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連載:第3回 IT・SaaSとの付き合い方

『お客様は答えをもっていない』強烈な自負と創業者どうしの衝突がカオナビを急成長に導いた

BizHint 編集部 2020年1月21日(火)掲載
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「あ、名前が思い出せない……」という苦い経験。思い当たる人も多いのではないのでしょうか。そのような課題を解決するクラウド人材管理システムが「カオナビ」です。2012年のサービス開始以来1500社以上※に導入され「タレントマネジメント」の市場創出にも大きく貢献しました。その成長戦略や組織の変遷について、創業者のひとり、取締役副社長 佐藤 寛之氏に話を聞きました。

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株式会社カオナビ
取締役副社長 COO 佐藤 寛之 さん

上智大学法学部法律学科卒業後、株式会社リンクアンドモチベーションにて組織変革コンサルティングを経て、営業GMとして部下の育成や組織構築に従事。その後、株式会社シンプレクス・コンサルティングに入社し、人材開発責任者として採用・育成・人事評価などの人材開発業務に従事。2011年より株式会社カオナビにて創業者の柳橋氏とともに、顔写真が並ぶクラウド人材管理システム「カオナビ」の事業を開始。現在では、企業規模や業種問わず1500社以上※に導入される業界シェアトップクラスのサービスにまで成長させている。
※2019年9月末現在


営業と開発で毎日衝突。揺るがなかったプロダクトアウト思想

――「顔と名前の一致」をキーにした人材管理システム「カオナビ」は近年急成長を遂げています。立ち上げ期にはどのようなことを考えていたのでしょうか?

佐藤 寛之氏(以下、佐藤): 「カオナビ」は2012年にサービスを開始しました。提供価値は「紙やExcelによる従業員情報の管理をクラウド上のデータベースに置き換えて、もっとオープンに」というシンプルなもの。 社員の顔と名前は、絶対に一致したほうが良いですよね。

ただ当時は、 営業を担当する私と、開発を担うCEO柳橋は毎日のように衝突 していましたね(笑)。

私はお客様から「こんな機能がほしい」と言われます。営業としては『なるほどこの機能があれば売れる!』と確信して帰ってくるわけです。

そしてそれをCEOでもある開発部門の柳橋に伝えると「……イヤだ」と。曰く、「言われたものを作るのは自分たちの仕事じゃない」「他社と同じ土俵に乗りたくない」。柳橋が今でも言うのは 「お客様は答えを知らない。答えは我々が提示するべき」 ということです。

とはいえ私はやはり売りたいので「作ってくれ!」と言い続けますが、結局柳橋が迎合することはありませんでした。本当に、頑なに(笑)。

――衝突の先に……何があったのでしょうか?

佐藤: 「作って!」「イヤだ!」「なんで?」「じゃあどうする?」といった議論を、それこそ毎日続けていく中で、カオナビとして目指すべき提供価値・メッセージが見えてきました。

我々が出した答えは「シンプルで直感的」 というもの。お客様は社員情報のデータベースをドラッグ&ドロップでかんたんに作成しながら、ほしい情報を自由に取り出せる。つまりは「誰でも」使うことができる、というものです。これはカオナビを拡販する上で最大の強みになりました。

もし、 お客様の声に都度応える形で「機能をてんこ盛り」にしていたら、今のカオナビはなかった でしょうね。

――「誰でも使える」ことが、拡販にどうつながるのでしょうか?

佐藤: 「誰でも使える」という価値が決まれば、「伝え方、売り方」が決まります。 しかも「誰でも使える」ということは、逆に言えばニーズさえあれば良い。必要なニーズは「社員情報をオープンにしたい。かんたんに見たい」というシンプルなものです。

このニーズを抱えた経営者や企業に対する営業手法は、『ピッとやったら、パッと見れますよ』とデモ画面を見ていただくだけ。シンプルなニーズに、シンプルに応える。そこに腹落ちいただければ導入していただけるのです。カオナビを理解いただくために、「難しい説明」はむしろ逆効果でもありました。

マーケティングにおけるメッセージも、完全にこの文脈に沿うものにしていきました。 明確な軸ができた のです。  

「優秀な営業マン」より「営業の仕組み」を重んじる人材を

クラウド人材管理システム「カオナビ」の画面イメージ

――メッセージと売り方が決まって、営業体制を強化していくわけですね?

佐藤: はい。「カオナビ」のお客様が100社を超え、月商が1000万にいったあたりで営業部門の拡大に着手しました。それまでは私一人でしたので、営業「組織」の立ち上げとも言えます。2012年に4人だった社員数は、2015年には50人規模にまで拡大しました。

――何から手を付けられたのでしょうか?

佐藤: まずは人ですね。インサイドセールスを担い、マルケト(マーケティングオートメーションのツール)をうまく使えそうな人材を探しました。

――営業マンから採用したわけではないのですね?

佐藤: 営業を「仕組み化」しようと考えていたのです。当社では創業当初から「仕組み」を重視しています。 私も含め、属人的なものを本当に嫌う んです。営業組織も仕組みで回せるようにしたかった。「ザ・モデル」(顧客獲得や育成などを分業し、組織で高い成果を生み出すフレームワーク)を追求したかったのです。

「いち営業マンとして優秀」な方は、一人で受注までいけてしまいます。それはそれで素晴らしいことなのですが、逆にそういった方にとっては「仕組み」が足かせにもなりますし、仕組み自体を壊す要因にもなり得ます。

――マルケトを使える方は採用できたのでしょうか?

佐藤: 「マルケトが使える方」ではなかったのですが、入社後にマルケトを習得してもらい、営業の仕組みづくりに大きく貢献できる人材を採用できました。そもそも、マーケティングオートメーションをうまく活用できている会社や、マルケトの運用経験者は限られますので。それよりも、前職での「仕組み作り」に対する言動が決め手でしたね。

人事と営業の両方に理解があり『属人的なものがめちゃくちゃ嫌い。なんとか仕組みでグロースできないかとがんばってきた……』という強い志向、経験をもった人材でした。

――その方を通じて、営業が仕組み化されていくわけですね。

佐藤: はい。見込み客の行動などから興味度を測る指標(MQL/SQLなど)を設定し、Salesforceと連携してスコアを入力。スコアが高い所から営業担当がアプローチをし、前述の提供価値・メッセージをシンプルかつ確実に伝えて、デモを見ていただく……という形です。

営業の仕組み化の失敗にはパターンがあります。営業担当がルールを無視してアプローチしてしまう、情報を入力しない人がいる……などです。なので、 ルールの順守は徹底しました。「まずルール、まず仕組み」だと。

ニッチな市場でポジションを。あえて機能を絞ったワケ

カオナビの評価システムの画面イメージ。シンプルな操作で必要な情報を表示できる。

――カオナビが拡大する中で、転機となったできごとはありますか?

佐藤: 一つ挙げるとすれば、Sansan(サンサン)様とのエピソードです。

カオナビはプロトタイプの時代から、サイバーエージェント様でご利用いただいていたのですが、これは同社がもともと「タレントマネジメント」的なことをやっていたということもあり、思想が一致していました。

その後、カオナビは「シンプル・直感的」という方向性でバージョンアップを重ね、「タレントマネジメント」の市場を創る形で拡販を進めていくのですが、Sansan様との商談で『評価システムをつけてくれれば採用する』という話が出ました。

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