連載:第34回 小売・サービス
コロナ禍の販売業取引推移。平均値を下回る東京・大阪・京都に対し、神奈川・千葉・埼玉・兵庫は平均値以上
株式会社スマレジ(本社:大阪市中央区、代表取締役:山本博士)は、登録店舗数9.8万店舗(2021年6月末時点)の販売データを有効活用した「スマレジ総研」を試験的に立ち上げました。その第一弾として『スマレジ』が保有する販売データを元に、2019年12月から2021年4月までの期間における地域別・業種別の取引推移をまとめましたので報告いたします。
緊急事態宣言発令以降の取引件数・平均取引推移は、第一回目、第二回目といずれも減少
2020年4月7日から20年5月25日まで続いた第一回目の緊急事態宣言の取引件数推移を見ると、発令以降の取引件数は22.1%(20年4月18日週)まで減少しています。緊急事態宣言解除から約1ヶ月かけて61.7%(20年6月27日週)まで回復しています。
2021年1月8日から3月21日まで続いた、第二回目の緊急事態宣言の取引件数推移を見ると、発令以降の取引件数は45.9%(21年1月23日週)まで減少しています。第一回目の緊急事態宣言との差分は23.8%で、解除直前に67.2%(21年3月20日週)まで回復していることがわかります。
2021年4月25日に発令された第三回目の緊急事態宣言(まん延防止措置:4月20日)発令以降は、45.3%(21年4月30日週)まで減少しています。
緊急事態宣言発令以降、東京は全体的に平均値を下回る。一方で神奈川・千葉・埼玉は平均値以上に
《東京都》
第一回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は17.2%(20年4月18日週)まで減少し、1都2府4県の中では最も減少したエリアになりました。緊急事態宣言解除から約1ヶ月かけて54.9%(20年6月27日週)まで回復し、取引件数のピークは62.2%(20年10月31日週)に。1都2府4県の中では最も低い回復率となりました。
第二回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は42.0%(21年1月23日週)まで減少。第一回目の緊急事態宣言との差分は24.8%に。解除直前に61.0%(21年3月20日週)まで回復しています。第一回目の緊急事態宣言の回復率に続き、1都2府4県の中で、最も低い回復率となっています。
第三回目の緊急事態宣言以降40.6%(21年4月30日週)まで減少しています。
《神奈川県》
第一回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は30.2%(20年4月18日週)まで減少しています。緊急事態宣言解除から約1ヶ月かけて69.8%(20年6月27日週)まで回復し、その後取引件数のピークは80.3%(20年9月26日週)になっています。
第二回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は52.2%(21年1月23日週)まで減少し、第一回目の緊急事態宣言との差分は22.0%となりました。解除直前に78.4%(21年3月20日週)まで回復しています。
まん延防止措置等に基づく協力要請以降、67.7%(21年4月30日週)まで減少しています。
《埼玉県》
第一回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は38.0%(20年4月18日週)まで減少しました。緊急事態宣言解除から約1ヶ月かけて81.3%(20年6月27日週)まで回復し、取引件数のピークは85.5%(20年9月26日週)になっています。関東の中では最も回復率が高いエリアになりました。
第二回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は64.0%(21年1月23日週)まで減少し、第一回目の緊急事態宣言との差分は26.0%となりました。解除直前に86.7%(21年3月20日週)まで回復しています。1都2府4県の中では、最も回復したエリアになりました。
まん延防止措置等に基づく協力要請以降78.2%(21年4月30日週)まで減少しています。
《千葉県》
第一回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は34.9%(20年4月18日週)まで減少しました。緊急事態宣言解除から約1ヶ月かけて72.6%(20年6月27日週)まで回復し、その後取引件数のピークは81.4%(20年9月26日週)になっています。
第二回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は57.8%(21年1月23日週)まで減少、第一回目の緊急事態宣言との差分は22.9%となりました。解除直前に80.5%(21年3月20日週)まで回復しています。
まん延防止措置等に基づく協力要請以降71.8%(21年4月30日週)まで減少しています。
緊急事態宣言発令以降、大阪・京都は全体的に平均値を下回る。兵庫県は平均値以上に
《大阪府》
第一回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は19.2%(20年4月25日週)まで減少しています。緊急事態宣言解除から約1ヶ月かけて67.5%(20年6月27日週)まで回復し、その後取引件数のピークは71.1%(20年10月31日週)になりました。
第二回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は46.6%(21年1月23日週)まで減少し、第一回目の緊急事態宣言との差分は27.0%となりました。1都2府4県の中で、最も差分が大きいエリアとなりました。解除直前に66.3%(21年3月20日週)まで回復しています。
第三回目の緊急事態宣言以降37.2%(21年4月30日週)まで減少しています。
《兵庫県》
第一回目の緊急事態宣言発令以降、取引件数は36.8%(20年4月18日週)まで減少しました。緊急事態宣言解除から約1ヶ月かけて79.2%(20年6月27日週)まで回復し、その後、取引件数のピークは96.7%(20年8月15日週)になりました。1都2府4県の中では、最も早い回復を見せています。
第二回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は61.5%(21年1月23日週)まで減少し、第一回目の緊急事態宣言との差分は24.7%となりました。解除直前に83.1%(21年3月20日週)まで回復しています。
第三回目の緊急事態宣言以降50.5%(21年4月30日週)まで減少しています。
《京都府》
第一回目の緊急事態宣言発令以降、取引件数は19.1%(20年4月18日週)まで減少しました。緊急事態宣言解除から約1ヶ月かけて50.7%(20年6月27日週)まで回復しましたが、1都2府4県の中では、最も低い回復率のエリアになりました。しかし、その後一転して、取引件数の回復を見せ、72.6%(20年9月26日週)になり、更に90.2%(20年11月28日週)まで回復しています。
第二回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は33.9%(21年1月23日時点)まで減少し、第一回目の緊急事態宣言との差分は14.9%となりました。1都2府4県の中では、最も減少し、且つ差分が小さいエリアになりました。解除直前に83.1%(21年3月20日週)まで回復しています。
第三回目の緊急事態宣言以降33.1%(21年4月30日週)まで減少しました。
イベント物販は1.0%まで減少。飲食・娯楽・アパレルなど対面接客を有する様々な業種が減少傾向。医療やネットカフェ・コワーキングスペースは独自の取引推移に
《イベント物販》
第一回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は1.0%(20年5月9日週)まで減少しました。その後、取引件数のピークは37.7%(20年9月19日週)となりましたが、1年を通じて、25.0%を下回る取引件数で推移しています。今回調査した業種の中で、最も取引件数の減少が大きかった業種になっています。
《娯楽(ゴルフ・ボーリング場、スポーツ施設、映画館、遊園地)》
第一回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は9.03%(20年4月18日週)まで減少しました。その後、取引件数のピークは62.0%(20年9月26日週)となっています。第二回目の緊急事態発令後、23.1%(21年1月23日週)まで減少し、解除直前に58.2%(21年3月20日週)まで回復するものの、第三回目の緊急事態宣言発令直前に33.6%(21年4月17日週)まで減少しました。1年を通じて、平均値を下回る取引件数で推移しています。
《飲食店(居酒屋、レストラン、カフェ、ラーメン店、各種専門店含む)》
第一回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は24.5%(20年4月18日週)まで減少しました。緊急事態宣言解除から約1ヶ月かけて63.6%(20年6月27日週)まで回復し、それ以降、取引件数は60%前後で推移しています。
《アパレル》
第一回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は9.0%(20年5月2日週)まで減少し、イベント物販に次ぐ減少値になっています。また、緊急事態宣言解除から約1ヶ月弱の短期間で78.2%(20年7月4日週)まで急回復していますが、8月後半から減少傾向になり、9月以降は平均値と近しい推移になっています。
《医薬品・化粧品(薬局・薬店、ドラッグストア、化粧品)》
コロナ禍以降、他業種は取引件数が減少傾向にある中、101.0%(20年2月22日週)に上昇しました。第一回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は25.2%(20年5月9日週)まで減少、緊急事態宣言解除から約1ヶ月かけて81.4%(20年6月27日週)まで回復しています。それ以降は80%前後の取引件数で推移しています。
《その他小売(雑貨屋、肉・魚屋、八百屋、花屋など)》
第一回目の緊急事態宣言発令以降、取引件数は18.2%(20年4月18日週)まで減少しました。緊急事態宣言解除から約1ヶ月かけて58.3%(20年6月27日週)まで回復し、それ以降、取引件数は60%前後で推移しています。
《美容・理容》
第一回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は27.9%(20年4月18日週)まで減少しましたが、緊急事態宣言解除から約2週間程度で85.0%(20年6月6日週)と急回復しました。第二回目の緊急事態宣言発令後、60.9%(21年1月23日週)まで減少するものの、1年を通じて80%前後の取引件数で推移しています。
《エステ・ネイル・マッサージ》
第一回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は28.2%(20年4月18日週)まで減少しましたが、緊急事態宣言解除から約1ヶ月かけて78.7%(20年6月27日週)まで回復しました。以降は80%前後で取引件数が推移していますが、第二回目の緊急事態宣言発令直後で65.3%(21年1月16日週)まで減少、その後70%前後の取引件数で推移しています。
《医療(病院、診療所、クリニック)》
第一回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は49.8%(20年5月9日週)まで減少したものの、翌週には87.2%(20年5月16日週)まで回復しています。以降は100%前後で取引件数が推移しています。
《ネットカフェ・コワーキングスペース》
コロナ禍以降、他業種は取引件数が減少傾向にある中、140.4%(20年1月25日週)と大きく上回り、緊急事態宣言発令の約1週間前にも109.9%(20年3月28日週)の取引件数になっています。また第一回目の緊急事態宣言発令以降、取引件数は22.7%(20年5月9日週)まで急激に減少し、緊急事態宣言解除から約1ヶ月かけて79.2%(20年6月27日週)まで回復しています。8月以降は90%前後の取引件数で推移しています。
調査概要
調査テーマ:販売(POS)データから読み解くコロナ禍における取引推移の実態調査
調査期間:2019年12月1日〜2021年4月30日
調査対象:10,309店舗
対象地域:1都2府4県。関東(東京都/神奈川県/埼玉県/千葉県)、関西(大阪府/京都府/兵庫県)
対象業種:10業種
イベント物販/娯楽/飲食/アパレル/医薬品・化粧品/美容・理容/エステ・ネイル/医療/ネットカフェ・コワーキングスペース/その他小売
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