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連載:第15回 組織改革 その根幹

社員に好かれようとしていては、組織は変わらない。経営危機の中で貫いたリーダーの覚悟

BizHint 編集部 2025年10月24日(金)掲載
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建設業界の縮小という逆風の中、株式会社後藤組は15年以上にわたる長期低迷にあえいでいました。さらに追い打ちをかけるように、招いた副社長の経費乱用で3億円の赤字を計上…。代表取締役を務める後藤茂之さんは、この窮地から会社を立て直すため、「社員に嫌われてでも、組織を変える」という決断をします。多くの抵抗や反発にあいながらも、一貫して改革を推し進め、今では経常利益率10%という建設業界では異例の高収益体質を実現しています。社員の反発を恐れず、なぜ改革を推進し続けたのか。同社の軌跡を伺います。

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人の行動が変わるのは、たった2つの動機しかない

──貴社は来年で創業100周年を迎える老舗建設業でありながら、近年特にDXにおける高い成果を生み出し、注目を浴びています。

後藤茂之さん(以下、後藤): ありがとうございます。当社が高い利益性を生み出せるようになったのは、間違いなくDXの成果だと言えます。社員の平均年収もここ6年で80万ほどアップしています。

私は1992年の社長就任以来、様々な改革を推進してきました。その中で一貫しているのは、 「社員に好かれようとしていたら、会社は決して変えられない」 ということ。これは私の経営の基本です。

なぜなら、新しいことを始めるとき、社員は必ず反対し、摩擦が起きるからです。この摩擦を恐れ、「社員に嫌われたくない」と尻込みしてしまう人が多いと思います。結果、会社は一向に変わらない。

私は33年社長をしていますが、何をやっても反対されました。たとえば、現場の仕事の標準化を指示したときも、社員は「社長は現場を経験したことがないから分からないでしょうけど、現場って毎回違うんです」と反論してきました。たしかにそう言える部分もありますが、毎回同じで標準化できる部分も必ずあるんです。しかし、そこには目を向けない。

それはなぜなのか。 人間はもともと変化を嫌う生き物だから です。脳は新しいことを考えたり決めたりするときに多くのエネルギーを使うため、できるだけ“今のまま”でいようとする。だから一日の大半は、無意識の習慣で動いているんです。仕事の中で「もっといい方法はないか」と考えるのは、脳にとって負荷のかかる行為なんですよ。

私は社員に「頑張るな」と伝えています。今までと同じやり方を一生懸命繰り返すことを「頑張る」と言うなら、頑張らずに楽をして同じ成果を得るほうがいいに決まっている。でも社員たちは「今までこれでやってきたから」と変化を拒む。 この“習慣脳”こそが、改革の最大の敵 なんです。

――では、後藤社長はどのように社員の行動を変え、改革を進めたのでしょうか?

後藤: 私の経験則ですが、 人の行動が変わる動機は、突き詰めると2つしかない と思っています。

──それは何でしょうか。

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