連載:第24回 リーダーが紡ぐ組織力
「暗黙のルール」が人と組織を蝕む。社長が裸の王様にならない3条件
「ルールがないことが、暗黙のルールを生む」「暗黙のルールは人・組織を蝕む」「ルールが多いほうが、伸び伸びと働ける」と説くのは、防災インフラの保守業務を主事業とする株式会社テックビルケアの茶橋昭夫社長。父親が立ち上げた清掃会社に入社後、閉鎖的な社風を変えるべく「ルールの設定と順守」を徹底。事業転換・拡大を図り、働きやすい会社を作り上げ、利益を10倍にまで伸ばしました。一方で、社長として「裸の王様にならない」ために、「目に見えない大切なもの」を忘れないなど、3つの条件を習慣化。その積み重ねを聞きました。
株式会社テックビルケア
代表取締役社長 茶橋 昭夫さん
1981年吹田市生まれ。関西大学卒業後、社会人経験を経て、2008年、父親が創業した近畿クリーナ株式会社(現・株式会社テックビルケア)に入社。ビル清掃業から建築防災分野を主事業へと育て上げる。2019年、代表取締役社長に就任。入社から10年で経常利益を10倍にまで成長させる。
「ルールはない=暗黙のルールがある」という現実
――お父様が創業された近畿クリーナ(現テックビルケア)に入社され、組織改革・事業改革に奔走。会社を成長させて来られました。以前の会社の状況は?
茶橋昭夫さん(以下、茶橋): もともとはビル清掃が主事業だったのですが、労働環境は悪かったですね。長時間労働で休みが少ない上に給料も安い。福利厚生も全然できていませんでした。
そして何より、雰囲気が閉鎖的。ですので、まずは「社風」を変えたいと思いました。目指したのは今も変わらず掲げる「笑顔で、明るく、元気に」。「ありがとう」と「笑顔」が社内にあふれる“温かい”社風です。
そのために、「ルール作り」とその順守を徹底。中でも、3S(整理・整頓・清掃)活動から着手しました。
――なぜ、社風を変えるためにルール作りなのでしょう?
茶橋: 多くの組織で “暗黙のルール”ってありませんか?
以前、私が勤めていた会社でも、何かを始めたいと思った時に「見えないルール」があってすごくやりにくかったんです。先輩から「うちの会社は、裏に回ると実際には違うんだよ…」と耳打ちされたこともありました。
建前上は 「自由、ルールはない」と言いながら、「決して自由ではない」 という現実。そしてそこには、社長や上司による「不透明な意思決定」がなされる組織ができあがります。 「ルールはない、自由」と謳われることで、社員は逆に窮屈になっていく のです。
そして “暗黙のルール”は、先輩から後輩になんとなく伝えられ、忖度を強いる雰囲気や、その不文律がその組織における常識であるかのような空気を生み出します。「暗黙のルール」が、組織やそこで働く人を、蝕んでいく のです。
これは私が目指す組織の姿とはまったく違いました。
この記事についてコメント({{ getTotalCommentCount() }})
-
{{comment.comment_body}}
{{formatDate(comment.comment_created_at)}}
{{selectedUser.name}}
{{selectedUser.company_name}} {{selectedUser.position_name}}
{{selectedUser.comment}}
{{selectedUser.introduction}}