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連載:第2回 補助金・助成金 活用術

補助金獲得をサポートしてくれるコンサルタントを見極めよう

BizHint 編集部 2019年11月14日(木)掲載
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補助金・助成金は、通常の融資などと違い返済が不要なため、起業したばかりの経営者や発展途上にある中小企業にとってありがたい資金調達の方法です。そして上手に活用できるかどうかで、企業の成長や安定性に大きな差が出ることもあるでしょう。 補助金・助成金は誰でも要件に合えば申請できますが、種類が多く申請方法も複雑な場合があります。そんな場合は、企業の補助金・助成金の申請を手助けしてくれる存在として「補助金・助成金のコンサルタント」に依頼してみるのもよいでしょう。そこで今回は、補助金・助成金の獲得をサポートしてくれる、コンサルタントのメリット・デメリットをご紹介します。

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1.申請から獲得までどのくらい大変か

補助金・助成金は返済しなくてもよい資金調達の方法なので、会社経営にも積極的に活用したいものです。しかしいくら返済しなくてもよいからといって、申請から獲得まで誰でもスムーズに行えるとは限りません。申請手続きの事務負担は案外大きく、本業が忙しくて申請がうまくできないという方もいらっしゃるでしょう。

補助金・助成金は条件を満たすことにより支給されるので、企業経営者なら「資金繰り」を予定できるでしょう。しかし補助金・助成金は決められた予算を申請者間で取り合いすることになるので、獲得するためには申請ノウハウが必要になることもあります。そこで申請がどのくらい大変なのか、以下の流れをもとに考えてみましょう。

・補助金・助成金を申請し受給するまでの流れ

1.自社が受給できる可能性がある補助金・助成金を探し出す
2.応募・申請条件を確認し、準備する
3.書類を整え申請する
4.申請が認められた後、補助金・助成金を受け取る
5.補助金・助成金の種類によっては報告を行う

一見すると申請から取得まで簡単に見えますね。しかしこれが現実的にどのくらいの負担になるか判断できません。そこで最大1,000万円と高額な補助金で知られている 「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)」 を例に考えてみます。これを獲得するために必要なことを追ってみていきましょう。

まず上記1から4のなかで、今回はものづくり補助金の例なので、2の公募要領の確認・準備からスタートしましょう。こうした公的書類を見慣れている人であれば問題ないでしょう。ただし普段からこうした書類を見慣れないと、申請に必須となる内容を隅から隅まで確認しなければなりません。場合によってはここだけで数時間~数日かかることもあります。

そして補助金を獲得するために「加点要素の確認・準備」が必要です。助成金は要件を満たせば受給できますが、補助金は条件を満たしたうえで自社が補助金を受けるにふさわしい、と説得しなければなりません(※1)。自社のアピールポイントが加点要素として当てはまるかどうかを確認し、当てはまらなければ該当するように調整します。
※助成金はどのような事業にどう補助金を使用するかが審査されて受給できる。申請内容に加えて加点項目もポイントとして加点される。

また、公募要領説明会なども開かれることがあるので必ず出席しましょう。不明点があればその都度事務局への問い合わせを行い、問題をクリアにしておきます。

さらにそこから、実際の提出書類である事業計画を作成しなければなりません。事業のアピールをするために、内容の構成を考え、事業の特徴・他社との差別化を明記します。また財務状況を確認するために経理・税理士と打ち合せを重ねた後、申請書類の裏付けとなる資料を作成します。これが一連の流れです。

「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」 (※2)は受給ハードルがかなり高い補助金です。獲得するためにはしっかりと計画をたてて進めなければなりません。他の補助金・助成金は、似たような作業が必要となりますが、高額補助金であればあるほど、提出資料は多くなります。そのため申請するだけでも、企業経営者が実務をこなしながら行うのは非常に厳しいはずです。

そこで補助金選定から申請までサポートしてくれる、豊富なノウハウを持つコンサルタントに依頼してみるのはどうでしょうか。前段の1~4までのすべての場面で、コンサルタントは代行またはサポートをしてくれます。たとえば公募されている補助金・助成金の選定や必要書類の準備から提出まで、一貫してやってくれるとこともあります。または費用を抑えるために一部だけ委託するという依頼方法も可能です。上手にコンサルタントを活用できれば、時間が足りない経営者にとっては大きなプラスとなるでしょう。
(※2)2019年10月現在「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」は公募を締め切りました。来年度に関しては中小企業庁のサイトをご覧ください。

2.コンサルタントに依頼する場合の費用

補助金・助成金を受給したくても、そこまで手をかけられない。そんな時に頼りになるのがコンサルタントですが、依頼するとなると一体どのくらいの費用がかかるのでしょうか。実はコンサルタントによってもかかる費用がまちまちです。たとえば代表的な項目は以下の4つです。

  • コンサルタント費用
  • 着手金
  • 成功報酬
  • 顧問料

これらの項目を組み合わせて、通常はコンサルタントが見積りを提出してきます。なかにはコンサルタント費用や着手金はそれほど高くありませんが、成功報酬として補助金・助成金の50%以上も支払わなければならない場合もあります。
たまに成功報酬10%!などを売りにしているところもありますが、顧問料を後日請求してきたなんて話もありますので、最初にしっかりと見積りを作らせ、それ以上かからないのかどうかもしっかり確認しておきましょう。

ではどれくらいの費用が適切といえるでしょうか。助成金200万円を受給すると想定した場合、通常コンサルタント費用として20~30%が適切な範囲といわれています。補助金・助成金の受給金額が低い場合はコンサル費用の割合が高く、金額が高い場合は割合が低くなる傾向です。ただし、費用だけを見ても適切かどうかは判断できません。

費用を決めるのはサービスの中身です。コンサルタントといっても、単に書類の書式を揃えるだけなら依頼するメリットは低いでしょう。しかしこのコンサルがいなければ補助金・助成金が獲得できなかったという場合には(それがたとえば50%近く支払わなければならなかったとしても)割り切るという判断が求められることもあります。

自社にとって「コンサルに何を求めるのか」ということをしっかり考えておくことが重要になります。

3.悪質コンサルタントに注意!見分けるにはどうすれば?

コンサルタントは上手に利用すれば、補助金・助成金獲得の有効な手段になります。しかしなかには悪質なコンサルタントも存在するので注意してください。最低でも以下の7つの項目がよいコンサルタントかどうかを見分けるポイントになります。

(1)補助金・助成金の知識、経験、獲得実績がある
(2)強引な営業トークがない
(3)リスクや負担などのマイナス面をしっかり話してくれる
(4)不正受給などの誘いをしない
(5)関連の法律についての知識がある
(6)自分の商材を売り込もうとしない(売り込む人は論外)
(7)獲得だけが目標でなく、獲得後の経営の方向性やあるべき姿についても考えてくれる

コンサルタントといっても、実は自分の商品(サービス)の営業だったというケースもあります。たとえば「うちの商品を使えば、助成金が獲得できて費用はほとんどかかりません!」といったような誘い文句で営業したりします。これは助成金獲得コンサルと抱き合わせの営業行為で、助成金獲得は二の次であることも多いようです。

さらに注意したいのが、いくつかの助成金を抱き合わせるケースです。これはコンサルティングが必要な助成金は一部だけで、あとは自社で申請すれば簡単に通るようなものを抱き合わせて、大幅な利益を得ようする営業行為です。

わかりやすい事例をご紹介しましょう。

A社は補助金を複数抱き合わせで獲得するために、80万円のコンサルティング費用がかかりました。助成金6つに応募し、140万円の助成金を得られたので、差し引いて60万円のプラスになったということで一応納得したとのこと。しかし実際に1つの助成金のコンサル費用40万円だけが必要で、残りの5つは社労士や税理士に頼めば済む話だったそうです。補助金や助成金の仕組みを理解しているコンサルタントだからこそ、こんな方法で費用を請求できるわけです。

最後に、補助金・助成金の不正受給は厳禁です。不正受給はニュースに取り上げられることも多く、明るみに出れば一発で再起不能なダメージに陥ることもあります。残念ながら甘い誘いで持ちかけてくるコンサルタントも存在します。獲得するにあたっては、あいまいなグレーゾーンも確かにありますが、健全とはいいがたい補助金・助成金の提案を受けた際は、慎重に検討して避けるようにしましょう。

4.まとめ

補助金・助成金を申請して受け取るまでは時間がかかります。どんな経営者でも、返済しなくてよい、と聞くと申請したくなるはずです。そこに付け込んでコンサルティングしようとする人物がいるもの本当です。

しかしそんな方ばかりでなく、大半の方は真摯にコンサルティングしてくれるはずです。何が自社にとって一番重要なのか、コンサルティングの必要があるのかどうかをよく考えてから依頼してください。

監修:長谷川祐也(中小企業診断士/経営学修士) 執筆:リカル

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