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連載:第12回 よくわかる補助金・助成金 雇用・人材

介護しながら仕事を支援してくれる介護離職防止支援助成金とは

Logo markBizHint 編集部 2020年3月5日(木)掲載
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日本は少子高齢化社会といわれていますが、総務省によると65歳以上の人口は2019年で過去最多を更新し、総人口に占める割合は28%以上となりました。また介護する世代も40~60代となり、まだ現役世代が働きながら介護しなければなりません。現役世代が介護を支えるという事実は、介護と仕事の両立が前提となっています。そこでその両立を可能にしてくれる「介護離職防止支援助成金」について解説します。介護をしなければならない社員に対して、仕事と介護を両立しやすい制度を整えるものです。社員が離職せずに、働き続けられる制度を整えたいとお考えの経営者の方に必読の回です。

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1. 深刻な介護離職という現実

冒頭でもお伝えしたように、高齢者の人口増加に伴い要支援・要介護認定者数が増加しています。介護される側の人口が増えることは、介護する側も同等かそれ以上の人数が必要になります。とりわけ働き盛り(40~60代)の世代の介護者は、企業の中核を担う労働者であり、企業では管理職として活躍する方や重責職務に従事している方も多くいらっしゃいます。

介護は突発的な問題が発生することもあり、介護を行う時期や方法もさまざまであることから、仕事と介護の両立が難しいこともあります。介護離職者の切実な意見としては「想像している以上に大変」だったという声が多く聞かれます。特に介護の負担が重くなると、仕事と介護の両立が難しく、最終的には自宅介護に専念せざるを得ない方も出てきます。

厚生省の調査資料「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査」によると精神面・肉体面・経済面のいずれも負担が増加したと答えています。また働きながら介護をしている人の数は年々増加しています。

今や介護離職は深刻な社会問題であり、経験豊富なベテラン社員が介護を理由に退職してしまうのは、企業としても大きな減益になるでしょう。そのため国はさまざまな取り組みを進めており、その一つが介護離職防止支援助成金です。

2. 介護離職防止支援助成金の内容

平成28年度に介護支援取組助成金が廃止され、介護離職防止支援助成金へと移行しました。これは社員が仕事と介護を両立するための制度を整えるために支給される助成金です。

そのため介護休暇・介護制度・制度に関する研修や窓口を社内に設けるといった環境づくりに特化しています。環境づくりのために社員の実態を把握するためのアンケートや研修用資料などはすべて厚生省がWEBサイトに用意しているので、必要ならダウンロード可能できるようになっています。厚生労働省 両立支援等助成金・支給申請の手引き(2019年度版)より抜粋

2-1.申請可能な事業者

申請可能な事業者は以下の3つをクリアしていなければなりません。

  1. 仕事と介護の両立を可能にする職場環境を整える取り組みを行っている
  2. 雇用保険被保険者に対して「仕事と介護の両立実態把握アンケート」を実施し、実態を把握する
  3. 「介護支援プラン」を作成して導入を行う(プラン通りに社員が介護休業を取得して、職場に復帰するか介護両立制度を利用するという実績が必要になります)

アンケートは休業者を除き、常用雇用されている社員全員に行ないます。アンケート結果をもとに状況を把握し、介護休業関係制度を就業規則に規定するなどをします。 ※詳しくは仕事と介護の両立支援実践マニュアル(企業向け)に取り組み方法や実践マニュアル、実態把握票調査などの書式が揃っていますのでご覧ください。

2-2.対象の労働者

離職防止支援コース(助成金のこと)には支給まで2つの流れがあります。一つは A.介護休業 の場合と B.介護両立支援制度 の場合です。どちらも 「介護支援プラン」 の作成が必要です。対象となる労働者は、AかBのいずれかに該当しなければなりません。

A.介護休業 (休業取得時・職場復帰時)に以下の6つを満たしている必要があります。

  • 休業取得時
  1. 作成した介護支援プランに基づき、要介護状態にある対象家族について合計14日以上の介護休業を取得させていることと
  2. 要介護者の事実を把握した後、介護休業取得者が1回以上面談実施したうえで、結果を記録して介護支援プランを作成していること
  3. 介護支援プランに基づき、介護休業取得者の業務の整理や引継ぎが実施されていること
  • 職場復帰時
  1. 休業取得時と同じ休業取得者に対して、上司か人事労務担当者が面接を実施して、結果を記録していること
  2. 休業取得者の1.の結果から、職場に復帰させていること
  3. 休業取得者を、介護休業終了後に、引き続き雇用保険の被保険者として3か月以上雇用し、支給申請日に雇用していること

B.介護両立支援制度 これは事業主に関する要件が該当することで支給されます。

  1. 介護支援プランに基づき、介護両立支援制度をいずれか1つ以上導入し、利用要件を満たしていること
  2. 対象家族の要介護の事実を把握して、制度利用開始日の前日までに休業取得予定者と面談実施したうえで、介護支援プランを作成していること
  3. 作成した介護支援プランに基づき、休業取得している期間の取得者の業務をサポートする取り組みが定められていること
  4. 制度利用者が合計42日間の制度利用終了後も、引き続き雇用保険の被保険者として1か月以上雇用、さらに支給申請日にも雇用していること

このように支給には2種類ありますが、同一の介護求職者に関しては休業取得時と職場復帰時の2回支給されます。少し複雑に感じるかもしれませんが、あくまで介護休業を円滑に取得させる制度やサポートを社内で構築する機会になります。また申請は実績の後なので従業員が休業取得中に申請しないようにご注意ください。

2-3.助成額

介護が必要な社員に対して、「介護支援プラン」に沿ってサポートを行います。実際に社員が介護休業を取得後、職場に復帰したり、介護両立制度を活用したりした場合に申請し助成されることになります。左に記載されているのが通常の助成額、右の<>は生産性要件(※1)を満たした場合にもらえる助成額です。

  1. 介護休業 【休業取得時】 28.5万円<36万円>(※2)
         【職場復帰時】 28.5万円<36万円>
  2. 介護両立支援制度 28.5万円 <36万円>(※3)

※1 生産性要件“企業が生産性向上のため取り組みを支援するために、一定の要件を満たしていた場合に助成金の割増などが行われること。
※2 それぞれ、1企業あたり1年度5人まで支給
※3 詳しくは厚生労働省平成31年度 雇用・労働分野の助成金のご案内(簡略版)を参考にしてください。

3. 厚生労働省の仕事と介護両立支援~両立に向けての具体的ツール

厚生労働省では介護離職を防ぐために、具体的なツールをウェブサイト上で公開しています。最初に 「仕事と介護の両立準備ガイド」 (企業向け)があり、これはわかりやすく動画でも解説されています。助成金を申請する場合は必ず目を通さなければならないガイドです。このガイドには、人事労務担当者向けと管理職向け、社員向けの3種類があります。

実践する際企業向けには、 「仕事と介護の両立準備ガイド」「仕事と介護の両立支援実践マニュアル」 があります。前者は従業員から介護の相談を受けた時にどのような対応や支援をしていくか、またはどのように取り組むべきか、必要な支援ツールなどが記載されています。

後者には上記の具体的取り組み方法や支援メニュー 「介護離職を予防するための両立支援対応モデル」 を実践する際のマニュアルが用意されています。また2-3でも少し触れましたが「介護支援プラン」は、実際に介護に直面した従業員のために、安心して仕事と介護の両立が可能なように企業が策定するプランのことです。マニュアルには 「介護支援プラン」 の策定方法やモデルプランが提示されています。

労働者向けの資料には、実際に仕事と介護の両立が実現できる方の事例が紹介されています。ただ企業側からのアプローチを待つだけでなく、介護をしなければならない人の立場にたった事例なので、自分のケースに当てはめやすいでしょう。

本来は助成金のためでなく介護離職をなくすための方法

ずいぶんと資料がたくさんあるというイメージを持たれたでしょう。仮に介護をしなければならない従業員が現在いなくても、これらの制度や取り組みは本来企業側で用意すべきであるという考えに基づいています。

実際に介護しなければならない従業員が出てきた場合、企業側で事前に用意しておけば対応もサポートも可能です。そして従業員アンケートが必要な理由は、個々の従業員のケースが多種多様であることを意味しています。つまり介護を受ける方の状態の変化やその時の従業員の家族に、介護をサポートしてくれる人がいる…など、人によっても条件や介護の範囲が違います。

それを事前に企業として把握することで、初めてどんな社内研修を行えばよいのか、介護支援プランを構築すればよいのかを決定することができます。最終的に助成金申請のための実績づくりにはなりますが、大切な社員を離職させないためにも、事前準備と計画性が重要です。

4. まとめ

介護離職防止支援助成金は国が介護離職を避けるために作った助成金です。そしてこの助成金は対象となる業種が指定されていないので、どんな企業でも活用できます。一番重要なのは「介護と仕事を両立させる制度を従業員が実際に利用した」場合に助成が行われるということです。

介護をする従業員がまだいない場合、制度を作っては損なのでは?と考える経営者もいらっしゃるかもしれません。しかし介護による休業が想定されそうな年代の従業員がいて、現在重要なポストに就いているような職場なら、早めに対策をしておく必要があるでしょう。

監修:長谷川祐也(中小企業診断士/経営学修士) 執筆:リカル

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