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2018年12月6日(木)更新

コンピテンシー面接

就職・転職採用の面談時に学生や候補者が持っている能力の本質を見る方法として、「コンピテンシー面接」という方法が注目を集めています。この面接方法を利用することで、人事担当者や採用担当者が「受験者が自社に合う能力やスキルを持っているのか?」を客観的な評価基準で評価することが可能だからです。ここではコンピテンシー面接の説明から通常の面接との違い、なぜコンピテンシー面接で企業にとって有望な人材を採用できるのかについて詳しく説明します。コンピテンシー面接の具体的な流れや有用となる参考書籍についても紹介します。

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コンピテンシー面接とは?

「コンピテンシー」という言葉には「ある仕事や役割において優秀な成果や成績を残す人に共通する行動特性」という意味があります。言い換えれば、その業務において成果を残している社員たちには共通する特徴的な能力(=行動特性)が備わっているということです。この行動特性を面接の中で判断するために生まれたのがコンピテンシー面接なのです。

コンピテンシー面接の場合には、これまでの面接で重視されていた採用担当者や役員が感じた第一印象や受験者の受け答えでなく、就活者の行動という客観的な要素を持って判断をします。

自社で成果を出している人材が行っている行動や考え方を基準にすることで、担当者ごとの評価のブレを少なくし、自社が求めるスキルや能力・レベルとのミスマッチを防ぐことが可能となります。さらに質疑応答を通して受験者が「自分で行動できることに加え、独自の工夫を施しながらPDCAサイクルが回せる人材かどうか?」を判断することもできます。

こうしたコンピテンシー面接の手法は公務員試験でも取り入れられており、大学教育の場でもコンピテンシーを鍛えることに重きを置き始めています。最近では就職活動だけでなく私立中学受験の入試科目としても採用されています。

【関連】コンピテンシーの意味とは?人材開発・評価・面接への導入メリットもご紹介/ BizHint

コンピテンシー面接と通常の面接の違いは?

では、実際にコンピテンシー面接と通常の面接にはどのような違いがあるのでしょうか。ここでは「評価内容」、「評価基準」、「質問内容」、「面接を行う上での難しさ」、「回答の信頼性」という5つの項目で両者を比較していきたいと思います。

ここからも分かるように、感情や主観といったバイアスがかかりやすい通常の面接と比べると、コンピテンシー面接の場合には客観的な評価で判断ができます。こうした理由からコンピテンシー面接では、企業に合う人材を評価がブレることなく獲得することが可能なのです。

コンピテンシー面接でなぜ良い採用候補者を見抜けるのか

ではなぜコンピテンシー面接を通して、企業に合う能力や行動特性を持つ応募者を見抜くことができるのでしょうか。ここではその理由を3つ紹介します。

候補者のうわべだけの力ではなく行動能力を評価できる

コンピテンシー面接では通常の面接と異なり、企業が必要とする行動能力を持つ候補者を評価・採用することが可能です。

これまでの面接では「リーダーシップ力」や「行動量」などを面接やエントリーシートから評価していました。こうした能力の評価方法では、応募者のうわべだけの力や現場が求めている能力と外れた要素を評価している可能性があります。

それに対してコンピテンシー面接では、応募者が持つ見た目や面接技術ではなく、過去の行動やその行動動機について深く掘り下げていきます。こうした方法の面接を行うことで、応募者が持つ本来の能力や行動特性を測ることができるのです。

人材評価の再現性が高い

通常の採用面接では「採用者が学生時代に行った行動やエピソード」について触れるものの、具体的な行動ではなく、その内容のみを評価することがほとんどです。特に日本企業の場合には、学生時代に行った行動やエピソードがより壮大なほど面接官に対して印象が良い傾向にあります。

しかしその面接方法では「その候補者が実際に自分で考えて行動したのか?」や「自分で行動の土壌を整えたわけではなく、周囲の力や環境での成功ではないのか?」といった、“採用者が行った行動に再現性が見られるのか?”を判別できません。

コンピテンシー面接では、採用者が行った行動に焦点を当てた質疑応答を進めることによって、行動を行った背景やその時の状況を明確に認識することが可能なのです。

事前に面接官は企業が求める行動特性を社内で共有していることから、質問についてもその行動特性を意識した内容にできます。その結果、候補者の行動特定や考えが「今企業が求めているものなのか?」や「求められている能力なのか?」ということを的確に判断できるのです。

矛盾を見抜き、信ぴょう性の高い情報を得られる

コンピテンシー面接ではエピソードを深堀していく面接スタイルのため、通常の面接と異なり、場当たり的な回答で面接を乗り越えることが難しくなります。そのため、履歴書の記載内容と質問の回答から矛盾を発見することが可能なのです。

応募者に「自分がこれまでにどのような行動を取ってきたのかを思い出しながら話してもらうこと」がコンピテンシー面接においては大切となってきます。そのため面接官には応募者が話しやすいようにエピソードの掘り下げを促すような質問や、話しやすい環境を作り出すことが求められてくるのです。

どうしても表面的な要素に目を向けてしまいやすいのが今の面接ですが、コンピテンシー面接においては候補者の目に見えない部分の能力を推し量ることが可能となります。

コンピテンシー面接の質問例

ここまでコンピテンシー面接を行う上での利点について紹介してきました。この章では、コンピテンシー面接の面接官と就活生Aさんのやり取りを通して、質問例について説明します。まずは、コンピテンシー面接の一例をご覧ください。

面接官: 「大学に入学してから今までの間に、様々な活動に取り組まれたかと思います。そうした活動の中で『自分が特に成果に貢献できた!』、『自分の力で成果が出せた!』と思うことは何かありますか?」

就活生A: 「入学してから今まで取り組んでいる塾講師のアルバイトを3年間続けてきました。その中で生徒達の志望校合格に貢献してきたと自負しています。」

面接官: 「そうなのですね。あなたは塾講師の一員としてどのように教室や生徒に関わり、その立場で何か成果を上げたというようなことはありますか?」
(※就活生Aの回答が表面的なものだったため、面接官が内容を掘り下げました。)

就活生A: 「はい、私は3年生から現在にかけて、理系講師をまとめる科目リーダーとして若手講師からベテラン講師までをまとめています。他の先生たちとの協力を通して、教室で取り組んでいる理科小テストの参加割合を前年よりも120%増加させることに成功しました。その成果もあり、定期模試の理科の平均点を教室全体で前年度よりも+10点アップ出来ました。」

面接官: 「理科小テストの参加割合を増やすというテーマに取り組むにあたって、一番初めにあなたがしたことはどのようなことですか?」

就活生A: 「まずはアンケートを作成しました。そのアンケートを通して、教室における現状を把握するところから始めました。」

面接官: 「アンケートを作成するにあたって、具体的にあなたはどのようなことを行いましたか。アンケートを作成する上で参考にしたことや、いつ、どのような情報を参考にしたのかについて教えてください。またこのアンケートを作成するにあたり、誰かと協力して作成をしましたか?」

・・・・・・このように質問内容を絞っていくことで、内容を具体的に掘り下げていきます。

ここではコンピテンシー面接の初歩的な形式を紹介しました。面接官は、就活生が話す内容についてどんどんテーマを絞って具体的な方向へ回答を促していることが読み取れるかと思います。この時に気をつけてもらいたいのが、質問を促す中で誘導尋問のようにならないということです。

企業によってはもちろん、同じ企業内でも採用職種によって求められる行動特性やコンピテンシーレベルが変わってきます。そのため自社が求める能力や行動特性を明確化した上で、質問内容を選んでいかなくてはなりません。

コンピテンシー面接では「今どのような行動特性を持つ人材を必要とするのか?」によって質問の掘り下げ方や面接時の質問方法が変わってきます。そのため、採用担当者をはじめ、面接に関わる全ての人が「自社が必要とする人材の行動特性」を把握する必要があります。

コンピテンシー面接の流れ

ここでは先ほどの面接具体例と合わせて、コンピテンシー面接のステップを確認していきます。まずコンピテンシー面接は、大きく6つのステップで行われます。

【コンピテンシー面接のステップ】

  • ステップ1:取組み課題、テーマの特定
  • ステップ2:第1プロセスの特定
  • ステップ3:第1場面の特定
  • ステップ4:行動事例の列挙、確認
  • ステップ5:第1場面での工夫点
  • ステップ6:第2場面の特定

※以下、ステップ4~5の繰り返し

(引用元:コンピテンシー面接マニュアルP.57 弘文堂 川上真史・斎藤亮三著)

先ほどの面接具体例と合わせて、それぞれのステップを見ていきましょう。

最初に面接官が行った「大学に入学してから今までの間に、様々な活動に取り組まれたかと思います。そうした活動の中で『自分が特に成果に貢献できた!』、『自分の力で成果が出せた!』と思うことはありますか?」という質問を通して、「ステップ1:取組み課題、テーマの特定」をしました。

就活生Aの回答から、塾講師として何らかの実績を残していることは分かるかと思います。ただ回答内容が曖昧だったため、面接官がより質問を具体的にする方向へ質問を行いました。

次に面接官が質問した、「そうなのですね。あなたは塾講師の一員としてどのように教室や生徒に関わり、その立場で何か成果を上げたというようなことはありますか?」 にて、「ステップ2:第1プロセスの特定」を実施しました。

その後の質問を通して、「理科小テストの参加割合を増やすというテーマ」を第一場面として、「その行動を行っていく上でどのような行動をとったのか」や「きちんと受験者がPDCAサイクルを回していたのか?」をステップ4、5で見極めていきます。

このようにコンピテンシー面接では、

  • 掘り下げたいテーマの設定(具体的な活動や実績)
  • そのテーマがどのような状況で行われたかを確認(より具体的な現場状況、数値を面接官が認識)
  • テーマに対して「候補者がどのような行動をとったのか?」、「工夫を加えたのか?」など困難を乗り越え、達成するまでのプロセスを確認

これらのプロセスを繰り返していくことで、応募者が持つ行動特性を面接官が把握できるのです。

【コンピテンシー面接のポイント】

●コンピテンシー面接では、面接官が質問内容に対して「その時の状況をより具体的な言葉や数値」で引き出せるのかが大きなポイントとなってきます。学生の質問から「『どれだけの規模』で、『どのような役回り』で『どのようなことを実践』して何が達成できたのか?」や「その活動の中でも自発的に動いているのか?」、「指示されているのか?」などを把握することも大切です。

● コンピテンシー面接は評価のブレが少ない分、採用担当者はもちろん、採用面接に関わる全ての人が企業の求める行動評価や能力を認識する必要があります。特に気をつけなくてはならないのが、「第一印象」や「志望動機」よりも、「その目標を達成するために候補者が行った行動やプロセス、行動」を知る必要があるということです。

●また面接官と候補者に共通の話題があると、「ポジティブなフィルター」がかかることがあります。それに対して、候補者の話題に対して面接官がネガティブな印象を持っていると「ネガティブなフィルター」がかかることも知られています。そのため、自社の行動特性を認識した上で、人間的な感情によって候補者の発言や内容にフィルタリングをかけないように注意を払う必要があります。

コンピテンシーレベルの5段階の評価基準

企業ごとに求められる行動特性や能力は異なりますが、それを評価するためのコンピテンシーレベルは共通です。

まずコンピテンシーレベルについて「コンピテンシー面接マニュアル」から内容を引用して紹介します。レベル1からレベル5に上がるほど、行動が能動的になり、コンピテンシーレベルも高くなります。

【コンピテンシーレベルとその内容】

  • レベル1:受動行動
    部分的、断片的な行動が多く見られる
  • レベル2:通常行動
    やるべきことをやるべき時にやった行動
  • レベル3:能動行動
    明確な意図や判断に基づく行動、明確な理由のもと選択した行動
  • レベル4:創造行動
    独自の効果的工夫を加えた行動、独創的行動、状況を変化させよう、打破しようという行動
  • レベル5:パラダイム転換行動
    まったく新たな、周囲にとっても意味ある状況を作り出す行動

(引用元:コンピテンシー面接マニュアルP103. 弘文堂 川上真史・斎藤亮三著)

このような基準があるからこそ、候補者のコンピテンシーレベルを見分けることが可能となります。コンピテンシーレベルがあるからこそ、企業の行動基準に合う自分から行動できることはもちろん、「独自の工夫を加えつつPDCAサイクルが回せる人材かどうか?」を見分けることができるのです。

コンピテンシーレベル別の行動背景

ここでは、それぞれのコンピテンシーレベルから分かる行動背景について説明します。

レベル1:受動行動が行える候補者

「指示を受けて行った行動」や「場当たり的な行動」を取る人とイメージしてもらえると良いかと思います。残念ながら、自分が起こした行動について何か具体的なビジョンを持っているというわけではありません。

レベル2:通常行動が行える候補者

「マニュアルに則った行動」が取れる人をイメージしてください。このレベルの場合には「自分で考えて行動すること」や「PDCAサイクルを意識した行動」のレベルには達していません。

レベル3:能動行動が行える候補者

「マニュアル対応+α」の行動を実施できる人です。言われたことだけを行うのではなく、その状況や提案に対して最適と思われる自身の考えや提案を加えることが可能です。ただし、対応範囲はマニュアル内に留まります。

レベル4:創造行動が行える候補者

「PDCAサイクルを通して、セルフマネジメント」が行える人です。この人材は、自身の考え方を伝えることはもちろん、困難とされていた条件や状況に働きかけることができます。その結果、上司や周囲に変化を促し、最終的には組織や団体の働き方にも変化を与えます。人材としての希少価値は高く、1000人に50人いるかどうかです。

レベル5:パラダイム転換行動が行える候補者

「PDCAサイクルを回すことは当たり前で、誰もが考えなかった新しい視点・方法でビジネスを提案できる」人材です。既存ビジネスにはない、新しいビジネスモデルの開発や提案が可能です。人材としての希少価値は相当高く、1000人に1人いるかどうかと言われています。

企業のカラーや運営スタイルによって「どのレベルの候補者を必要とするのか?」が変わってきます。企業が目指す方向によっては、決して獲得する人材の「レベルが高ければ良い」というわけではないのです。

経営者や役員が求める候補者のレベルと実務部隊が求めている候補者のレベルが異なる場合もあるため、企業内で求める人材のコンピテンシーレベルや行動特性のすり合わせが重要なのはいうまでもありません。

コンピテンシー面接で参考にしたい本

ここではコンピテンシー面接を実施する上で参考にしたい書籍を2冊紹介します。

コンピテンシー面接マニュアル

(弘文堂 川上 真史・斎藤 亮三著)

コンピテンシー面接のバイブルといっても過言ではない書籍です。コンピテンシー面接の背景をはじめ、コンピテンシー面接の捉え方や具体的な面接事例を紹介しています。面接者側がコンピテンシー面接時に気をつけたいポイントも紹介しています。

コンピテンシー面接について詳しく知りたい人はもちろん、企業内でコンピテンシー面接の導入を検討している人事・採用担当者には特におすすめの一冊です。

できる人、採れてますか?―いまの面接で、「できる人」は見抜けない

(弘文堂 川上 真史・斎藤 亮三著)

コンピテンシー面接マニュアルの著者である、川上氏と斎藤氏によって書かれた書籍です。この書籍では企業が10年後に必要とする人材像と従来型の面接の問題点、その問題を解決する方法としてコンピテンシー面接が有用である点などについて記載されています。

採用面接の現状と今後求められる新しいあり方やその方法について網羅的に説明されています。採用面接について幅広く考えたい、または全体を俯瞰した見方がしたい人事・採用担当者におすすめです。

まとめ

  • コンピテンシー面接では候補者の能力ではなく行動能力を評価できます。
  • コンピテンシー面接は客観的な評価が可能なため、企業内でもブレない基準を持った採用活動が可能となります。
  • コンピテンシー面接を成功させるには、企業が求める行動特性を担当者がしっかり理解することが必要不可欠です。

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