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連載:第10回 経営・SaaSイベントレポート2022

大人気マンガ『アオアシ』に学ぶ!「自分で考えて動ける人材」の育ち方。セルフマネジメントのヒント

BizHint 編集部 2022年7月27日(水)掲載
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変化が激しく将来の予測ができないVUCA時代。上からの指示に従っていれば成長していける時代ではなくなりました。組織のメンバー全員が自分で考え、唯一の正解ではなく最適解を求めて行動する「個」の力なくして、企業の成長はあり得ません。人材育成において必要なのは「自律型人材が育ちやすい環境を作る」こと。今回は、書籍『アオアシに学ぶ「考える葦」の育ち方: カオスな環境に強い「頭のよさ」とは』の著者であり、楽天創業期のメンバーである仲山進也さんに、「自分で考えて動ける人材」が育つ組織づくりについて伺います。

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仲山進也さん
仲山進也さん
仲山考材株式会社 代表取締役、楽天グループ株式会社 楽天大学学長

慶應義塾大学法学部法律学科卒業。シャープ株式会社を経て、創業期(社員約20 名)の楽天株式会社に入社。20年にわたって数万社の中小・ベンチャー企業を見続け支援している。

坂東孝浩さん
モデレーター
坂東孝浩さん
手放す経営ラボ所長

早稲田大学卒業。「管理しない」「誰もが意思決定できる」など最先端の組織や経営スタイルを研究。進化型組織のリサーチ数では(おそらく)日本一。また自社でも“手放す経営“を実践。身体を張った実証実験を行っている。

乾真人さん
モデレーター
乾真人さん
手放す経営ラボ研究員

「ごきげんな世界」を実現すべく、マーケティング、コーチング、NVC、チームビルディングの考えを融合させた進化型組織デザインプログラムDXOを開発。現在はDXOを使ってごきげんな組織作りを行う。

「不機嫌な状態」で判断すると、うまくいきにくい

坂東孝浩(以下、坂東): 仲山さんはこのたび、『アオアシに学ぶ「考える葦」の育ち方』を出版されました。サブタイトルが、『カオスな環境に強い「頭のよさ」とは』となっています。

仲山進也(以下、仲山): ビジネスの環境は変化が激しくなっていると言われますけど、そういう意味ではサッカーと似てきています。そこで、サッカー的な思考からヒントを得るため、人気サッカー漫画『アオアシ』を題材にしつつ、「自律型人材になるための考え方・やり方」を解説した本です。

坂東: 『アオアシ』は、プロサッカークラブの育成部門が舞台ですよね。

仲山: そうです。育成のコンセプトとして「思考力」や「言語化」が重視されているのが『アオアシ』の興味深いところです。「VUCA時代には自分で考えて動ける人材が大事だ」という話はよく聞きますけど、その割に「自分で考えて動くとは何をどうすることなのか」を説明できる人ってあまり見かけない気がしませんか。

坂東: たしかにそうかも。

仲山: そこで今回、 フレームワークとして「観察→判断→実行」ループを考えました。  僕は「楽天大学」という楽天市場出店者の学び合いの場を立ち上げて、20年以上、変化が速いEコマースの世界を観察してきたのですが、うまくいくのは「観察→判断→実行」を繰り返しながら試行錯誤を続けられる人なんです。

坂東: 「観察→判断→実行」ループを簡単に説明してもらってよいですか。

仲山: 「判断」を分解すると、「判断=価値基準×入力情報」と表現できると考えているのですが、よい判断をするためには、よい価値基準とよい入力情報(インプット)が必要になります。よい入力情報を得るには、観察力が大事です。人は「自分が見たいものを見ている」ので、いかに大事な視点を見逃さないようにするか、かつ解像度高く見ることができるか。それによって、よい選択肢を持てます。

「判断」とは、その選択肢を評価して、どれにするか決めることです。選択するための基準は「こっちのほうがよいだろう」という仮説によって決めることになります。

その仮説を試行し、検証します。そこから得られた学びをもとに、価値基準や視点をアップデートしていく。「実行」というと具体的なテクニックやスキルで解決できると思われがちですが、カオスな中では具体的なテクニックだけではうまくいかない場面も出てきます。なので、試行錯誤力とふりかえりが重要度を増します。

坂東: 「判断」のところに書いてある「不安・不機嫌でした選択はうまくいきにくい」って、たしかにそうですね。その下にある「判断するときはご機嫌(1.1)で!」の「1.1」というのは?

仲山: ふつうの状態を1.0、ちょっとご機嫌とかポジティブな状態を1.1、ちょっと不機嫌とかネガティブな状態を0.9と表現するとします。1.1な人と0.9な人が一緒に仕事をする場合、掛け算のイメージになると思うのですが、計算すると「1.1×0.9=0.99」になるんです。この世の中はダークサイドのほうが、パワーが強いという。

なので、もし職場のルールとして、「出社する際、少なくとも1.0な状態まで持っていくのは自分の仕事」という共通認識をつくれたら、お互いご機嫌に働きやすくなりますよね。

坂東: たしかに。(セミナーの)視聴者さんから「他者から指摘されると、自分が否定されたように感じて不機嫌になってしまうのですが、自分を変えるいい機会だと捉えるにはどう考えたらいいですか」という質問が来ています。いかがでしょうか?

仲山: スライドの「判断」のところに「解釈・評価・選択」と書いてあります。「他者から指摘された」という事実を0.9で解釈するか1.1で解釈するかは、常に自分で選択できます。ぼくは「人生の目的とは、1.1でいられる時間を増やすこと」だと思っているので、他人の指摘でいちいち0.9にさせられていてはもったいないと感じます。「どうやって自分を変える機会にできるかな」と考えてみて、いいアイデアを思いつけば1.1になれますし、思いつかなければスルーしてしまってもよいと思います。

あと、坂東さんたちが推進している組織づくりの意思決定の方法で「アドバイスプロセス」ってありますよね。

坂東: あります。 「こういうことをやりたい」という【意志】と、「それをやるならこうしたほうがよい」という【意見】を分けて意思決定するやり方 です。

仲山: どれだけ他人からアドバイスとして「意見」を言われても、実際にどうするか決めるのは「意志」を持った本人にある、というルールですよね。そういった共通認識を持てれば、指摘されても「アドバイスありがとう」と思うだけなので、1.1で過ごしやすくなりますね。

心理的安全性のある自律型組織は、偏りを受け入れる心理的柔軟性から生まれる

乾 真人(以下、乾): 書籍タイトルの『アオアシに学ぶ「考える葦」の育ち方』は、「育て方」ではなく「育ち方」になっている部分がポイントだと思うのですが、どうすれば「考える個が育つ組織」を作れるのか教えていただきたいです。

仲山: 「人を育てる」という表現がありますけど、他人は思い通りにコントロールできないですし、もし言うことを聞かせて「育てた」としても、相手からすると「育てられた」という受け身の形になると思うんです。受け身だから、「自分で考えて動ける人」にはなっていない。

そこで、 「人は育てられない」という前提に立って、「育ちやすい環境を作る」ことに注力する。環境はコントロールできますので。

人が育ちやすい環境をどう作るかを考えるには、「自分で考えて動く人はどうやって育っていくのか」という「育ち方」を理解することが大事です。そういう意味合いで本のタイトルを「育ち方」にしました。

乾: 「育ちやすい環境」というのはどういうものでしょう?

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