連載:第20回 組織改革 その根幹
強制的に考えさせる施策が、社員の主体性を育んだ。トップダウンから自律型組織に至る20年
BizHint 編集部
2026年1月20日(火)掲載
「強いトップダウン型マネジメントのもと、仕事に対して受け身の社員が多かったですね。」株式会社コンピュータ技研 代表取締役の松井佑介さんは、社長就任前の組織をそう振り返ります。そんな状況に強い危機感を覚えた松井さんが踏み切ったのは、社員が自らの価値と強制的に向き合い、主体的に意思決定するための施策でした。結果、現在では挑戦が「当たり前」となり、現場からは多くのアイデアが生まれる自律型組織に。「小手先ではなく、根本を変えるべき」と語る松井さんが、組織の土壌を総入れ替えするために実現したこととは。詳しく伺います。
「受け身」の社員が多い組織に危機感。主体性を引き出すため、断行した施策
――松井さんが入社された当時について教えてください。
松井 佑介さん(以下、松井): 最初に、当社は1983年に父が創業した会社で、システムインテグレーションやソフトウェア開発などを手がけています。私は、2004年に入社しました。
当時は、 強力なトップダウン型のマネジメントでした。経営陣の発言力が非常に強く、現場が完全に萎縮していたんです。 会議では報告内容が悪いと強く叱責されることもあり、社員たちは失敗を恐れていて。仕事に対して受け身の社員も多く、私は当事者意識の無さに危機感を覚えていました。
何とか現状を変えたいと経営に関する本を読み漁り、良いと思ったものは上層部に提案。会社を変えるための勉強会を企画し、同世代の社員に声をかけることもしましたがうまくいかず……。仕事もまったく楽しめませんでしたね。
当時はコーチングを学んでいて、講師にまでそのことを相談していました。 ただあるとき、その講師に言われた一言に大きな衝撃を受け、自分の浅はかさを思い知ることになります。
――何と言われたのでしょう?
松井: 「そうでしょうね」と。そこから続けて 「だって、あなたはこれまでの人生で最終的な意思決定を自分でしていないでしょう」 と言われたのです。
一瞬「そんなはずない」と思いましたが、同時に涙があふれてきました。確かに自分で決めてきたようで、周囲に忖度しながら生きてきたのかもしれない。 人生のハンドルを他人に握らせてしまっていたのかもしれない……。 そのとき、主体的に生きてこなかった人間が、周囲に主体性を求めても伝わるはずがない。そして、自分で意思決定していない仕事が楽しくなるはずがないと確信しました。
その後、私はすぐに行動を変えました。 会議では経営陣の顔色を伺うのを一切やめ、「怒られてもいいから言いたいことを言う」「反対されてもやる」というスタンスに切り替えたのです。 新規事業開拓のため、未経験だった営業職にも名乗り出て、顧客との交渉も自ら行うように。 物事に主体的に取り組み、自ら意思決定して行動するうち、仕事が楽しくなりました。そしてこの気持ちを、社員たちにも感じて欲しいと強く思うようになったのです。
それで、少しずつ社員からの要望を実現するなど、組織改革も始めました。 社員の頑張りが正当に評価されるよう、それまで無かった人事評価制度も策定。しかし、年功序列の意識が染み付いた上層部は「まだ若いから」という理由で若手を評価しようとせず……。 優秀な人材が入っても数年で辞めていくことが続いていました。
しびれを切らし、2018年「これ以上、会社が変わらないのであれば、社員と共に退職します」と経営陣に独立宣言。これをきっかけに、私の社長就任が決まりました。そこで、私は組織の土壌を総入れ替えするような、ある施策を断行することを決意しました。 それは、「自分の人生のハンドルを自分で握る」という覚悟を、社員一人ひとりに求める仕組みであり、現在の社員たちの主体性を大きく育てる足がかりとなったのです。
――松井さんが断行された「施策」とは?
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バックナンバー (20)
組織改革 その根幹
- 第20回 強制的に考えさせる施策が、社員の主体性を育んだ。トップダウンから自律型組織に至る20年
- 第19回 会社から逃げた社長、社員の一喝で覚醒。100億目標に至る、挫折と再起の5年間
- 第18回 「指示待ち組織」を蘇らせたリーダー。社員の主体性を引き出すためにやめた、二つのこと
- 第17回 「指示待ち組織」を変えたリーダーが徹底した、二つのこと。トップダウンから主体性あふれる組織への軌跡
- 第16回 『何やってもダメ』と諦める組織を覚醒させたリーダーの信念。V字回復、自律型組織への15年