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連載:第87回 組織作り その要諦

社員の強みを活かす組織の絶対条件。求人応募が殺到する企業のリーダーが気づいた一つの本質

BizHint 編集部 2024年11月27日(水)掲載
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創業59年目を迎える金属加工業の株式会社タシロ。社員13名のうち50代のベテラン1名を除く全員が35歳未満という“若手主体”の企業です。同社の代表取締役社長 田城功揮さんは2019年の入社以来、組織改革に取り組み、今では年間200人以上の求人応募が殺到する組織へと変貌させました。しかし「5年前はまったく異なる姿だった」ようで、コロナ禍が重なり売上が半減するなど存続の危機に直面していました。そして、人材業界出身の彼が最初に選んだ道は、必ずしも正しいものではありませんでした。幾度もの挫折を経て、田城さんが見出した「強みを活かす」組織づくりの本質とは。詳しく伺います。

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株式会社タシロ
代表取締役社長 田城 功揮 さん

1992年生まれ。大学卒業後は人材紹介事業に携わり、2019年1月、祖父が創業した株式会社タシロに入社。コロナ禍での経営危機を経験し、組織改革に着手。同社取締役を経て、2023年9月に社長就任。


失敗から気づいた組織づくりの転換点

──御社は現在、若手社員が全体の9割を占める、「活気ある町工場」として注目を集めています。

田城功揮さん(以下、田城): ありがとうございます。おかげさまで、 社員13名のうち50代のベテラン1名を除く全員が35歳未満 という、町工場では珍しい年齢構成になっています。今では求人応募数が年間で200人を超え、現場では若手社員が自ら新商品開発に挑戦するなど、活気のある組織に成長できました。

ただ、ここまでの道のりは決して平坦ではありませんでした。祖父が創業したこの会社に私が入社したのは5年前なのですが、当時はまったく異なる姿だったんです。

5年前は社員18名のうち7割が外国籍社員で、「今日で辞めて母国に帰りたい」と突然の退職を告げる社員が相次ぐ不安定な労働環境でした。

ものづくりに興味を持つ日本人社員は少なく、技能実習生で何とか現場を回している状態でした。さらにコロナ禍が重なり、売上が前年同月比で半減する月も出るなど、存続の危機に直面していたんです。

──当時の組織の雰囲気はいかがでしたか?

田城: コミュニケーションの面で課題がありました。あいさつなどの基本的なやり取りが不足していて、対面での会話に苦手意識を持つ社員が多かったんです。就業規則も作成当時の2001年のままで更新されておらず、社員にとって理解しやすい規則になっていませんでした。

私自身、実質的な経営に関与していくことを目的に2019年の入社時から取締役という肩書きをいただいていましたので、まずは組織制度の再構築を自身のミッションに掲げたんです。

入社前の前職は人材業界だったので、その経験を活かしてビジネスマナーをはじめとした研修を行い、メンター制度を導入したり、そのほか独自の取り組みとして「違和感の早期発見報告シート」を導入しました。

――結果はいかがでしたか?

田城: まったくだめでした。むしろメンター制度は、面談時間を設定しても座って話をすること自体に苦手意識を持つ社員が多く、形骸化してしまいました。また、「違和感の早期発見報告シート」については、当時社員からの報告がなかったために機械が壊れて修繕費が何百万円もかかった、というトラブルが発生したことがあったので、それを防ぐために報告1件あたり100円、後に300円の報酬を設定したんです。でも、やる気のあるベトナム人社員2名以外はほとんど活用せず…。結局1年で廃止に至りました。

私の思い描いた組織改善への取り組みは、どれも独りよがりな机上の空論、まさに絵に描いた餅でした…。

そして、しばらく頭を悩ませていたのですが、社員たちと接するうちに、自分自身の間違えた「考え方」に気づきました。そしてそれが、私にとって組織づくりの転換点になったのです。

――その間違いとはなんだったのでしょうか?

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