連載:第37回 総合
義務化により「人的資本経営」を重視する企業が急増、全体の7割に達する
2023年3月期決算から上場企業を対象に、有価証券報告書でのさまざまな情報開示が義務化されました。これには「人的資本」に関する項目も含まれており、推移が注目されています。人材を“資本”と捉え企業価値向上につなげるメソッドですが、実際2023年における情報開示の状況はどのようなものだったでしょうか?
「人的資本経営」を重視しているか
大企業が取り組んでいるのは「人材面での全社的な経営課題の抽出」60%
ProFutureの研究機関であるHR総研は、「人的資本経営・開示の現状」に関する調査を実施。企業の人事責任者・担当者221人が、さまざまな質問に答えています。
まず「人的資本経営」の重視度については、「重要だと認識している」36%が最多で、「やや重要だと認識している」33%と合わせて、重視派は69%に達しました。前年2022年の重視派は34%にとどまっており、この1年間でほぼ倍増したことがわかります。
重視している人材施策
また、主な人材施策である「パーパス浸透」「従業員エンゲージメント」「社員のキャリア自律」「社員のウェルビーイング」の4つについて、どれを重視しているかを聞くと、「重視している」の最多は「パーパスの社内浸透」30%ですが、「やや重視している」も加えると「従業員エンゲージメント」が上回りました。逆に「社員のウェルビーイング」は低いようです。
人的資本経営に取り組む目的(企業規模別)
さらに企業規模別で「人的資本経営に取り組む目的」を聞くと、大企業では「従業員エンゲージメント向上」67%、「採用力の強化」「生産性の向上」各52%なのに対し、中堅企業では「生産性の向上」59%が最多でした。さらに中小企業では「組織力の強化」59%が2位に入っており、重視ポイントが異なります。
経営戦略と人材戦略との連動の状況
そして具体的な取り組み内容を、全体と大企業で比較すると、大企業で「取り組み中」の割合がもっとも高いのは「人材面での全社的な経営課題の抽出」60%で、全体の37%を大きく上回りました。なお前年の調査では「経営戦略に対する意思決定への人事部門の関与」55%が最多でした。
“人を重視する企業経営”は、もともとさまざまな言葉で言われてきましたが、日本企業の人的資本経営は、今後さらに拡大していくことでしょう。
調査方法
調査期間:2023年4月17日~24日
調査方法:Webアンケート
調査対象:企業の人事責任者・担当者
調査人数:221人
プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000045.000041222.html
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