close

はじめての方はご登録ください(無料)

メニュー

BizHint について

カテゴリ

最新情報はニュースレター・SNSで配信中

連載:第15回 よくわかる補助金・助成金 雇用・人材

建設分野の若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース

BizHint 編集部 2020年3月19日(木)掲載
メインビジュアル

少子化問題により、人材不足はますます進むといわれています。最近は女性の社会進出が著しいといわれていますが、早い段階で若年者や女性が職場に定着してくれれば、人材不足を回避できるかもしれません。今回はそんな問題を解決する「人材確保等支援助成金 若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース」(建設事業主経費助成)について解説します。この助成金は、若年者や女性が継続して働きたいと思わせるような職場づくりを行った事業主に支給されます。建設分野は特に人手不足といわれていますので、ぜひ内容をご一読ください。

メインビジュアル

1. 旧建設労働者確保育成助成金の一つ

建設事業主等に対する助成金は「建設労働者確保育成助成金」といわれていました。現在では建設事業主等に対する13の助成コースが存在しています。そのうちの一つが「若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)」です。これには同じ名称で3つのコースがあります。事業主経費助成、事業主団体経費助成、推進活動経費助成です。

この助成金は「事業主経費助成」を行い、若年者や女性労働者の入職及び定着を図ることを目的とした事業を行った建設事業主に対して助成されます。ここで少しだけ助成の定期用を受ける建設事業主や建設業の許可区分について少し補足しておきます。

中小建設事業主と建設事業主団体とは

資本金の額若しくは出資の総額が3億円以下、又は常時雇用する労働者数が300人以下の建設事業主をいいます。ここでいう事業主経費助成はこの中小建設業者が助成されます。

一方建設事業主団体とは、直接か間接の構成員(この場合は事業主です)の数が50%以上、かつ雇用保険の保険関係が成立している 事業に関する建設事業主の割合が50%以上の団体を指します(少しわかりやすく言うと、財団法人や連合会などを想像してください)。ここでいう事業主団体経費助成はこれらの団体が助成されます。

建設業法における建設業の許可区分


建設事業主等に対する助成金(旧建設労働者確保育成助成金)のご案内(建設事業主向け) 平成31年度版より

受給できる建設事業主と事業

建設事業主は「若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業」を実行する建設事業主であり、以下に挙げる事業を行います。その際、雇用管理責任者は選任されている必要があります。これらの事業実施期間は最大1年間となっています。
建設事業主等に対する助成金(旧建設労働者確保育成助成金)のご案内より抜粋

雇用管理研修・職長研修とは

助成対象となる研修内容です。このために必ず雇用管理者を決めておく必要があります。
建設事業主等に対する助成金(旧建設労働者確保育成助成金)のご案内より抜粋

助成される金額

事業主の経費助成は以下のようになっています。

※生産性要件を満たした場合の助成額があります。生産性を向上させた事業所に対して、本来の支給額に加えて割増などが行われます。 詳しくはこちらをご確認下さい。

2. 建設分野では女性の活躍が期待されている!

この助成金は厚生省が助成しているものですが、実は女性に限ってお伝えすると、国土交通省でも「建設業界を挙げて女性の活躍を歓迎します」というスローガンとともに、女性技術者や技能者を5年で倍増させる計画があります。加えて女性がもっと活躍できる建設業へ向けた取り組みの一環として、「建設産業助成活躍推進ネットワーク」(平成30年予算事業)というものが設立されています。

この背景には、内閣府の男女共同参画局による「すべての女性が輝く社会」の方針をベースに各府省への反映が行われているからです。さまざまな状況に置かれた女性が希望を実現して輝くことにより、「女性の力」が十分に発揮され、社会の活性化につながるという考え方に基づいています。

まだまだ建設業界は女性が働きやすい環境とはいえません。まず代表的な意見としては3Kといった、イメージが先行してしまっていることや、建設業界自体が変化していることが知られていない、といったこともあります。建設業界自体が変化しているとは、建設=力仕事という固定観念に捕らわれ、システムオペレーティングや管理業務は力仕事ではないといった事実が広まっていないからです。

また建設業に限らず、女性活躍を推進する仕組みは広がりつつあります。労働人口が減少するなかで、人手不足を解消するには、女性に関わらず男性も含めて多様な働き方を選択していく必要がでてきます。女性は建設分野への進出がまだ遅れていますが、近い将来に個人個人を尊重したダイバーシティ経営ができる中小企業が今後生き残るでしょう。

「女性活躍推進法」は平成28年に施行されましたが、すでに建築業界は人手不足になっており、平成26年には「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」に則り女性の積極採用を考え始めました。その意味からも他の産業より早めに舵取りをした業種です。そして今後女性を積極的に採用し、かつ定着させる取り組みを行っている企業は、深刻な人材不足も解消するようになるでしょう。

3. 若年層・女性を定着させる本当の意味とは

女性に関しては「女性活躍推進法」が施行されたことで、建設業界でも徐々に風向きが変わってきました。しかし若年層を定着させるのは、女性を定着させるのとひと括りにできないのではないか、と考える方もいるでしょう。

この若年者と女性は建設業界では定着率がよくないといわれています。実際、女性に対する取り組みが建設業界でなされるまでは、施工管理を女性がするのはまれでした。しかし力仕事以外の管理セクションは女性でも務まる仕事です。女性が定着することで、今まで人材不足だった部門は解消できるようになります。

そして若年層はどうでしょうか。実は中小企業庁の資料によると、「若年者雇用の不安定化」は大きな問題になっています。10代・20代だけでなく、30代のフリーターも増加しているという事実があります。雇用や収入が不安定な若者が増え、若年者雇用が安定化しません。彼らの多くは未婚の割合も多く、その結果が少子化を加速させる結果になっています。つまり若年者雇用が安定すれば、将来的には中小企業の雇用や経営も安定し、少子化解消の一つになるというのが政府の本当の意味です。

本当はフリーターでも正社員として働くことを希望しています。そのためにも離転職を繰り返したり、離職期間が長いことで就職困難になっていたりする若年者に対して、魅力ある職場づくりをするのは決して損ではありません。

4.まとめ

この助成金がきっかけで建設現場での女性社員の雇用が増え、若者が定着すれば経営者としては努力のし甲斐があるというものです。

建設業界の人材不足に一役買う助成金。上手に使ってウィークポイントをカバーしてください。最近では工事現場で重機を操る重機女子も活躍しています。また電気工事士にも女性が多くなっています。経営者の方は建設業界でも女性が安心して働ける、男性と同様に働けることを実証してあげてください!

※最新の情報はHPにてご確認ください。
厚生労働省:建設事業主等に対する助成金(旧建設労働者確保育成助成金)

監修:長谷川祐也(中小企業診断士/経営学修士) 執筆:リカル

この記事についてコメント({{ getTotalCommentCount() }})

close

{{selectedUser.name}}

{{selectedUser.company_name}} {{selectedUser.position_name}}

{{selectedUser.comment}}

{{selectedUser.introduction}}