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連載:第63回 総合 2020年1月~3月

被害が怖い自然災害は「地震」が最多。しかし6割以上の人は「災害対策なし」

BizHint 編集部 2020年3月12日(木)掲載
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地震や台風、豪雨など、様々な災害に見舞われる日本列島。ディプロマット・ジャパン株式会社が実施した「災害対策に関する意識調査」によると、被害を恐れている自然災害としては「地震」を挙げる人が8割で、最も多いことが判明しました。しかしながら、災害対策については6割以上の人が「特にしていない」と回答しており、十分な災害対策が実施されていないことが伺えます。最も被害が恐れられている地震に対しても対策をしている人は約3割にとどまり、不安に思っているが対策がなされていないことが明らかになりました。

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最も恐れている自然災害は「地震」

被害に遭うことを恐れている自然災害は、「地震」(82.8%)が最も高く、次いで、「台風」(58.4%)、「豪雨」(38.9%)、「暴風・竜巻」(36.4%)、「洪水」(29.7%)となりました。

居住地別にみると、北陸・甲信越では「洪水」(40.7%)、中国・四国では「豪雨」(53.4%)が、それぞれ他の地域と比べて高くなっています。2019年の台風19号や、2018年の西日本豪雨による被害を克明に覚えている人が多いのか、地域により恐れている自然災害に差が見られました。

次に、災害対策を行っている自然災害を聞いたところ、「特になし(自然災害への対策を行っていない)」(66.7%)が最も高くなりました。次いで、「地震」(27.2%)、「台風」(15.9%)、「豪雨」(6.2%)、「暴風・竜巻」(4.3%)となりました。災害の被害を恐れているものの、対策はできていないという人が多いようです。

居住地別にみると、九州・沖縄では、「台風」(22.7%)が他の地域と比べて高くなりました。台風が頻繁に接近・通過する九州・沖縄では、台風対策を行っている人が多いようです。

情報収集は「テレビ」が最多

続いて、自身の住んでいる地域で自然災害が起こった場合、何から情報を入手すると思うか聞いたところ、「テレビ」(68.2%)が最も高く、次いで、「ラジオ」(48.8%)、「ニュースサイト」(41.8%)、「ポータルサイト(Yahoo!など)」(38.1%)、「SNS」(24.9%)となりました。

年代別にみると、「テレビ」(20代57.5%、30代67.0%、40代68.5%、50代69.0%、60代79.0%)は年代が上がるほど、利用率が高くなっていることがわかります。また、「SNS」(20代35.0%、30代31.5%、40代26.5%、50代17.0%、60代14.5%)は20代が最も高く、年代が上がるほど低くなりました。

20代~30代の3人に1人はSNSから災害情報を入手しているようです。

避難タイミングは「警戒レベル4」が発表された時が4割

災害時には、避難のタイミングを判断するための情報として、気象庁や市町村から防災情報が発表・発令されます。

気象庁から発表される「早期注意情報」は警戒レベル1(災害発生の危険性はまだ低い段階)、「大雨注意報」「洪水注意報」といった注意報は警戒レベル2(災害発生に対する注意が高まってきた段階)、市町村から発表される「避難準備・高齢者等避難開始」は警戒レベル3(避難に時間がかかる高齢の方や障がいのある方は避難したほうがよい段階)、「避難勧告」「避難指示」は警戒レベル4(災害が発生する恐れが極めて高い状況)、「災害発生情報」は警戒レベル5(すでに災害が発生している状況)とされ、この順に危険度や切迫性が高くなります。警戒レベル4の段階では、対象地域住民全員の避難が必要であるとされています。

自身の住んでいる地域で自然災害が起こった場合、どのようなタイミングで避難をすると思うか聞いたところ、「避難勧告・避難指示が発令されたとき」(43.8%)が最も高い結果となりました。次いで、「避難準備・高齢者等避難開始が発令されたとき」(16.7%)、「早期注意情報が発表されたとき」(9.7%)、「災害発生情報が発令されたとき」(9.5%)、「注意報(大雨注意報や洪水注意報など)が発表されたとき」(5.8%)と続いています。

対象地域住民全員の避難が必要とされる“避難勧告・避難指示”が発令されたときに、避難を開始する人が多いようです。「早期注意情報」の発表で避難する人は、1割と少数派でした。また、「避難はしない」は13.5%となりました。

避難時に持っていくものは「お金」「スマホ」「通帳」

自然災害が起こった場合に避難をすると思う人(865名)に、自身の住んでいる地域で自然災害が起こった場合、どのようなものを持って避難すると思うか聞いたところ、「お金」(90.3%)が最も高く、次いで、「携帯電話・スマートフォン」(82.4%)、「貯金通帳・預金通帳」(68.0%)、「携帯電話・スマートフォンの充電器」(63.1%)、「健康保険証」(57.5%)となりました。お金や通帳といった貴重品や、連絡手段となる携帯電話・スマートフォン関連を重視している人が多いようです。

そのほか、「土地・不動産の権利書」(11.8%)、「宝石・貴金属」(10.4%)といった回答もみられました。

約6割が「台風がきていても出勤する」

災害時と言えど、仕事が休みになるとは限りません。交通機関がストップしたり、運行が乱れる中、駅や改札で電車に乗れず長蛇の列ができた様子も記憶に新しいでしょう。

有職者(635名)に、災害に関する様々な状況を挙げ、それぞれの状況のときに自身が出勤すると思うか聞きました。 <台風がきているとき>では、『出勤すると思う(計)』(「絶対に出勤すると思う」と「どちらかといえば出勤すると思う」の合計、以下同様)が62.0%、『出勤しないと思う(計)』(「絶対に出勤しないと思う」と「どちらかといえば出勤しないと思う」の合計、以下同様)が38.0%となり、台風の場合は出勤する人が6割以上と多数派となりました。

他方、<出勤前に震度5以上の地震が起きたとき>では、『出勤すると思う(計)』が42.2%、『出勤しないと思う(計)』が57.8%、<災害で交通機関がマヒしているとき>では、『出勤すると思う(計)』が31.8%、『出勤しないと思う(計)』が68.2%、<住んでいる地域に「避難勧告」が出ているとき>では、『出勤すると思う(計)』が28.7%、『出勤しないと思う(計)』が71.3%となりました。

台風以外の災害ではいずれも出勤しない人が多数派ではあるものの、交通機関がマヒしてしまっているときでも出勤しようとする人や、災害が発生する危険性が高まっていて避難すべき状況であっても出勤を優先する人は3割前後と少なくないことがわかりました。

自然災害時の心配事は「家族の安否」、年代によりばらつきも

自然災害が起こった場合に心配なことを聞いたところ、「家族の安否」(71.8%)が最も高く、次いで、「家屋の倒壊や破損」(65.6%)、「断水」(59.4%)、「停電」(56.4%)、「トイレが使えなくなる」(52.7%)となりました。家族の安否や家屋への被害が気がかりという人が多いようです。また、「貴重品や思い出の品の紛失」は32.1%と3人に1人が心配なこととして挙げました。

年代別にみると、20代では「携帯電話・スマートフォンが使えなくなる」(44.0%)が、他の年代と比べて高くなっています。20代の多くが、通信手段が利用できなくなることに不安を覚えるようです。 40代では「貴重品や思い出の品の紛失」(37.5%)が高くなりました。40代には、物の紛失に不安を覚えていることがわかります。60代では「断水」(73.5%)、「停電」(70.5%)、「トイレが使えなくなる」(68.5%)、「火災の発生」(48.0%)が高くなりました。

住居のタイプ別にみると、住居が一戸建ての人では「家屋の倒壊や破損」(77.9%)や「避難中の留守宅での盗難」(27.9%)が、集合住宅の人(51.6%、15.1%)と比べて高くなっています。

自然災害が起こった場合に心配なこととして「貴重品や思い出の品の紛失」「避難中の留守宅での盗難」を選択しなかった人に、心配ではない理由を自由回答形式で聞きました。

「貴重品や思い出の品の紛失」については、「命が一番大事だから」(40代女性)、「免震構造の住居だから」(50代男性)といった回答のほか、「金庫に保管してある」(50代女性)など、万が一の場合に備えてしっかりと対策をしているとの回答がありました。

「避難中の留守宅での盗難」については、「治安がいい場所だから」(50代女性)、「鍵をかけて避難できれば大丈夫だと思う」(60代女性)といった回答のほか、「警備会社と契約している」(60代男性)など、盗難対策を講じているとの回答がありました。

自然災害の経験者、4割以上が「貴重品の紛失が不安だった」と回答

自然災害(地震や洪水など)が起こった際に、貴重品の紛失にどのくらい不安を感じたか聞いたところ、「とても感じた」は16.6%、「やや感じた」は25.6%となり、合計した『感じた(計)』は42.2%となりました。

『感じた(計)』の割合を居住地別にみると、北陸・甲信越では55.6%と半数以上になりました。2019年の台風19号では、河川の氾濫による浸水で、屋内の家財道具や貴重品が水に浸かったり、流されたりする被害が発生しました。こうした経験から、不安を感じた人が多いのではないでしょうか。

自然災害に備えて最も安全に保管したいものは「現金」

自然災害に備えて安全に保管したいと思うものを聞いたところ、1位「現金」(73.5%)、2位「貯金通帳・預金通帳」(62.5%)、3位「保険証券」(31.3%)、4位「マイナンバーカード」(28.5%)、5位「土地・不動産の権利書」(24.4%)となりました。

現金・通帳等の財産以外にも、証券や権利書、マイナンバーカードといった重要書類を安全に保管したいと思う人が多いようです。

年代別にみると、30代では「思い出の品(写真・手紙など)」(23.0%)が3位となっています。30代には、写真や手紙など、大切な思い出の品を、災害から守りたいと考えている人が少なくないようです。また、「土地・不動産の権利書」は50代では5位(33.0%)、60代では4位(40.0%)に挙がりました。

災害の備え、最も多いのは備蓄。紛失対策をする人は少数

自然災害に対する備えとして、家庭で行っていることを聞いたところ、何らかの準備を行っている人の割合は70.6%でした。 年代別にみると、準備を行っている人の割合は年代が上がるほど高く、60代(81.5%)では8割以上となっています。

具体的に家庭で実施している備えについてみると、「食料を備蓄している」(39.5%)が最も高く、次いで、「家具を倒れないように固定している」(27.2%)、「非常用持ち出し袋を準備している」(24.2%)、「避難場所や避難方法を確認している」(23.2%)、「ハザードマップを確認している」(20.8%)と続いています。

自然災害が起こった場合に心配なことでは、3人に1人が「貴重品や思い出の品の紛失」を挙げていましたが、「金庫を用意している」は6.1%にとどまる結果となりました。大切なものを失くしたくないと思いつつも、それに対する備えができている人はわずかなようです。

自然災害時の連絡方法、子供と話し合っている人は約3割

日中に災害が起こった場合、家族が職場や家、学校など、それぞれ離れた場所にいるケースが想定されます。災害時には、固定電話や携帯電話がつながりにくくなることがあります。災害時の安否確認方法としては、災害用伝言ダイヤルや災害用伝言板(web171)、防災アプリなどがあるでしょう。

小学生以上の子どもがいる人(413名)に、自然災害発生時にどのようにして連絡をするか、子どもと話し合っているか聞いたところ、「話し合っている」は33.4%と、3人に1人の割合となりました。

次に、自然災害発生時にどこに避難するか、子どもと話し合っているか聞いたところ、「話し合っている」は43.6%でした。

自然災害発生という緊急時の連絡方法や避難先について、事前に話をする機会を設けている人は少数派のようです。

東日本大震災の漂流金庫、99%が持ち主に変換される

2011年に発生した東日本大震災では、津波等で建物が倒壊・破損し、財産や貴重品が流される被害が多発しました。しかし、津波等で流されても発見された金庫約5,780個(現金約28億円)のうち99%以上は、中に入っていた通帳や権利書などが決め手となり、持ち主に返還されました。

このことを知っていたか聞いたところ、「知っていた」は5.0%でした。発見された漂流金庫のほとんどが持ち主に返還されたことを知っている人はわずかでした。

自宅に金庫があるか聞いたところ、「ある」は14.2%と、7人に1人の割合となりました。 発見された漂流金庫の返還率の認知状況別にみると、知っていた人では「ある」が40.0%と、知らなかった人(12.8%)と比べて27.2ポイント高くなりました。

万が一の場合にも、保管している大切なものが手元に戻ってきやすいことを見聞きし、金庫を利用し始めたという人がいるのではないでしょうか。

プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000055127.html

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