連載:第17回 組織改革 その根幹
「やらされ組織」を蘇らせた老舗のリーダー。主体性を引き出すために貫いた、二つのこと
BizHint 編集部
2025年12月12日(金)掲載
「指示されたことを、ただやらされている雰囲気でした」。広島お好み焼の元祖であり、繁盛店として知られる「お好み焼 みっちゃん総本店」を8店運営、オンラインショップなども展開する株式会社ISE広島育ち 代表取締役 二代目 井畝満夫さんは、常務として現場を管轄していた頃を振り返ります。「指示待ち組織では、変化に対応できない。このままでは事業を維持・拡大していくことは難しい。」強い危機感を覚えた井畝さんは、社長就任後に組織改革を本格化。社員の主体的を引き出すための「二つの取り組み」を徹底しました。すると現場からは新たなアイデアが生まれ、社員が自ら考え行動できるように。結果的に、昨年は過去最高売上を達成し、離職率も5%まで改善しています。井畝さんが徹底してきたこととは。詳しくお話を伺います。
「やらされ組織」に危機感。部下の主体性を引き出すため、徹底した二つのこと
――貴社は、創業75周年を迎えた老舗企業ですね。
二代目 井畝満夫さん(以下、井畝): はい。当社は、広島お好み焼の生みの親である、初代 井畝満夫が創業した会社です。初代は人望も厚く、圧倒的なリーダーシップで牽引し、店舗を拡大させていきました。私もその姿に憧れ、15歳でアルバイトを始め、高校卒業後に入社。2021年、創業70周年を機に私は二代目 井畝満夫を襲名しました。 初代の名前を受け継ぐ。それは、長年受け継がれてきた味を守り、次世代に繋いでいく責任を負うこと。しかし、組織を見渡した時、私は大きな危機感を抱きました。
――どのような危機感だったのでしょうか?
井畝:いわゆる「指示待ち組織」になっていたのです。 まず、初代はカリスマ性があり影響力が強かったこと。また、2011年に経営を引き継いだ前社長も含め、トップダウン型のマネジメントが根付いていたこともあり 「上から言われたことをこなせば大丈夫」という意識が社員の中で蔓延していました。
ただ、私が現場で長く働いてきた経験から、 人間は上から言われたものは売れない。自分たちで考えて売りたいと思わないと、モチベーションが湧かないと確信していたんです。 人気も知名度もあるため、現状は良いかもしれない。しかし、 「やらされ感」の蔓延した組織では、これから事業を維持・拡大していくことは難しいと思いました。 次世代に繋いでいくためには、古き良きものを守りながら、新しい挑戦にも挑まなければならない。そのためには、社員一人ひとりが主体的に動き、その力を存分に発揮してもらう必要がありました。
私は2024年の初頭に社長に就任したのですが、そこから改革をはじめ約2年。 組織は確実に変化しています。現場から積極的にアイデアが上がるようになり、自ら行動できる社員が圧倒的に増えてきているのです。
――なぜ、そのように変化したのでしょうか?
井畝:私が徹底してきたことが「二つ」あります。 一つ目は、
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バックナンバー (17)
組織改革 その根幹
- 第17回 「やらされ組織」を蘇らせた老舗のリーダー。主体性を引き出すために貫いた、二つのこと
- 第16回 『何やってもダメ』と諦める組織を覚醒させたリーダーの信念。V字回復、自律型組織への15年
- 第15回 社員に好かれようとしていては、組織は変わらない。経営危機の中で貫いたリーダーの覚悟
- 第14回 「やりがい」を与えようとして失敗した経営者が気づいた、マネジメントの本質
- 第13回 「人が辞めない組織」の絶対条件。3K職場が“離職ゼロ”へ──地方メーカーが貫いた、現場改革の哲学