連載:第75回 総合
「人的資本調査2024」分析レポートが公開、戦略策定や情報開示に引き続き課題が残る


近年注目されている「人的資本」の考えですが、一般社団法人HRテクノロジーコンソーシアムでは、2022年より企業・団体等の取組状況について調査を開始。今回で3回目となる調査の結果を「人的資本調査2024」分析レポートとして公開しました。今回は206社が調査に回答しています。

もっとも取り組みが進んでいるのは「職場環境への投資」
この調査では「人的資本経営の推進」「人材戦略に基づく人的資本投資の実行」「データドリブンなPDCAサイクル」「戦略的開示と対話」の4つの大項目について分析を行っています。その結果、特に取り組みが進んでいるのが「職場環境への投資」(人材戦略に基づく人的資本投資の実行)だと判明しました。以下「経営戦略と人材戦略の連動」「企業文化への定着のための取組」(人的資本経営の推進)、「必要な人材の維持・獲得」「多様な人材が活躍できる仕組み」(人材戦略に基づく人的資本投資の実行)が高い数値を示しています。
一方、同じ「人的資本経営の推進」において「As is - To beギャップを踏まえた計画の作成」はかなり低く、「HRデータの収集と蓄積」「主要指標のシステム上での統合的可視化」(データドリブンなPDCAサイクル)なども進んでいない現状が明らかとなりました。
「人的資本の取組と財務指標の関連データ分析」について焦点を当てると、「検討できていない、あるいは検討を始めた段階である」が6割弱で、多くの企業が検討自体もできていない状況でした。
「人材ポートフォリオの充足に向けた目標設定や達成までの具体的計画」についても、「明確化ができていない」という企業が3割近くと低調です。
さらに「人的資本経営や開示で必要なKPIの可視化」については、「1年に1回程度」33%、「2~6か月に1回程度」45%と、8割近くが低頻度でした。こうしたポイントの見直しが人的資本の取り組みには重要でしょう。
調査方法
調査方法:HRテクノロジーコンソーシアム、MS&ADインターリスク総研、HR総研、人的資本と企業価値向上研究会による共同調査
調査期間:2024年8月27日~12月13日
有効回答:206件(うち、上場企業が83%)
プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000068849.html
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