連載:第3回 BizHintお悩み相談室
新卒採用の母集団のつくり方と内定者フォロー、どうすればよい?【BizHint HR お悩み相談室】
BizHint HRでは、読者の皆様の人事に関するお悩みの投稿を受け付け、ピックアップして回答差し上げています。
このコラムでは、いただいた投稿の中から、注目トピックについて編集し、掲載しております。
今回のお悩み
大卒採用で、会社説明会への動員数が少なく、いつも閑散としてしまいます。
入口の母数が少ないため、自社に合った人を採用することに苦労しています。
また、内定辞退者が多いことも大きな課題です。
どのようにすれば、優秀な学生との接点数が増え、内定辞退を防ぐことができるでしょうか?
BizHint HR 編集部からの回答
会社説明会の動員などの母集団の形成、内定辞退防止、いずれも新卒採用において、非常に重要な課題ですね。
今回は、「母集団の作り方」と「内定辞退を防ぐためにすべきこと」という観点で回答していきます。
どのように母集団を作るか
学生への認知を拡大する
会社説明会への集客については、こちらの記事にあるように、『採用はマーケティングである』との立場にたって考えていきたいと思います。
https://bizhint.jp/article/125847
今の説明会への参加が少ない状況を「応募が少ない」と読み替えると、記事中に記載のある通り、事前に採用ターゲットに「認知」を得ることが必要になります。
このフェーズの目的は「会社を知ってもらう」ことです。
そのための手法としては、例えば以下のようなことが考えられます。
- 学生とのつながりがある社員に優秀な学生の紹介をお願いする
- 大学の会社説明セミナーを回る
- 自社ブログなどで情報発信を行う
- FaceBookなどのSNSで企業ページを作成し、広告を出す。
これらは「接点を持つ学生数を増やす」ということに重きを置いた場合の母集団を作る王道と言ってもよいでしょう。
もし現在実施されていないことがありましたら、これらの施策を始められてみてはいかがでしょうか?
採用市場に出てこない学生をターゲットにする
学生への認知を広げる方法とは別に、「そもそも採用市場に出て来ない学生をターゲットにする」方法も存在します。
説明会に参加する学生は、複数の就活サイトに登録し、複数の企業との接点をもちながら就職活動を進める傾向にあります。
多くの企業ではその学生をターゲットとして採用活動が進められており、その結果、「一人の優秀な学生を複数の企業が獲りあう」という事象がよく発生しています。
一方で、就活サイトにも登録せず、部活や課外活動などの自分のやりたいことに打ち込んでいるため、就活市場に表れにくい学生も一定数存在します。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO98664940Z10C16A3000000/
この記事の中では、「体育会系の主将級の人材が、就活市場では余っているケースが多い」と紹介されています。
例えば、1980~1990年代、当時まだ知名度の低かったリクルート社でも就活市場に出てこない優秀な学生を徹底したリクルーター活動を行い、学生の採用を進めていたと言われています。
このように「多くの学生と接点を持ち、絞り込む」という発想から、「少数の優秀な学生を取採りにいく」という発想に転換してみるのも、有力な手段の一つです。
母集団形成手法のPDCAを回す
旧来は採用媒体といえばリクナビやマイナビ等、大手求人広告媒体を指し、基本的にこれらに出すことが採用活動における母集団形成と考えられていました。
しかし、昨今はダイレクトリクルーティングサービスやリファラルリクルーティングを始め、採用手法自体の多岐化や、採用媒体自体の多様化により、母集団形成のための選択肢も大きく広がってきています。
大前提として、自社が求める人物像を固めた上で、そうした人物にアプローチするための手法については、PDCAを根気よく回していく事が大切です。
PDCAを回す具体的な術としては、媒体や採用手法毎に費やした採用予算とそれにより採用に寄与した人数を定量的に測定・分析していくことであり、このような採用手法の分析ツールとして「採用管理システム」が注目されています。
「BizHint HR」編集部では、独自に調査を行い、採用管理システムの比較一覧を作成しましたので、母集団形成手段にPDCAを回していく上でお役立てください。
内定辞退を防ぐためにすべきこと
内定辞退を防ぐための原因と対策について、内定を出す時点と内定を出した後に分けて考えて行きたいと思います。
内定を出すときに、正しく訴求できているか
内定辞退が発生する原因の一つとして、内定を出すときに、候補者に響くように自社の魅力を伝えられていないケースがあります。
人間を行動パターンにより分類すると以下の4つに区分できると言われています。
- 「D」=主導型
- 「I」=感化型
- 「S」=安定型
- 「C」=慎重型
例えば、Dタイプの学生は、成果にこだわり、自らものごとを主導することを好むという特徴を持つため、いかに自社が自己成長のために挑戦ができる環境か、ということを訴求すると有効であるといわれています。
また、Iタイプの学生は、仲間意識が高く、明るく楽しい環境を好み、褒められることでモチベーションが向上するという特徴を持ちます。このタイプの学生には、いかに素晴らしい仲間がいるか、楽しい環境かを訴求すると良いとされています。
各タイプの詳細についてはこちらをご確認ください。
http://weban.jp/contents/an_report/repo_cont/pro/20101115.html
上記分類に基づき各タイプの学生に訴求できる自社のポイントを整理しておくだけでも、効果を見込むことができます。
ただし、自社の魅力を無理やり作り出すと、学生に「言っていたことと実態が違う」という感情を持たれ、逆に内定辞退につながりやすくなるので注意が必要です。
学生に語る魅力が見当たらない場合は、まず少しずつその魅力をつくる努力からはじめることをおすすめします。
内定を出した後に、正しくフォローできているか
内定を出した後に、納得した形で、内定者に入社してもらうのは採用活動において重要な課題です。
内定者フォローにおいて重要なのは、企業と学生が「お互いに理解を深め合うこと」です。
内定者懇親会など、形式ばったものでなくとも、面談を行い、不安に思っていることがあれば、時には社員と話す場をセッティングを行うなど、定期的にコミュニケーションしていくことが重要です。
例えば、東京のIT関連企業の間では、優秀な学生を各社が獲りあう様相を呈していますが、学生が不安を持っていれば、真摯に耳を傾け解決に向けて対応している企業が最後に採用に成功しています。
内定者フォローの具体的な方法についてはこちらの記事をご参照ください。
https://bizhint.jp/article/92492
最も重要なのは自社にとって採用成功を定義すること
今回は、「母集団の作り方」と「内定辞退を防ぐためにすべきこと」について考えてきました。
最も大切なことは「自社にとっての採用成功を定義すること」です。
例えば、採用市場に出て来ない学生をターゲットにする場合は、会社説明会は開く必要がないかもしれません。
どんな学生に入社してもらうことが自社にとっての成功なのか、ゴールを明確にすれば、母集団の作り方、内定出しやフォローの方法については自ずと答えが出てくるでしょう。
もし、採用活動がうまくいかない場合、原点に立ち戻るときっと答えが見つかるでしょう。
(BizHint HR編集部)
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