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戦略・経営

2018年10月31日(水)更新

クリスピー・クリーム・ドーナツが再成長を遂げた成功要因とは

Logo markBizHint 編集部

サービス業における生産性向上や働き方改革を実現するためには、AI・ロボットの導入による省人化や自動化だけでなく、現場で働く「ヒト」の価値を最大化させることが不可欠であり、そのためには人材育成・活用のための新しい教育環境・マネジメントの仕組みが必要です。2006年の日本上陸から10周年を迎え、再成長を遂げたクリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン代表取締役社長の若月貴子さんが「選択と集中」の経営戦略の元に実行する改革の一つである「人材育成・活用」の取り組みや、顧客満足度向上に大きく影響した接客研修や商品提供技術向上の施策を語りました。聞き手はClipLine株式会社代表取締役高橋勇人さんです。この記事は、2018年9月6日(木)『Future of Work Japan 2018 未来の経営と働き方に出会うEXPO-』の15:20~開催のセッション『クリスピー・クリーム・ドーナツ 〜再成長を遂げた成功要因とは〜』の模様をレポートするものです。[sponsored by ClipLine]

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上陸時のブームから再成長までの道のり

若月貴子さん(以下、若月): 私は大学卒業後、株式会社西友、株式会社経営共創基盤を経て、2012年にクリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン株式会社に入社。2017年4月から社長を務めております。クリスピー・クリーム・ドーナツはアメリカ・ノースカロライナ州で生まれた創業81年の老舗ブランドです。

高橋勇人さん(以下、高橋): 10年ほど前に日本に上陸されて一世を風靡されていましたが……。その後の軌跡をお伺いできますか?

若月: 2006年12月にサザンテラスに一号店をオープンした後、積極的に店舗展開し 2015年度の期中に最大64店舗まで増えたのですが、同年度末までに今後の展望を見直して三大都市圏へ集中すると決めました。 結果として2017年度末に45店舗となりました。これまでの2年間は店舗の立て直しを行い、2018年度からは再成長のフェーズと位置づけています。

高橋: 経営における「選択と集中」をおこなったのだと思いますが、具体的にはどんなことをされたのでしょうか?

若月: 基本的なサービスと商品、そしてマーケティングを見直して、 徹底的に「お客様に何を感じていただくか」を再構築 いたしました。

これまで、クリスピー・クリーム・ドーナツは、「行列ができるドーナツ屋さん」というイメージが強く、サービスのオペレーションも行列と感じさせないように、いかにお待たせせずスピードを早く提供するかに重きが置かれていました。ただ、当社がやりたかったのはスピード重視の接客ではなく、ひとりひとりのお客様に喜んで頂けるサービスでした。

そこで、速いスピードで捌くことではなく、 「ファンになっていただけるようなホスピタリティの高いサービスを提供する」 と方針を変更して現場を改善していきました。当社で働いているクルーにヒアリングをすると、ホスピタリティあふれるサービスに興味がある方が多かったのも功を奏しました。そして、接客部分の見直しでClipLineを使わせて頂いています。

高橋: ClipLineについて私からもご説明させていただきますね。 ClipLineは現場と本部をつなぐ動画共有サービス です。多店舗展開ビジネスにおける、教育や運営などの情報を動画で共有し、マニュアルに落とし込めない動きを可視化します。また、接客の様子や対応の様子を動画に撮り本部や上長に送る機能もあります。練習の様子を撮影して上長にレビューしてもらう。これまで店舗で一対一で研修していたものを、遠隔で実現できる仕組みを提供しています。結果、教育のオペレーションコストが削減される効果もあります。

ClipLineの導入で「最高のドーナツ体験を提供」

高橋: クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパンさんでも2016年から約800名のクルーの方にClipLineを使っていただいています。導入前後で変わったことはありますか?

若月: 導入前にもマニュアルがあり、店舗ごとに使っていましたが……。見えなかったのは、「どんな風に現場でトレーニングしているか」です。どんな仕上がりで、研修が完了しているかが見えませんでした。

私たちは「SWEET」というサービススタンダードを定めています。 SがSmile、WがWelcome、EがEnticeとEngage、最後のTがThank you。 これらを実行するための動画をClipとして作っています。例えば、Engageでは「最低でも3語以上の会話を」と決めていますが、このまま現場に落とすと、何をするのかよく分からず曖昧になります。それを具体的にヒントになるような会話の糸口をClipにしています。

高橋: なかなか、クルー全員がClipを見る状況にするのは大変だと思いますが、どんな工夫をされていますか?

若月: 現場とのコミュニケーションを重視しています。クルーに「キャンペーンや、アプリの説明をしてください」と伝えても、なかなかやってくれません。「この商品をおすすめすると、客単価が伸びて……。お客様の満足度が上がって……。一緒に売上を作っていきましょう!」と具体的な数字で説明するように気をつけています。

単純な接客だけでなく、ドーナツを店舗で加工する技術やコーヒーを淹れる技術も動画にしています。マニュアルで紙に書いてある文章を読んで覚えるよりも、動画は情報量が多い。その分、サービスは標準化されていると思います。

それから、社長メッセージを毎月メールと動画で配信しています。動画では長いとクルーにメッセージが残らないので……。どんなに長くても1分以内にして、「今月何をどうしてほしいのか」を絞って話し、メールでは少し内容を詳しく書いています。ただ、 最後は、「お客様に最高のドーナツ体験を提供しましょう」と毎回、同じ言葉で締めています。

すると、「最高のドーナツ体験を提供する」というワードは繰り返されるので、現場の店長やスーパーバイザーが同じことを言ってくれて、浸透度が深まります。私が店舗に行くと「社長!」ではなく、「ClipLineの人だ!」と言われるので、クルーの皆さん見てくれているんだなと(笑)。

ほかにも動画マニュアルに出ていた男性が渋谷店の店長だったのですが……。大阪に異動になったとき、単身知り合いが居ないなかでの異動で、不安になり緊張していたら、「ClipLineに出ているスゴい人だ!」と暖かく迎えてもらったそうです。仲良くなるスピードも早く、お店を回すのも非常にスムーズに進んだと聞いています。

高橋: ClipLineではマニュアルを投稿するだけでなく、「練習して投稿」もできるので接客コンテストもClipLine上で開催できます。「あのお店のあの人は接客が上手!」と話題になったり、コメントをつけたり「いいね!」をつけられる。ちょっとした社内SNSとしても活用いただけるので、より現場に近づいて経営ができると思います。

変革のカギは「現場の力」

高橋: さまざまな仕掛けをした結果、状況はどう改善したのでしょうか?

若月: 変革の中でKPIにしていたのは、「顧客満足度」と「従業員満足度」、そして「既存店売上」です。この2年間で顧客満足度は6%上昇、従業員満足度は3年間で7%上昇しました。 10年間一度も前年を上回ったことのなかった、既存店売上は2018年7月時点で13ヶ月連続で昨年対比を上回っています。 (2018年9月時点)

マーケティングも商品も見直しましたが、 一番は「現場の変革」だと思っています。現場が自身を持って、お客様を迎えてサービスを提供できるようになったこと。 それが、私たちの大きな変化だったと思います。

編集後記

クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパンが再成長し始めたのには、サービスを見直し、現場の意識を変えることができたからでした。多店舗展開のサービス業にはまだ数多くの課題がありますが、従業員の満足度を向上させながら、一つ一つの顧客の本質的なニーズを改善していかなければなりません。そのときに、動画を共有できるClipLineは紙のマニュアル以上に、役立つ存在になるのではないでしょうか。

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