連載:第2回 CLO会議2019イベントレポート
エンゲージメントの高いチームを作るアトラエとアカツキの仕組み【CLO会議2019イベントレポート】
VUCA時代のなか、柔軟で強い組織創りの一環としてエンゲージメントが注目されています。なぜ重要なのか、どのようなカルチャーや取り組みが効果的なのか。実際に取り組む2人の経営者がディスカッションしました。本記事は、2019年9月10日にグロービス東京校で開催された『CLO会議』14:00~のディスカッション『エンゲージメントを高め、強い組織を創る』の模様をレポートします。
株式会社アトラエ
代表取締役CEO 新居佳英さん
1998年上智大学卒業後、現パーソル株式会社に新卒入社。2003年に退社後、株式会社アトラエを設立。2016年6月にマザーズ上場、2018年6月には東証一部上場を果たす。2019年「働きがいのある会社ランキング」小規模部門第1位を獲得。
株式会社アカツキ
共同創業者 代表取締役CEO 塩田元規さん
1983年 島根県出雲市生まれ。横浜国立大学電子情報工学科を経て、一橋大学大学院 MBAコース (現:一橋ビジネススクール MBA)修了。新卒で株式会社ディー・エヌ・エーに入社し、広告事業に従事。マネージャー、ディレクターを経て、退職後、2010年6月に香田哲朗さん(取締役COO)とアカツキを創業。
株式会社グロービス
ディレクター福田亮さん
慶應義塾大学経済学部を卒業後、コロンビア大学シニア・エグゼクティブ・プログラムを修了。大手総合化学会社での開発営業から、クライアント企業との合弁事業設立、新興企業の設立や立ち上げに従事。現在は株式会社グロービスにてコンサルティングや講師など企業内の人材育成全般に携わる。
企業経営とは関わる全ての人が幸せになるための仕組み
福田亮さん(以下、福田): 最初に、各社で強い組織を創る上で大事にしていることを教えていただけますか。
新居佳英さん(以下、アトラエ新居): アトラエは、日本のエンゲージメント研究の第一人者といわれる慶応大学の島津先生監修のもと開発したエンゲージメントサーベイ「wevox(ウィボックス)」など、インターネットサービスを提供。「世界中の人々を魅了する会社を創る」というビジョンを掲げて、運営する小さな会社です。2018年に東証一部上場。2019年の「働きがいのある会社」ランキングの小規模部門で1位。アジアランキングで5位を受賞しました。
VUCAのなかで競争優位を得るには、これまでの業務効率化やミス無くこなすことから、クリエイティビティやアイデアを発揮して、ミスを許容し挑戦と変化を繰り返すやり方へと変化が求められています。それに伴って、組織のあり方も従来のトップダウンによるヒエラルキー組織から、目的や志に共感する人たちが自主的に集まって自律的に貢献していくホラクラシー組織やティール組織へと変化していくと思います。こうした自律分散型の組織は、生産性の高さや意思決定の早さ、正しい判断のしやすさで優れていることが学術的にも言われ始めています。
しかし 強い組織を創るために圧倒的に大事なのは、テクニックや方法論、組織形態ではなく、そもそも社員の働く意欲が高い、つまりエンゲージメントが高い会社やチームを創ること で、これが本質の軸です。アトラエでのエンゲージメントの定義は「組織や仕事に対して自発的な貢献意欲を持って主体的に取り組めている状態」のことです。未来に向けエネルギッシュに走れている今の状態を表しています。
Gallup社の調査データによると、収益性や生産性などのポジティブな要素はエンゲージメントと共に上昇し、品質の欠陥や転職率などのネガティブな要素はエンゲージメントが向上すれば低下する傾向があるそうです。これは、エンゲージメントは会社にとって極めて良い影響を与えることの証明でもあります。
会社は本来、関わる全ての人々が幸せになるために考え出された仕組みであり、それがあるべき姿だと思います。これをやるのが経営と考え、エンゲージメント向上に取り組んでいます。
塩田元規さん(以下、アカツキ塩田): アカツキは、モバイルゲームをはじめアメリカでの映画製作など、幅広くエンターテイメント事業を手掛けています。創業から現在9年目で、2018年の売上は約281億円で利益は約136億円、メンバーはグループで約1200人です。今はグリーン組織からティール組織へと移行しているところだと思っています。
売上的には成功した会社と言われていますが、数字へのこだわりは強くありません。 2018年に、ビジョンを「ハートドリブンな世界へ」という内容にアップデートしました。「ドリブン」は自分の内側から出てくる持続的な原動力であり、これを経営側も信じていて、インセンティブの対象にもしています。
だから組織の特徴をひと言でいうと「感情をちゃんと扱い、それを分かち合う」です。例えば、「この仕事をしたくないな」と思ったら、正直に言っていい。でも、実際に言ったら誰かが困ることになって「その仕事やりたくないんだ、でもやらないと私も困っちゃう」という、面倒くさい会話が生まれます。 一般的な組織なら、こうした自分の内側にある本当の気持ちをひた隠しますが、あえてさらけ出して両者で分かち合う。 それから話し合うと、課題に対する最適な解がちゃんと出るんです。
その基礎として欠かせないのが、組織での「心理的安全性」です。実際にこれを高めるための取り組みを続けてきたことで組織がものすごく強くなり、結果、会社としても成長しているのだと思います。
エンゲージメントを高めるために、目標は「なぜやるか」が一番重要
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