連載:第7回 教育・官公庁
急激にオンライン授業にシフトした大学教育現場、いま注目すべき“3つのポイント”とは
2020年度の大学生のキャンパスライフは、コロナとともにスタートを切ることとなりました。そのため、始業式やオリエンテーションもなく、クラスメイトと顔合わせもないまま、自宅でオンライン受講といった学生も少なくありません。「大学のオンライン授業」は実施率97%にまで達していますが、急激な移行にともない、さまざまな問題も沸き上がっています。
大学教育現場におけるオンライン授業の実施率は97%、コロナ禍の影響で導入拡大
デジタル・ナレッジが運営するeラーニング戦略研究所の調査によると、大学教育現場におけるオンライン授業の実施率は97%。地域別では、東北(83.3%)、関東(95.3%)を除く他地域は、すべて100%に達しています。また東北の残り16.7%は「実施予定なし」とした一方で、関東の残り4.7%は「検討中」であり、東北が特異な状況となっています。
そこで「オンライン授業の導入時期」を見ると、「2020年2月以前」2.1%、「2020年2月以前」2.1%だったのが、「2020年4月」57.6%、「2020年5月」36.1%、「2020年6月」2.1%と、あきらかに新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、オンライン授業への移行が一気に進んでいます。
同調査では「オンライン授業の緊急導入」において、「(1)学生のICT環境不足」「(2)教員のオンライン授業への対応力」「(3)新しい大学教育の在り方」という3つの課題があると指摘しています。
(1)学生のICT環境不足
学生側のデジタル環境は、スマホすら持っていない・ネット環境がない学生から、パソコンを持っている学生・自宅回線を保持している学生まで多様であり、必ずしも均一ではありません。大学側がパソコンを貸与したり、独自のネット環境整備費を助成したりと、独自支援策を打ち出しているケースもあります。
(2)教員のオンライン授業への対応力
教員の側も、ネット環境はさまざまです。大学がスタジオ的な撮影・配信できる場所を用意する場合もありますが、基本は自宅などからの講義というケースが多いようです。これまでの講義と異なる形式で、毎回の課題を用意する負担もあります。さらに、オンライン授業という通常の講義とは異なるスキルや工夫に対し、教員の対応力が問われることとなってしまいました。
(3)新しい大学教育の在り方
そして大学側が、どういった支援策を学生側・教育側に用意するかも問われています。付け焼き刃的にコロナ禍を乗り切ればいい、というわけでなく、今後定着するであろう「オンライン教育」について、大学としてどう向き合うのか、そこでの成果をどう評価するかなど、“新しい教育の在り方”を大学が示す必要があります。
そして、大学だけではなく、小中高校でもオンライン教育は急速に広まっており、一気通貫したシステムや評価基準、さまざまなノウハウの共有について、今後政府主導での指針策定などが求められるでしょう。
調査方法
調査概要:新型コロナウイルスの感染拡大を受けて2020年前半に緊急導入された、大学におけるオンライン授業の現状と課題を調査
調査期間:2020年6月4日~8日
調査方法:Webアンケート方式
調査対象:全国の大学職員・教員
調査人数:100人
プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000503.000012383.html
https://www.digital-knowledge.co.jp/archives/22832/
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