連載:第21回 躍進する企業の転換点
プリンスホテル、IKEA、王将、ロクシタンジャポンも導入したヒット商品。「たった1つの徹底」が会社を大きく成長させた
その技術力と人を大切にする社内体制が評価され、第7回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞においては、審査委員会特別賞を受賞したネオレックス。黎明期からコンピューターに触れ技術に精通した創業者の父から会社を受け継ぎ、現在会社を率いるのは、駒井 拓央さんと駒井 研司さんの兄弟。小規模ながら国内トップシェアのサービスを生み出し、優秀な学生を集める企業がどのように生まれたのか。かつてはヒット商品になかなか恵まれなかったネオレックス、その根底には「技術力の罠」があったといいます。プリンスホテル、IKEA、アディダス、王将フードサービス、ロクシタンジャポンも導入したあるヒット商品のおかげでその罠から抜け出せたといいます。そこから得た「たった1つの徹底」が以降のネオレックスを大きく技術力を育て、社員が安心して働ける組織作りのポイントをお伺いしました。
株式会社ネオレックス
代表取締役社長 駒井 拓央さん (写真右)
1994年東京学芸大学卒業後、富士ゼロックスに入社。1997年にネオレックスに入社後、2000年には実業家の大前研一氏・凸版印刷等の出資を受け設立したネオセルラーの代表に就任。2003年にネオレックスがネオセルラーを吸収合併したのを機に創業者でもある現会長の父・駒井俊之氏よりネオレックスの社長に就任。
代表取締役CEO 駒井 研司さん (写真左)
1998年信州大学卒業後、プライスウォーターハウスコンサルタントに入社。2001年にネオレックスに入社し、2015年より現職。経営者として経営企画・人事等を担い、兄である拓央さんと共にネオレックスの成長を牽引。
高い技術力に自信があったものの、商品がヒットしない…。主力商品が生まれるまで
――ネオレックスの創業、事業内容について教えてください。
駒井 拓央さん(以下、拓央さん ): ネオレックスは現会長でもある私たちの父・駒井俊之が創業した会社です。父は中小企業に勤めながら、週末起業のような形で、電子機器に関する様々な開発を行っていました。その会社で20年、全くの新事業を起こし、軌道に乗せたのち1987年に独立して立ち上げた会社がネオレックスです。私が高校1年生で弟が中学一年生の頃ですね。
駒井 研司さん(以下、研司さん ): 父は、どんなことでも自分で理解して納得できないと気が済まない性格で、就職活動も教授から推薦されて就職する時代に「会社は自分で選ぶ」と飛び込みで就職活動をしに行くような人でした。
仕事でもとことん追求するところがあり、不眠不休で仕事をしたり、狭い自宅の半分を仕事場にしてコンピュータの研究をしたり。興味を持ったものはとことん追求していましたね。仕事が大好きでプライベートとの境目はなかったように思います。
日曜の朝に起きると、父と仕事仲間のおじさん達がいて、一緒に朝ごはんを食べるとか当たり前でした。そのくらい父の仕事は身近にありましたね。
拓央さん: 技術に非常に強いですね。事業の発案から回路設計、プログラムを書いてソフトウェアの開発まで牽引する「自前主義」の人で会社を先頭で引っ張ってきました。
――国内トップシェアを誇る御社の勤怠管理システム「バイバイ タイムカード」はどのような経緯で生まれたのでしょうか?
研司さん: 「バイバイ タイムカード」は技術には自信があるのに、ヒット商品に恵まれなかった当時の我々が視点を変えた結果、大ヒットにつながった最初の製品です。
ネオレックスは、創業当時から本当にいろんな仕事を受けていて、図書館や大学で使用する視聴覚モニターを制御するシステムを開発したり、名古屋市のバスの乗り換え案内システムなどを作ったりもしていました。当時、まだ国内で使われていなかったような最新のネットワーク機器を海外から輸入して導入したとも聞いています。
拓央さん: 創業当時からずっと、我々はなんでも前向きで、極めて技術力が高いという自負がありました。でも、大ヒットしたり、継続的に大きな収益を生むビジネスを生むことはできていませんでした。
志も技術力も高い、経営者もメンバーも真面目で一生懸命働くネオレックスなら、ITに限らず、何をやっても成功できるはずなのに、なんでこんなに苦労しているんだろう。兄弟でそんな話をしました。
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