連載：第8回製造業

機械加工品の購買・調達の実態、約7割が情報収集段階で“本命”を決めていた

BizHint 編集部 2021年4月13日(火)掲載

機械製造業の現場では、大量の商品が日々調達されています。これらの商品の情報はどのように収集され、比較検討が行われているのか、そして営業を希望する人はどれぐらいいるのか、意志決定はどの段階で行われているのか、全研本社が現場を対象にアンケートを実施しています。

情報収集手段はインターネット経由が主流、その後の営業を望むのは6割ほど

まず「購買・調達する商品の情報を収集する手段」を全体（104人）に聞くと、「商品の資料請求・ダウンロード」60.6％、「商品のサービスサイト」53.8％、「商品の比較サイト」「展示会」同率46.2％が上位でした。対面営業よりもインターネット経由が主流となっていることがわかります。

なんらかの手段で情報収集している102人（「特にない」以外の人たち）に、「情報収集の際に困っていること」を聞くと、「条件に合う商品が見つかりづらい」54.9％、「多く情報を収集し、比較検討に時間をかけなければいけない」46.1％、「商品の違いがわかりづらい」40.2％が上位でした。

購買・調達する商品の情報を収集する手段について「商品の資料請求・ダウンロード」と回答した63人に、「資料ダウンロード後に営業をしてほしいか」を聞くと、「かなりそう思う」12.7％、「そう思う」46.0％、「そう思わない」30.2％、「まったくそう思わない」9.5％で意見がやや分かれています。

そこで「かなりそう思う」「そう思う」と回答した37人に「どのような場合営業をしてほしいか」を聞くと、「より詳しい説明を聞きたい時」78.4％、「かなり魅力的な商品の時」64.9％、「比較検討した上で購買・調達に近い商品の時」56.8％が上位で、ネット比較ではわからない商品情報を営業で補おうという意向が強いようです。

また、購買・調達する商品の情報を収集する手段について「商品のデモ依頼の問い合わせ」と回答した39人に、その目的を聞くと、「資料だけではわからない情報の補足のため」82.1％、「自社で抱えている課題が解決できるか相談したいため」61.5％、「検討段階で利便性などの細かい確認のため」48.7％で、商品情報よりも“自社のニーズにマッチするか”に比重を置いていることがうかがえます。

導入したい本命商品、2割ほどは情報収集段階で導入決定

あらためて全体に「情報収集段階と比較検討段階における、『資料ダウンロード』『問い合わせ』から導入までのスピードの違い」を聞くと、「比較検討段階の方がかなり早い」25.9％、「どちらかといえば比較検討段階の方がやや早い」30.8％、「どちらかといえば情報収集段階の方がやや早い」22.1％、「情報収集段階の方がかなり早い」7.7％で、比較検討段階のほうが早いようです。

そこで具体的なスピードの差を、「比較検討段階の方が早い」と回答した59人に聞くと、「1週間未満」20.3％、「1～2週間」30.5％、「2～3週間」27.1％、「3週間から1か月程度」11.9％などとなり、だいたい半分のケースで2週間以上の差が生まれています。

最後に全体に「課題解決の情報収集や製品情報収集でも、本命の導入したい商品はある程度決まるか」を聞くと、「課題解決の情報収集段階で決まっている」22.1％、「課題解決の情報収集、製品情報収集の両面で納得していれば決まっている」32.7％、「製品情報の収集段階で決まっている」13.5％、「デモをしない限り本命は決まらない」23.0％となりました。7割以上の企業が、実際のデモを見なくても、収集した情報だけで判断しているおり、思った以上に製造現場ではスピード感が求められているのかもしれません。