連載:第89回 IT・インターネット
IT企業の事業継続計画(BCP)、特に対策したいのは「緊急時の指揮命令系統の整備」
東北大震災以降も、新型コロナウイルスのパンデミック、能登半島地震や台風による集中豪雨など、各地でさまざまな災害が発生しています。こうした事態を受け、近年のIT企業では「事業継続計画(BCP)」の策定が進んでおり、問題発生時の対応ルール、社内体制、復旧のステップなどがさまざまに検討されています。
計7割超がBCP策定に取り組み中、「知識不足」が最大の課題
IT企業の経営者・管理職・危機管理部門を対象にNSSスマートコンサルティングが実施した調査によると、現在の職場で自然災害の被害経験があるとしたのは「数回ある」32.4%、「一度だけある」32.0%で計6割超。そのためか、「経営・勤務する企業では事業継続計画(BCP)を策定していますか?」と聞くと、「すでに策定している」33.4%、「現在策定中」26.5%で計6割、「策定を予定している」14.7%も合わせると計7割超がBCP策定に取り組んでいました。
「策定する予定はない」以外を選んだ848人に「BCPを策定しようと思った理由」を聞くと、「近年大きい地震が多いため」24.4%が最多で、「実際に災害にあったため」20.4%、「日本は先進国のなかでも自然災害のリスクが高いため」18.0%が続きました。やはりここ最近の地震の多さが、BCP策定に大きく影響しているようです。
また「事業継続計画(BCP)を策定して、特に対策したいこと」では、「緊急時の指揮命令系統の整備」42.0%、「システムとデータの保護」39.2%、「重要業務の継続」33.3%が上位でした。
一方で「事業継続計画(BCP)の運用における課題」に対して「ある」とした人が8割以上。具体的内容を聞くと、「知識不足」30.1%が最多で、「従業員への教育」25.4%、「訓練」16.5%となっており、BCPを策定したものの持て余している様子もうかがえます。
「事業継続計画(BCP)を策定するにあたって、何が必要だと思いますか?」という質問には、「従業員のトレーニング」49.8%という回答が最多で、「コンサルティング」28.5%、「システムの導入」28.5%が上位でした。
逆に、BCPを「策定する予定はない」と回答した156人にその理由を聞くと、「策定しなくても問題は発生しないと考えている」29.5%が最多で、「必要性を感じていない」23.1%がそれに続くなど、過半数に危機感の無さが表れました。
調査方法
調査期間:2024年10月12日~13日
調査方法:PRIZMAによるインターネット調査
調査対象:調査時に「IT企業の経営者・管理職・危機管理部門に所属している」と回答したモニター
調査人数:1,004人
プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000055385.html
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