連載:第79回 総合
「2025年の崖」とDXの実態。レガシーシステムが存在する企業6割超


昨今、多くの企業がDX推進に取り組む一方、老朽化・複雑化・ブラックボックス化し高コスト構造の原因となっている既存システム、いわゆる「レガシーシステム」を使用している企業も多数存在します。企業の成長・競争力強化のために、「レガシーシステム」が抱える課題を解決し、いかにDXを推進していくかが課題としてあげられました。克服できない場合、2025年以降には、「レガシーシステム」が残存することによる経済損失が、年間で最大12兆円にまで増加する可能性が指摘されており、これを「2025年の崖」としています。

6割近くが「2025年の崖」について理解が進んでいない
株式会社インフォマートでは、2025年の崖とDXに関する実態調査が実施されました。「2025年の崖」は、経済産業省が2018年に発表した『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』の中で提唱された言葉です。
「2025年の崖」という言葉を知っているか聞いたところ、「内容をよく理解しており、自社への影響も把握している」が27.2%、「言葉は知っており、概要も理解している」が14.2%で、合算すると41.4%となりました。
一方、「全く知らない」が42.2%、「言葉は聞いたことがあるが、内容はよく知らない」が16.4%で、合算すると58.6%となり、6割近くが「2025年の崖」について、理解が進んでいない状況であることが分かりました。
「2025年の崖」が、勤務先にどの程度影響を与えるか聞いたところ、「非常に大きな負の影響がある」が20.1%、「ある程度、負の影響がある」が36.9%、「多少は負の影響があるかもしれない」が23.4%となりました。合算すると、80.4%となり、8割以上が「2025年の崖」が事業に与える負の影響を懸念していることが分かりました。
また、「2025年の崖」が勤務先に与えうるリスクについて自由回答で質問したところ、「システム障害やシステム更新の影響で業務に支障が出る」「利用システムのサポート期限終了によるセキュリティリスクが増大する」「人材不足により運用保守業務の継続ができない」等があげられました。
勤務先に、「レガシーシステム」と呼ばれる、老朽化・複雑化・ブラックボックス化した基幹システムや業務システムが存在するか聞いたところ、主要なシステムがレガシーシステムに該当すると回答したのは25.5%、一部のシステムが該当すると回答したのは37.6%で、合算すると63.1%となり、6割以上の企業にレガシーシステムが存在することが明らかとなりました。
回答者を業種ごとに分類すると、割合が多い順に製造業が81.6%、運輸業・郵便業が75.0%、金融業・保険業が69.2%となりました。
勤務先にレガシーシステムが存在すると回答した人に、レガシーシステムを刷新する上での課題を聞いたところ、「業務に手いっぱいで十分な要員を割くことができない」が46.1%、次いで「既存システムへの操作性や機能へのこだわりを解消できない」、「ブラックボックス化が進み、影響度が想定できない」がそれぞれ42.7%となりました。
今後3年間、勤務先におけるIT関連投資の増減予定を聞いたところ、「大幅に増加させる予定」が8.3%、「ある程度増加させる予定」が23.3%となり、合算すると31.6%がIT関連投資を増加させる予定であることが分かりました。
また、その理由や目的を聞いたところ、「DX推進による業務効率化・生産性向上」が44.7%、次いで「セキュリティ対策の強化」が40.4%、「DX推進による新規事業・新サービス開発」が38.6%となりました。
調査概要
調査対象:企業または自治体に勤務するIT部門、DX推進、経営企画の担当者、経営者・役員
調査方法:インターネットリサーチ
調査内容:2025年の崖とDXに関する実態調査
調査期間:2025年5月23日(金)~5月28日(水)
回答者 :360名
プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000763.000013808.html
この記事についてコメント({{ getTotalCommentCount() }})
{{selectedUser.name}}
{{selectedUser.company_name}} {{selectedUser.position_name}}
{{selectedUser.comment}}
{{selectedUser.introduction}}
バックナンバー (79)
総合
- 第79回 「2025年の崖」とDXの実態。レガシーシステムが存在する企業6割超
- 第78回 人事ツール導入者の約8割が「導入前に不安を感じた」ものの、その約6割が「想定していたほどではなかった」
- 第77回 バックオフィスでの生成AI活用、活用者の約8割が「業務負担の軽減」を実感
- 第76回 企業の不祥事に「関心がない」従業員が半数超え。中小企業においてその傾向が顕著に
- 第75回 「人的資本調査2024」分析レポートが公開、戦略策定や情報開示に引き続き課題が残る