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連載:第65回 リーダーが紡ぐ組織力

「波風立てたくない」組織を変えたリーダー。社員の主体性を引き出すために貫いた「たった一つの指針」

BizHint 編集部 2025年10月30日(木)掲載
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合成樹脂製品の製造・販売を手掛ける萩原工業株式会社。同社は現在、現場から年間5,000件を超える改善提案が上がり、自ら考え行動できる社員が多い組織として知られています。また、離職率も3.3%と低水準を維持。しかし10年前、浅野和志さんが社長に就任する以前、組織の一部に深刻な課題がありました。現場では若手が意見を言えず、上司は部下の本音を聞き入れない状態……。そこに気づいた浅野さんは、組織をどう変えていったのか。その根幹には、ある気づきから生まれた「一つの指針」の貫徹がありました。詳しく伺います。

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「風通しが悪い」工場を変えた。部下の主体性を引き出すために貫いた、たった一つの指針

――製造業における人手不足の深刻化が叫ばれるなか、貴社は順調に組織を拡大されています。2024年度の離職率は3.3%と、かなり低い水準を記録されていますね。また、現場からどんどん意見が上がる主体性の高い組織としても知られています。

浅野和志さん(以下、浅野):おかげさまで、500人規模の企業ですが 離職率は0.76%という驚異的な数字を叩き出したこともありました。現在も「会社が嫌で辞めます」と言う人はほとんどいません。

もう一つの特徴としては、 社員から年間5,000件を超える改善提案が上がることです。 内容は、働く環境から、お客様を巻き込んだ作業プロセスの改善までさまざま。日々、挑戦を繰り返し進化しています。 以前と比べて、自ら考え動くことのできる主体性の高い社員が増えてきていると感じますね。ここ数年、売上は右肩上がりですが、社員の主体性が業績向上にも結びついていると思います。

――「以前と比べて」と言いますと、過去はどのような組織だったのでしょうか?

浅野: 前社長の組織づくりは正直で風通しが良く、家族的な社風を大切にしていました。私は長く本社勤務であったため、工場などの現場を含め、会社全体がそのような雰囲気だと思い込んでいました。ところが2014年、ある大きな工場に担当役員として赴任してみると、その現場は私の想像とは大きく違っていました。

――どう違ったのでしょうか?

浅野:一言で言えば「風通しが良くなかった」のです。

例えば、当時から改善提案を上げられる仕組みはあったのですが、工場からはほとんど出ていませんでした。それに対して上層部は「近頃の若手は何も意見を言わない」と困惑していた。一方で 若手に話を聞くと「正直に提案を出したら上司に怒られそう」「波風を立てたくない」と言うのです。

これには、驚きとともに大きな危機感を抱きました。 私は、社員が声を上げ、それに対して会社が行動し変化することの積み重ねで、組織の土壌ができると考えていました。逆に、土壌がなければ、人材が育ってもすぐに折れてしまう。 彼ら彼女らが抱えている課題や不満を胸にためこんでしまったら、会社は成長しないし、いずれ人材の離職にもつながるでしょう。

とにかく、彼らの本音を引き出さなければならない……。何をすればよいか思案していた時、経営コンサルタントである遠藤功さんの書籍に出会いました。そこに書かれていた 組織のあるべき姿に感銘を受け、組織づくりの「指針」としました。この指針こそが、社員の主体性を引き出すきっかけとなり、人が辞めない組織の礎となったのです。

――その指針とは、何だったのでしょうか?

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