働条件や労務管理が約束された者で、肩書きではなく職務の内容や権限、働き方などの実態に沿って判断される者のことです。この管理監督者に該当する者に対しては、割増賃金を支払う必要はありません。

なお、肩書きのみ「部長」であるものの、平社員と同じ業務をこなす者などの「名ばかり管理職」は、管理監督者にはあたらないため、注意が必要です。

【関連】「管理監督者」の定義とは?労働基準法の適用範囲や注意点、判例まで詳しく解説/ BizHint HR

事業場外労働に関するみなし労働時間制とは

事業場外労働に関するみなし労働時間制とは、実態ではなく前もって定めた一定時間分働いたとみなす制度のことです。会社外で活動する営業職や運送業など、上司の目が届かず、労働時間の算定が難しい場合に採用されます。

事業場外労働に関するみなし労働時間制を採用した場合、次の3種類の方法で労働時間を算定します。

  1. 会社で定めた所定労働時間
  2. 業務をこなすために必要とされる時間を設定する
  3. 労使協定により一定時間を定める

なお、2の「業務をこなすために必要とされる時間」が所定労働時間を超えている場合は、その時間分の残業代を払わなければならない点に注意が必要です。また、この労働時間制が適用されるのは、事業場外部分のみとなるため、営業職の者が帰社し、内勤したことで所定労働時間を超えた場合などは、残業代を支払わなければなりません。

【関連】みなし労働時間制とは?時間外・休日・深夜労働の取り扱いや、判例も合わせてご紹介/ BizHint HR

年俸制におけるボーナス・賞与の支給

前述のように、年俸制は、あらかじめ定めた額を月割で支払う給与形態のことです。では、通常の給与とは異なる賞与の支払はなされるのでしょうか。

賞与の定義

賞与(ボーナス)とは、労働基準法に基づく通達で次のように定義づけられています。

《昭和22年9月13日付け発基17号》
賞与とは、定期又は臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるものであつて、その支給額が予め確定されてゐないものを云ふこと。定期的に支給され、且その支給額が確定してゐるものは、名称の如何にかゝはらず、これを賞与とはみなさないこと。
従つて、かゝるもので施行規則第八条に該当しないものは、法第二四条第二項の規定により毎月支払われなければならないこと

【引用】独立行政法人 労働政策研究・研修機構:労働基準法の施行に関する件

つまり、賞与は労働者の挙げた実績に基づいて支給せあれる臨時の賃金であり、定期的に支払われるものはこれに含まれない、ということです。なお、会社に賞与自体の支払義務はなく、支払時期や支払ルールについては就業規則などで独自に定めることができます。

賞与支給はあるのか

では、年俸制の社員に賞与を支払うケースが実際にあるかどうかについてですが、支給形態によっては賞与に相当する金額を支払う場合があります。

定められた年俸の支払方法については、次の3種類があります。

均等支給の方法

12ヶ月で分割して、12分の1ずつ毎月給与として支払われる形態のことです。この場合は、本来ならばボーナスとして支払う金額を、毎月の金額に上乗せしている状態であるといえます。

ボーナス払いの方法

年俸額の一部をボーナスとして支払う方法のことです。分割回数は会社の賞与支払形態や状況に応じて異なります。

たとえば、基本年俸と賞与を合算した金額を18で分割して、年2回のボーナス月に、それぞれ月給分に18分の3分ずつを上乗せして支給します。この場合は、月給制の社員と同じ時期に、ボーナスとして月給の3ヶ月分が支払われるケースと同じ内容となります。

別立てで支給する方法

従業員の業績に応じたボーナス額を、年俸額とは別立てで支給する制度のことです。

年俸制を導入する際の注意点

では、ここからは、実際に年俸制を導入する際に気をつけなければならない注意点について説明をしていきましょう。

就業規則の改定

年俸制を導入する場合、まず必要となるのが就業規則への追記です。基本的には、新たに賃金制度を導入する場合、労使間での合意が求められます。

年俸制を導入することで、これまでの給与形態と比べ低額となってしまう場合は、「不利益変更扱い」となるため、従業員側へ説明し、同意を得なければなりません。その後、年俸制の対象者や支払方法などの詳細を就業規則へ定め、従業員に対して周知される必要があります。

欠勤控除は可能か

年俸制の場合でも、従業員自身の事情による遅刻や早退、欠勤をした場合に賃金を控除することは可能です。欠勤控除の算出については、就業規則等に定めた内容に沿った方法で計算をしますが、計算方法について定めていない場合は、年俸額を年間の所定労働時間で除し、求められた金額を控除することで行います。

年俸額を変更する場合

ここでは、定められた年俸額を変更するケースについて、順を追って説明をしていきましょう。

増額・減額ともに重要な点としては、年俸額を変更する可能性がある場合にはあらかじめ年俸額を決めるための基準や決定までの流れ、変更時に労使の合意が得られなかった場合の手順について就業規則に定めておくことです。これにより、無用なトラブルを防止する効果が生じることとなります。

増額改定

年俸額を増額する場合は、就業規則に定めた基準に沿って適切な形で行う必要があります。増額の根拠なしに金額を変更した場合、周囲との均衡が取れず他の従業員がモチベーションを低下させてしまう危険性があります。

減額改定

従業員が求められた成果をあげられなかった場合、年俸額の減額を考える経営者は多いことでしょう。このような場合は、事前に定められたルールに沿って適切な形で従業員に対して減額の通知を行い、同意を得た上で実施することが求められます。

減額をするに値する合理的理由なしに一方的に年俸額を減らした場合、後にトラブルが発生する可能性があるため、注意をしましょう。

中途改定

年俸制を採用する場合、企業側にはあらかじめ定められた金額を支払う義務が生じますので、年度途中での増額・減額改定は行われません。一方的に中途改定を断行した場合、従業員側が不服に思い、訴える危険性があるため、避けるべきでしょう。

中途退職者が発生した場合

前述の通り、年俸制の場合は中途改定が原則として認められていません。しかし、年度の途中で従業員が辞めてしまった場合など、やむを得ず年俸制による契約が途切れてしまうケースがみられます。 このような場合、原則としては働いていない期間の賃金を支払うことは義務づけられていません。また、退職の理由が会社にとって納得のいかない場合などは、民法628条に基づき損害賠償の請求が認められる場合があります。一方、退職の理由が民法同条における「やむを得ない事由」に相当する場合は労働契約の解除が認められるため、損害賠償の請求はできません。

【参考】電子政府の総合窓口e-Gov〔イーガブ〕:民法(明治二十九年法律第八十九号)

賞与額を加味した年俸制対象者の中途退職

中途退職者に対して、ボーナス払いの方法などの賞与額を加味した年俸制を導入していた場合、退職した月により賞与の支給の有無が変わってくるため、公平な手段で支払うことが困難となるケースがあります。

このようなケースを防ぐため、あらかじめ給与部分と賞与部分を分類した形で制度の設定を行った上で、月給制などと同じように賞与査定期間を明確にする方法などを取る必要があります。

まとめ

  • 年俸制とは、給与を1年単位で求める給与体系で、月単位に分割した上で毎月給与として支払う方法を取るが、あらかじめ給与額が確定しているか否かが月給制とは異なる。
  • 年俸制には、経営計画が容易である点や社員のモチベーションアップというメリットがある一方で、経営不振時に金額の変更ができないというデメリットがある。
  • 年俸制の場合でも、残業代支給やボーナス支給が可能。導入時には、対象者や支払方法、金額変更時の基準や決定の手順などを就業規則に定める必要がある。

<執筆者> 加藤知美 社会保険労務士(エスプリーメ社労士事務所)

愛知県社会保険労務士会所属。愛知教育大学教育学部卒業。総合商社で11年、会計事務所1年、社労士事務所3年弱の勤務経験を経て、2014年に「エスプリーメ社労士事務所」を設立。


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