連載:第90回 IT・インターネット
新興AI企業、年間収益3,000万ドル以上を有望SaaS企業の3倍のスピードで達成
近年急速に注目を集めているAI(人工知能)産業。特に新興のスタートアップ企業においてはベンチャーキャピタルからの資金調達額が過去最高を記録するなど、大きな関心を集めています。急速に収益化しているAI企業が多いなか、日本市場はまだそれほど大きく動いていません。ワールドワイドの最新動向を探ります。
日本企業は潜在的ニーズの掘り起こしが急務
Stripeは企業向け経済インフラ構築サービスを提供しており、OpenAI、Perplexity、Midjourney、Anthropic、Mistral AIをはじめとした、2024年Forbes注目すべきAI企業50社に選出された3分の2以上のAI企業が、決済基盤に同社サービスを導入しています。そこで、Stripe導入企業でもっとも高い収益をあげているAI企業100社、およびその比較として2018年時点で収益が高かったSaaS企業の収益データを調査・比較しました。
その結果、現在Stripeを導入しているAI企業は、過去にStripeを導入し収益が高かったSaaS企業よりもはるかに早く収益を上げていました。Stripeを通じた初回売上から年間収益目標を達成するまでの期間を比べると、100万ドル(約1.5億円)に達するまでに、AI企業は平均11か月しかかかっていませんでした(SaaS企業は15か月)。さらに、年間収益3,000万ドル(約45億円)以上だと、AI企業は平均20か月なのに対し有望SaaS企業でも65か月がかかっています。
同じように、2020年以前に設立されたAI企業と新興AI企業を比較すると、年間収益100万ドルに到達するのに要した期間は、2020年以前に設立されたAI企業は平均14か月、新興AI企業は平均5か月と収益化のスピードが加速しています。
また海外進出についても早期化の傾向が見られており、AI企業はStripeを導入して1年目に59か国、2年目に93か国で事業を展開しています(SaaS企業は、1年目26か国、2年目43か国)。
なお日本においては、AIに対する2023年の各国の民間投資額は、首位の米国が672億2000万ドル(約10兆円)なのに対し、100分の1の約6億8000万ドルとなっています(スタンフォード大学AI Index Report 2024)。また、個人利用においても、中国(56.3%)、米国(46.3%)、英国(39.8%)、ドイツ(34.6%) と比べ、 日本は9.1%にとどまっています(総務省令和六年情報通信白書より)。ただし「潜在的なニーズがある」という見方が強く、その掘り起こしによっては大きな飛躍が期待されています。
調査方法
調査時期:2024年7月31日
調査方法:Stripeデータを分析
調査対象:Stripeを導入している企業のうち、最も高い収益を上げているAI企業を選出
調査数:100社
プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000080.000077879.html
この記事についてコメント({{ getTotalCommentCount() }})
{{selectedUser.name}}
{{selectedUser.company_name}} {{selectedUser.position_name}}
{{selectedUser.comment}}
{{selectedUser.introduction}}
関連記事
バックナンバー (93)
IT・インターネット
- 第93回 医療職におけるAIの業務利用、医師の約7割・看護師の5割以上が今後の利用意向あり
- 第92回 経営層を狙うサイバー攻撃、日本は複数回の被害に遭う傾向 世界11か国で比較
- 第91回 大企業のSaaS活用、導入数や導入率は2023年とほぼ同水準ながら「十分に使いこなせていない」実感が上昇
- 第90回 新興AI企業、年間収益3,000万ドル以上を有望SaaS企業の3倍のスピードで達成
- 第89回 IT企業の事業継続計画(BCP)、特に対策したいのは「緊急時の指揮命令系統の整備」