連載:第20回 経営危機からの復活
倒産の危機の度に新商品が会社を救う!? 手作りバケツメーカーの4代目がヒット商品を連発できる理由
兵庫県姫路市で100年近く操業を続ける渡辺金属工業は、日本でも今や数軒となった手作りのバケツメーカーです。安価なプラスチック製品が増える中、昔ながらの製造法と品質にこだわったバケツは、懐かしさともにお洒落な印象が大人気。使い捨てではなく、いいものを長く使い続けたいという消費者の嗜好の変化も追い風となり、近年はライスストッカーや傘立て、灰皿、消臭機能付きのおむつ入れなど、数多くのヒット商品を生み出しています。しかし、長い歴史の中には何度も危機がありました。ピンチを救ったのは、自社の技術を活かし、新しい発想の商品を生み出せたこと。必要なポイントについて、4代目社長の渡辺政雄さんにうかがいました。
渡辺金属工業株式会社
代表取締役社長 渡辺 政雄さん
1979年姫路市生まれ。大学卒業後、東京でのデザイン会社勤務を経て、2006年に入社。2021年に4代目社長に就任。営業マンとして販路の拡大を担いながら、新商品の開発にもリーダーシップを発揮し、業績を就任前の3倍以上に伸ばしている。
大正時代に創業。オール国内産にこだわるバケツ作り
渡辺政雄さん(以下、渡辺): 当社は大正12年(1923)に創業しました。私の曽祖父が姫路の少年刑務所の刑務官をしていた時に、受刑者の奉仕作業でバケツづくりの指導に当たっており、退職後にバケツ工場を建てたのが創業のきっかけです。昭和の中頃まではバケツの需要はそこそこあったようです。昔は掃除をする時には必ず水を使いましたし、工事現場でも土砂を運ぶためにバケツがよく使われていましたから。
創業以来、弊社ではバケツづくりの素材はすべて日本製にこだわっています。針金や取っ手などの小さな部品もメイドインジャパンです。理念というほど明文化されたものではありません。海外から調達すると大量に仕入れる必要があり、粗悪なモノも混じります。値段は高くても国内産のよい材料を使うので、それが結局は現在の品質にも繋がっていると思います。
バケツ作りには多くの工程があります。まず大きな鉄の平板を胴体の形にカットし、その両端を繋ぎ、別に作った底板と合わせて……と、20くらいの作業に分かれています。そもそも、バケツは水漏れしないのが当たり前ですが、最近の安いバケツでは品質が二の次になり、水漏れするものも多いみたいですね。弊社では各工程において検品を行っており、最終工程では必ず水を入れて検品を行い、お客様へお届けするようにしています。
そんな風に「身の丈経営」と言いますか、品質を大事に、自分たちの目の届く範囲で経営をしてきました。ちょっとチャンスがあるからといって、海外に進出して工場を増やし、大量生産するのではなく、ロングライフの商品を目指す。少しずつでも長く継続して売れる商品作りを心がけてきました。
倒産のピンチを救った「オバケツ」のアイデア
この記事についてコメント({{ getTotalCommentCount() }})
-
{{comment.comment_body}}
{{formatDate(comment.comment_created_at)}}
{{selectedUser.name}}
{{selectedUser.company_name}} {{selectedUser.position_name}}
{{selectedUser.comment}}
{{selectedUser.introduction}}