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連載:第66回 リーダーが紡ぐ組織力

“イエスマン”だらけの組織を変えたリーダーの信念。超トップダウンから自律型組織への軌跡

BizHint 編集部 2025年12月22日(月)掲載
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神奈川を中心に回転寿司チェーン「まぐろ問屋 三浦三崎港」などを展開する株式会社ネオ・エモーション。創業から成長を続けてきた同社は、かつて家業故のトップダウン経営のもとにありました。現場は意思決定を許されず、社長の顔色を伺いながら働く、“イエスマン”だらけの組織だったといいます。そんな中、同社はコロナの影響もあり赤字に転落。危機的状況の中で社長に就任した石橋匡光さんが選んだのは、「トップダウンを一切しない」という、これまでとは真逆の経営でした。業態、メニュー、人事評価まで、あらゆる権限を現場に委ね、新たに加わった経営陣とともに仕組みを構築した結果、組織はボトムアップ型の自律型組織へと大きく変貌を遂げ、V字回復を果たします。同社の改革を支えたのは、社長が社員と交わした「ある約束」でした。変革の歩みとともに伺います。

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社長への返事は「はい」か「喜んで」のみ。イエスマンだらけの組織を変えた、ある約束

――以前はトップダウンが色濃く残っている組織だったそうですね。

石橋匡光さん(以下、石橋): はい。創業者でもある先代社長が非常に強いトップダウンの経営をしていました。創業者が強い組織というのは、決してそれ自体が悪いわけではないんです。意思決定のスピードが速いですし、ゼロからスタートするには最適な方法です。実際に当社も、20年ほどで18店舗、売上30億円まで成長しました。

ただ先代の意見は絶対で、受け答えは「はい」か「喜んで」のみ。先代が店舗に来ると全員が背筋を伸ばして出迎え、帰るときも全員で見送る文化があったほどです。私も入社後、会議で意見を言おうとした際に「お前は黙ってろ」と人前で言われるような環境でした。

社歴が長い、先代と仲がいい古参社員が優遇され、若手には裁量が与えられない。結果として、言われたことだけをやる人材ばかり、“イエスマンだらけ”の組織が出来上がっていました。私は2006年に入社したのですが、「言われたことだけをやっている仕事は面白いのか?」とずっと疑問を感じていました。

実際、店舗の売上にも影響が出ていました。店舗の意思決定が「お客様に喜んでいただくため」ではなく、先代の顔色を見ながらメニューを決めたり多店舗展開を進めていった結果、中身が伴わない店が増えてしまい、赤字を垂れ流しているような店舗も出てきました。

その矢先、2020年には新型コロナウイルスの感染拡大により店舗が営業できなくなり、2021年には会社全体で赤字に転落してしまったのです…。

――そんな中での社長就任だったわけですね。

石橋: 実質的には2020年の緊急事態宣言のタイミングから指示を出していたのですが、正式な就任は2021年11月です。

私は社長になってから 「トップダウンを一切しない」 と決めました。社長は何も決めない。店舗の業態、メニュー、人事——全部、現場に任せると宣言したんです。これは単なる権限委譲ではなく、責任も一緒に委ねます。権限はすべて渡す。求めるものは「成功一択」で、失敗は許されないと。

その代わり、 社員に対して私が約束したこと があります。この約束があったからこそ、当社はトップダウンから脱却でき、結果としてV字回復を果たすことができたと言えるでしょう。これは私が担うべき、経営者の唯一の仕事だと思っています。

――その約束とは?

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