連載:第10回 よくわかる補助金・助成金 雇用・人材
テレワークの導入を考えたら?【東京都】「はじめてテレワーク」のご案内
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控え、政府では観光客の増加による交通機関の混雑緩和に向け、テレワークの活用を推進しています。テレワークは、移動時間の短縮やオフィスコストの削減だけでなく、柔軟な働き方の実現により、優秀な人材の確保・定着につながるメリットもあります。一方、「テレワークを導入したいけれど、何からはじめたらいいのか分からない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。 そこで、今回は東京都の中堅・中小企業が活用できるテレワーク導入支援事業として、「はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助事業)」をご紹介します。
1.テレワークとは
テレワークとは、一般的に「ICT(情報通信技術)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」をいいます。働く場所によって、次の3つに分けることができます。
①在宅勤務
自宅を就業場所とする働き方。通勤時間の削減や、仕事と育児・介護等との両立による、働きやすい環境づくりを推進することができます。
②モバイル勤務
移動中や外出先、カフェなどを就業場所とする働き方。顧客先での迅速な対応や、移動時間の有効活用ができます。
③サテライトオフィス勤務
オフィス以外の遠隔勤務用の施設を就業場所とする働き方。郊外や地方に拠点となるオフィスを設置することで、雇用エリアの拡大や、災害時の事業継続性の確保につながります。
2. 企業におけるテレワークの導入状況
テレワークの導入企業は増加傾向にあります。2019年5月に総務省が公表した「平成30 年通信利用動向調査の結果」によると、企業において、テレワークを導入している又は具体的な導入予定があると回答した企業の割合は26.3%と、前年度の13.9%から12.4ポイント増加しています。また、テレワーク導入企業のうち、在宅勤務の導入率は37.6%、モバイルワークの導入率は63.5%、サテライトオフィス勤務の導入率は11.1%となっています。
テレワークの主な導入目的については、「定型的業務の効率性(生産性)の向上」の割合が56.1%と最も高く、次いで「勤務者の移動時間の短縮」が48.5%、「通勤弱者(身障者、高齢者、育児中の社員等)への対応」が26.0%となっています。 なお、導入目的に対する効果については、「非常に効果があった」又は「ある程度効果があった」と回答した企業の割合が81.6%となっています。
3. はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助事業)とは?
生産性の向上や人材の採用・確保のためなど、様々な目的でテレワーク導入を検討する企業が増えています。その一方で、「導入の進め方がわからない」「きちんと運用できるか心配」といった声も聞かれます。
そんな都内中堅・中小企業の皆さまにご紹介したいのが、(公財)東京しごと財団が実施する「はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助事業)」。本支援事業の実施を通じて、テレワーク導入に向けた課題の検討や業務プロセス整理・運用ルール策定などが進められるとともに、テレワークをトライアルするための環境構築経費や制度整備費の補助を受けることができます。さっそく事業内容を確認していきましょう。
(1)対象事業者
東京都が実施する テレワーク導入に向けたコンサルティング を受けた中堅・中小企業等のうち、以下の項目に該当する事業者が対象となります。
- 都内に勤務している常時雇用する労働者を2人以上999人以下、かつ6か月以上継続して雇用していること
- 就業規則にテレワークに関する規定がないこと
- 東京都が実施する「2020TDM推進プロジェクト」に参加していること
※その他詳細な要件は、ホームページより募集要項をご確認ください。
テレワーク導入に向けたコンサルティングとは?
補助金を申請するためには、東京都が実施する以下のいずれかのコンサルティングを受ける必要があります。コンサルティングを受けることで、自社の課題やテレワーク導入方法などを事前に検討しましょう。
①ワークスタイル変革コンサルティング
都内企業等に専門のコンサルタントが訪問し、テレワーク導入に向けた支援を実施します。現場の実態調査から解決策の提案・試行まで無料でサポートを受けることができます。申し込みは先着順です。
【費用】 無料
【実施方法】都内事業所に最大 5回 訪問(1回あたり約2時間)
【申込・問い合わせ先】ワークスタイル変革コンサルティング事務局
https://consulting.metro.tokyo.jp/workstyle/
②「業界団体連携によるテレワーク導入促進事業」に採択された団体等が実施するコンサルティング
※補助対象事業者として交付決定された団体の支援先企業(会員企業)が受けるものです。
(3)対象経費
補助対象経費は、次の2つです。
①テレワーク環境の構築
在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務を行うための環境構築費用
・テレワーク環境を構築するための機器・関連ソフト等導入費用
・モバイル端末等整備費用
②就業規則へのテレワーク制度整備
テレワークに関する規定を就業規則に定めることに要する専門家への委託費
環境構築費用のうち、機器・関連ソフト等は、東京都が作成する「テレワーク導入プラン」ホームページから選定する必要があります。テレワーク導入コンサルティングを受けた際に作成される「テレワーク導入パッケージ提案書」を参照し、ホームページから該当するパッケージを確認します。なお、モバイル端末等(ノート型パソコン、スマートフォン、タブレット端末等)はテレワーク導入プランに掲載されていない製品も対象となりますが、1台税込10万円未満の製品の購入が対象となります。
参考:[テレワーク導入プランHP]
https://www.telework-plan.metro.tokyo.lg.jp/
(3)補助金額
補助金額の上限は、従業員数により異なります。
従業員数300人~999人の企業では、①テレワーク環境の構築100万円、②就業規則へのテレワーク制度整備10万円を合計して、 最大110万円 まで補助を受けることができます。
(4)対象期間
支給決定日から3カ月以内に完了する取り組みが対象です。支給決定前に取り組んだ事業は対象外となりますので、必ず支給決定日以降に着手しましょう。
4. スケジュール
続いて、事業のスケジュールを見ていきましょう。
(1)補助金を受け取るまでの流れ
①コンサルティングの終了
②導入予定機器の選定
③申請書の作成・書類提出
④審査
⑤支給決定
⑥補助事業の実施
⑦実績報告書の作成・書類提出
⑧審査
⑨補助金額の確定
⑩補助金の請求
⑪補助金の振込
②では、テレワーク導入コンサルティングを受けた後は、コンサルティングの際の作成した「テレワーク導入パッケージ提案書」を参照して、導入機器を選定します。
③では、申請書と提出書類一式がすべて揃い、内容に不備が無いことを確認した時点で正式受領となります。正式受領から支給決定までの期間は約1か月です。支給決定後は3カ月以内に事業を完了させましょう。
補助事業完了後は、実績報告書の作成が必要です。原則として支給決定日から4カ月以内に提出します。
実績報告の提出が終わると、審査を経て補助金額が確定します。補助額確定通知書が郵送されたら、速やかに補助金請求の手続きをしましょう。
(2) 申請受付期限
令和2年3月31日まで(締切日必着)
申請書類は、郵送または持参(来所日時の電話予約が必要)により提出します。
※予算の範囲を超えた場合は、申請受付期間内でも受付終了となりますのでご注意ください。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか。テレワーク導入に向けた支援策を活用することで、導入前の課題解決や、購入機器の経費負担を軽減することができます。働き方改革の推進などに伴って今後も注目されるテレワーク。これを機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。
(執筆)
株式会社プロデューサー・ハウス 辻村藍
中小企業診断士
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