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連載:第3回 よくわかる補助金・助成金 雇用・人材

80%以上が助成金を利用!新規就農とは?農業次世代人材投資事業に注目

Logo markBizHint 編集部 2020年1月5日(日)掲載
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現在、日本の農業は岐路に立たされています。昭和・平成と日本のさまざまな産業は大きく発展しましたが、その一方で農業は徐々に衰退していきました。また日本の農業の中でも大きな割合を占めていた稲作ですが、日本人一人当たりの年間コメ消費量は年々減少し続けています。 こうした流れに歯止めをかけようと、政府・地方自治体は農業に携わる人や新規で農業を始める人に対し、さまざまな補助金・助成金事業を行っています。中でも注目されているのが、新たに農業に参入する人を助成する「農業次世代人材投資事業」です。今回はこの助成金について解説しますので、これから農業に参入しようとする企業は必読です。

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1.新規就農の現実

農業に従事する人口は年々減少しています。特に顕著なのが、若者の農業離れです。地方の若者は都市部に出て、農村部で農作物の生産を担うのは高齢者という地域が目立っています。

一方で若者が農業にまったく興味がないかというとそうでもありません。就職氷河期、ブラック企業、ワーキングプア、長時間労働、などさまざまな社会問題が若者にプレッシャーとなってのしかかっている今、田舎暮らしやスローライフといったライフスタイルへの憧れにつながっています。さらに2000年以降のヘルシー志向により有機栽培なども注目され、農業に関心を持つ人が増えたといわれています。

しかし農林水産省の調査によれば、2010年の49歳以下の新規就農者人口は1万7000人ですが、2015年には2万3000人と増加傾向にあるものの、辞めていく人には到底及びません。

その理由は、新規就農には大きなハンデがあるからです。従来型の農家は、親からさまざまなものを引き継ぎます。一番大きなものは農地です。耕す田畑がなければ農業ははじめられません。新規就農をしようと思ったら、まずは耕す土地の確保から考えなければなりません。

また、農業にはさまざまな農機具が必要です。時には数百万円から数千万円もする投資が必要になることもあります。使い古しではあっても、さまざまな資材・機器を親の代から引き継げるのはかなり優遇されているといえるでしょう。そして栽培ノウハウや販路なども、農家にとっては貴重な財産です。新規就農者がそれらを一から身に付け、軌道に乗せるのは非常に大変です。

最後にもう一つ、大きな問題が生活費です。農業は収穫まで時間がかかります。荒れた土地を耕してすぐ作物が手に入るわけではありません。時にはまともに収穫できるまで数年かかる、ということもあります。そのため何年か分の生活費をあらかじめ用意できなければ、新規就農はかなり厳しくなるでしょう。

ネガティブな側面ばかりの就農ですが、それを少しでも補い、農業に興味を持った若者に就農を後押しするための補助金があります。それが 農業次世代人材投資金 です。

2.新規就農の大きな助けになる補助金

農業次世代人材投資資金は、新たに農業を始めようとする人にとって大きな助けになります。新規就農をするまでに、実際はかなり時間がかかります。就農をしたい場合、窓口となるのは各自治体です。そこで住居の斡旋などと同時に、研修農家のマッチングをしてくれます。農業というのは、ノウハウが非常に重要であり、それを学ぶ期間が設定されています。

新規就農希望者はまず、農業研修生として1~2年間研修を受けることが一般的です。しかしこの研修期間が新規就農の大きな壁になっているのも現実です。研修先の農家で農作業を手伝うことで給与を受け取ることはできます。しかし8~15万円程度がほとんどで、家庭を持っている場合などはそれで生活を賄うことはできません。

そうした際、活用したいのが補助金です。

農業次世代人材投資金は 「準備型」 (2年以内)と 「経営開始型」 (5年以内)があります。準備型では、就農前の段階で補助金を受け取ることができます。年間150万円、最長2年間、つまり月14万円前後の支援をうけることができるのです。もちろん以下のような条件があります。

交付対象者の主な要件(すべて満たす必要があります)

  1. 就農予定時の年齢が、原則50歳未満であり、次世代を担う農業者となることについての強い意欲を有していること
  2. 独立・自営就農または雇用就農を目指すこと  親元就農を目指す者については、研修終了後5年以内に経営を継承するか又は農業法人の共同経営者になること
  3. 都道府県等が認めた研修機関等で概ね1年以上(1年につき概ね1,200時間以上)研修すること
  4. 常勤の雇用契約を締結していないこと
  5. 生活保護、求職者支援制度など、生活費を支給する国の他の事業と重複受給でないこと
  6. 原則として青年新規就農者ネットワーク(一農ネット)に加入すること

(注)以下の場合は返還の対象となります

  1. 適切な研修を行っていない場合  交付主体が、研修計画に則して必要な技能を習得することができないと判断した場合
  2. 研修終了後 1年以内に原則50歳未満で独立・自営就農又は雇用就農しなかった場合 準備型の交付を受けた研修の終了後、更に研修を続ける場合(原則2年以内で準備型の対象となる研修に準ずるもの)は、その研修終了後
  3. 交付期間の1.5倍(最低2年間)の期間、独立・自営就農又は雇用就農を継続しない場合
  4. 親元就農者について、就農後5年以内に経営継承しなかった場合又は農業法人の共同経営者にならなかった場合
  5. 独立・自営就農者について、就農後5年以内に認定農業者又は認定新規就農者にならなかった場合
    農林水産省:農業次世代人材投資資金とは

また、前述のように農家経営を始めても、すぐに収入を得られるわけではありません。そのため就農直後の経営を確立する時期を支援する制度として、同じく年間最大150万円(資金交付金額は所得に応じて変動)。こちらは期間が長く最長5年間受け取ることができます。

ただしこうした補助金は、45歳以下に限定されています。それ以上の年齢で農業を始めたい場合は、都道府県・市町村といった自治体が独自で設けている支援事業を調べてみましょう。給付型の補助金や助成金以外に、無利息または非常に低利息での融資を受けることができる場合もあります。

3.メリットは大きいが頼りすぎに注意が必要

農業次世代人材投資金は要件を満たせば年間150万円を受け取ることができます。研修期間2年間、就農後5年間、フルで受給できれば1,050万円にもなります。これは新規就農を希望する人にとって、経営の基盤を作るためにもぜひ活用したいものです。

また、受給審査に通るため作成する経営計画などは、就農後の指針となるものなのでぜひ事前に作っておきましょう。経営計画を作るというのは、補助金を受給するためだけでなく、自分の経営を客観的に見ることができる大切な資料になります。

このようにメリットの多い補助金なので、 新規就農をする人の80%以上の人が申請 し、補助金を受けています。しかし5年間という時間が区切られていることを忘れてはいけません。支給がなくなる就農5年後までに自立ができなければ、農業から離れなければなりません。

補助金でリスクを減らすことも重要ですが、一つの補助金頼みになってしまうとそれが終了した時の落差が大きいはずです。そのため常に先を見据えた経営戦略が必要です。

そこで就農時の補助金・助成金だけでなく、すでに農業に従事している人でも利用できる補助金・助成金についても検討してみるのも手です。既存の農業従事者でも活用できる補助金・助成金(または融資)として以下のようなものもあります。

・経営体育成支援
強い農業・担い手づくり総合支援交付金(先進的農業経営確立支援タイプ・地域担い手育成支援タイプ)(令和元年度)

前者は地域の中心経営体等に対し、農業用機械等の導入を支援される。後者は意欲ある農業者の経営発展を促進する農業用機械・施設の導入を支援する。
農水省:経営体育成支援

また、補助金や助成金とは異なりますが、低利で融資を受けられる制度もあります。

・農業経営基盤強化資金(スーパーL資金)
農業経営改善計画の達成に必要な資金を低金利で融資してもらえる制度。比較的低金利(詳しい金利は金融機関に確認が必要)で借入れ可能で、限度額は個人が3億円、法人は10億円まで融資を受けることが可能。償還期限は25年以内(うち据置期間10年以内)。
農水省:農業経営基盤強化資金(スーパーL資金)

・農業近代化資金
認定農業者、認定新規就農者、主業農業者、集落営農組織、農業を営む任意団体など、条件を満たせば個人の場合1,800万円、法人・団体は2億円まで融資を受けることが可能。償還期限は資金使途に応じ7~20年以内(据置2~7年以内)。
農水省:農業経営近代化資金

4.まとめ

ここでご紹介した就農関連の補助金が50歳以下でしか受給できない理由は、一つに体力の問題もあるでしょう。どんな事業でも新しく始める場合、年齢は関係ないといいつつも、現実的に農業は体力勝負という側面も否めません。

皆さんの中で農業経営に興味がある、農業で生計を立てたい、ECや産直で成功してみたい、という就農希望者はぜひ補助金の相談をしてみてください。最近では産直や消費者に直接届くネット販売という方法も確実に広がっています。そして農業も今や近代経営の時代です。農業のノウハウだけでなく、経営も問われる時代になっていることをお忘れなく!

監修:長谷川祐也(中小企業診断士/経営学修士) 執筆:リカル

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