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連載:第9回 よくわかる補助金・助成金 雇用・人材

ベテランが活躍するあなたの職場。従業員さんとの雇用契約を見直すだけで助成金が受けられるかも!

Logo markBizHint 編集部 2020年2月13日(木)掲載
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本日ご紹介する助成金は、「ベテラン職人さんが活躍する職場」にぴったりの支援策になっています。また、「若手従業員が確保できずに、人出不足への対応に苦慮している企業」向けにも導入を検討すべき支援策となっています。特に地方の企業さんで「高齢従業員を戦力として十分に活用できている」企業さんからは、どうしてもっと早く教えてくれなかったのかとおしかりを受けることも多い施策となっています。高齢従業員さんのみならず、会社全体の人事戦略とともに早急に検討すべき施策になっています。

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1.高年齢者無期雇用転換コースとは

 政府は、生涯現役社会の実現に向けて、65歳以上への定年引上げや高年齢者の雇用管理制度の整備等、高年齢有期契約労働者を無期雇用に転換を目指しています。そのような施策に賛同する事業主に対して助成する仕組みが、 「65歳超雇用推進助成金」 で、高年齢者の雇用推進を図ることを目的としています。

 その中でも、 「高年齢者無期雇用転換コース」 は、50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用に転換させた事業主に対して助成を行うコースです。冒頭でご案内したように高齢従業員を戦力にされており、「高齢従業員に辞められては困る」というような企業にとっては、まさに「渡りに船」のような施策です。

2.支給額と主な支給要件

(1) 支給額は中小企業が有利

 支給額は、大企業と比較して中小企業は優遇されています。一人当たり10万円も多く助成されるのです。しかも、生産性要件をみたすことで支給額の割り増しを受けることができます。

(2)生産性要件による割増が受けられます。

 助成金を申請する事業所が、次の方法で計算した「生産性要件」を満たしている場合に、助成の割り増しが受けられます。生産性が高いことに越したことはありませんので、取り組む価値があると思われます。

生産性の計算式 ** 生産性 =  付加価値  ÷  雇用保険被保険者数**

 生産性とは、要するに一人当たりの付加価値額のことを指しています。 付加価値と言ってもその解釈は広いのですが、法律では次のように定義されています。

付加価値=営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課

 つまり、簡単に言うと営業利益が増加すればOKということになります。具体的には、助成金の 支給申請を行う直近の会計年度における「生産性」が、3事業年度前に比べて付加価値 が、6%以上伸びていることが条件となっています。 また、金融機関から一定の「事業性評価」を得ている事業所であれば、付加価値の伸びは 1%以上(6%未満)でも条件を満たすこととみなされます。

 この「事業性評価」とは、市場での成長性、競争優位性、事業特性及び経営資源・強み 等について与信取引等のある金融機関が評価した意見のことです。つまり「今はまだ結果が出ていないけれど、総じて経営状態がよく、今後の成長が見込まれる企業」ということを金融機関からお墨付きをいただけている状態です。

 詳細については、厚生労働省のホームページを参照いただくか管轄の都道府県労働局にお問い合わせください。

(厚生労働省HP)
[https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137393.html]

(3)支給要件はいろいろあります。

①助成額の上限があります。支給申請年度1適用事業所当たり10人まで、 最大480万円 です。

②計画書が必要です。「無期雇用転換計画書」を(独)高齢・障害・求職者雇用支援 機構理事長に提出し、かつ計画内容について認定を受けていること。

③厳格なルールとして運用していること。雇用する50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約 労働者を、無期雇用労働者に転換する制度を労働協約や就業規則などに規定している こと。

 これら以外にも、不正受給を防ぐための要件がたくさん設定されています。 詳しくは、厚生労働省HPやお近くのハローワークか社労士に相談してみてください。

3.受給手続きの流れ

(1)計画に認定を受ける。

 計画は、計画開始の2か月前の日までに申請し認定を受ける必要 があります。

(2)助成金の申請は、実施後速やかに行う。

 支給申請は、対象者に対して正規雇用に転換後、賃金を6か月分至急した日の翌日から起算して2か月以内に申請する必要があります。 事前の準備が大切です。

4.受給に当たって注意すべきこと

(1)助成金の申請に関して、道立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構から調査を 受けたり、各種の報告を求められたりする場合があります。もちろん、期限までに機構の求める 書類が提出されない場合、助成金は支給されません。

(2)意図せずとも不正受給を行った事業主は、助成金の返還を求められることは当然のことな がら、会社名は、機構のホームページに公表されたり悪質な場合は刑事事件として告発されたり する、こともありますので、細心の注意が必要です。

(3)提出書類や添付資料は、そのコピーを支給決定されたときから5年間保存が義務付けられ ています。

5.メリットとデメリット

 今後も加速していくであろう超高齢化社会においては、高齢労働者を戦力としていくことは、中小 企業の選択肢の大きな一つです。であれば、このような助成金を獲得し、高齢労働者がやりがいをも って安全に働ける職場環境整備に充てるべきではないでしょうか。

 平成30年版高齢社会白書(概要版)によると、日本の高齢化率は、世界で最も高く27.7%と なっています。つまり4人に1人以上が65歳以上の高齢者であるということです。1990年代に世 界各国の中でもほぼ中位であったが、急激に高齢化が進み、2005年には最も高い水準となり今後 も高水準を維持していくことが見込まれています。

 このような人口構成の変化につれて、高齢者のイメージも20年前とは、大きく様変わりしました。2 0年前に65歳といえば、病院や公園、図書館などで日がな一日のんびり過ごす近所のご隠居さん を想像していました。しかし、いまはどうでしょうか?70歳定年制や定年制撤廃の動きも徐々に 始まりつつあります。いずれにしてもあなたの会社が、いま、人材不足で受注をこなす余力がない状態であるならば、この助成金を活用しつつ、従業員の定年制度を見直す良い機会ではないでしょうか?

 具体的には、定年を引き上げたり、定年の廃止も検討したりできるでしょう。これにより高齢者の継 続雇用を進め、人財不足に歯止めをかけることができます。

 ベテラン職人さんの多い企業では、定年を引き上げることや廃止することに好意的な従業員も少なく ないのではないでしょうか?彼らには、できるだけ長く働いてもらい、会社に貢献したい気持ちを持って 後輩の育成に意欲的に取り組んでくれれば、後進の育成にも役立つはずです。

 しかし、良いことばかりではありません。注意すべきこともあります。定年を廃止するということは、「いつまでも働いてもらえる」と同時に、「いつまでも辞めてもらえない」ということでもあります。それによって新陳代謝がなかなか進まなくなる可能性もあります。ましてや継続雇用制度を導入したことで、人 出不足解消、後進の育成などに貢献したベテラン従業員ですから、その後の処遇に困ってしまうことも見込まれます。

 人手が余ったり、「体調がすぐれなくなってきたのでそろそろ・・」と企業側に都合よく自主退職してくれたりする従業員ばかりではないでしょう。中期的な人事戦略を見据えた判断が必要です。

6.まとめ

 最後までお読みいただきありがとうございました。いかがでしたでしょうか?高齢従業員の処遇だけ に絞って検討するのでなく、会社全体の人員計画についても検討する必要があります。たくさんの細な制限がつけられているのは、それだけ政府が、きちんと対応してくれる企業を助成したい気持ちの表れ ではないでしょうか?

 政府は、本助成金以外にも生涯現役社会の実現に向けて、各種の企業支援策を打ち出して います。ぜひ、自社の経営方針に合う施策を検討していただき、事業のビジョン実現に活かしてくださ い。

(執筆)
株式会社プロデューサー・ハウス
山本哲也
中小企業診断士

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