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連載:第1回 100億の壁 それぞれの突破法

勝ち筋を見つけた三代目。衰退産業にあった「2つの強烈な確信」

BizHint 編集部 2022年10月18日(火)掲載
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建設業を手伝おうと家業に戻ってきたのに…手伝わせてもらえない。静岡県三島市に本社を置く加和太建設株式会社の三代目社長・河田亮一さんは「建設業はもうダメ」という先代の一言から、全く別の赤字事業を推進し、既存社員からの多くの批判を浴びることに。しかし徐々に社員との関係性を築いていくと、今では「戦士」と呼ぶ自社の社員の素晴らしさに気付きます。そして彼らがより活躍できるよう人事制度の構築に着手。組織改革、事業の多角化などを進め、承継後の売上は100億を超えるまでに成長しました。今回は、経営者と社員の視点の違いや関係構築、自社の強みの見つけ方・活かし方について伺いました。

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加和太建設株式会社
代表取締役社長 河田 亮一さん

1977年静岡県三島市生まれ。中学卒業後、単身アメリカに渡る。一橋大学経済学部卒業後、リクルートに入社。その後、三井住友銀行勤務を経て、2007年30歳で加和太建設に戻る。2015年より現職。同社は2014年、経済産業省「がんばる中小企業・小規模事業者300社」に選定。2020年には、経済産業省「健康優良法人2020」に認定されている。


家業の建設業に戻るも、社長命令は「ピラティス」

――貴社の事業内容について教えてください。

河田亮一さん(以下、河田): 当社は、静岡県三島市で土木・建築事業を中心に、不動産、施設運営、さらには建設会社の生産性を高めるITシステム開発などを手がけています。設立は1946年、今年で76年目です。

――河田さんはなぜ家業に入られたのでしょう?

河田: もともと会社を継ぐ気はまったく無かったんです。中学卒業後に実家を出て、海外の高校に進学。大学卒業後もリクルートや三井住友銀行など、建設業とは違う仕事をしていました。

30歳ごろに「自分の会社を立ち上げたい」と考えていた時、(今の自分があるのは、父や家業のお陰)という感謝と、恩返しの気持ちが湧いてきました。そこで「親孝行したいから、数年間、会社を手伝う」と父に電話したんです。

その時点では「継ぐ」という思いはなく、自分勝手な言い方をすれば「恩返しとしての思い出づくり」ができればいいなと思っていました。父からは「わかった」とだけ言われ、静岡・三島に戻ってきました。

――家業に戻られて、何から始められたのでしょう?

河田: 入社後、 先代から「建設業界はもうダメだから、お前は新しいことをやれ」 と言われました。僕は恩返しとして家業の建設業を手伝いに来たつもりだったんですが、それ以外のことをやれと言われ、拍子抜けしてしまいました。「新規事業室」が作られ、そこに当時の常務と僕が入りました。

ただ、新事業について色々と考えてみても、アイデアがまったく浮かびません…。そして入社から1ヶ月経った頃、先代が「ピラティススタジオを立ち上げろ」と言ってきたんです。なんでも、朝の情報番組で「ヨガの次は、ピラティスが来る!」と紹介されていたとのことで。

――建設業を手伝いに戻ったのに、1ヵ月後にはピラティス…。

河田: 僕はそもそも「ピラティス」を知らなかったので、まず調べるところからです。そもそも何なのか、料金体系、インストラクター資格など。そして、事業計画を立ててみました。

すると、一番ハードルが低そうな月額・会員数で試算しても、三島やその周辺の人口を鑑みると事業成立は難しい…。ですので、「もし儲かってもこれだけです。集客できなければ、赤字です。止めませんか?」と先代に事業計画を持って行きました。

――先代社長の反応は?

河田: 「もう、やるって決めたんだ!」と。

聞く耳を持ってもらえず、止められないことを悟りました。そこで「僕はやるべきじゃないと思います。ただ…社長命令であれば従います」と伝えました。

まだ「親子」の気持ちが残っていたんでしょうね、僕の中で「これは社長と社員の関係性だから仕方がない」と割り切った提案をしました。すると「社長命令だ!」と。そうしてピラティス事業がスタートしました。

――他の社員の反応はいかがでしたか?

河田: 僕はピラティスがうまくいくかどうかより、社内の反発の方が不安でした。

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