連載:第6回 IT・SaaSとの付き合い方
成長する組織で広がる経営層と現場のギャップ、埋める秘訣はお互いの○○を知ること
会社の規模が大きくなると、経営側と現場の社員側とで、仕事の認識がずれてくることも多々ありますよね。けれど仕事で困ったとき、お互いのことを何も知らないままだと相談しづらいもの。そんな状況下で情報を共有し合いながら、安心して働くためにはどうしたら良いのでしょうか。プラスアルファ・コンサルティングで経営側を担う鈴村 賢治さんと、現場側で活躍する玉澤 佳帆さんに、それぞれの立場で仕事をして見えてきた理想的な情報共有のあり方について聞きました。
株式会社プラスアルファ・コンサルティング
取締役副社長 タレントパレット事業部 事業部長
鈴村 賢治さん
中央大学理工学部卒業後、野村総合研究所を経て、2007年に同社入社。タレントマネジメントシステム「タレントパレット」を企画。データを活用した科学的人事を推進。著書に『「科学的」人事の衝撃』(東洋経済新報社・2019)がある。
タレントパレット事業部 新機能差別化開発グループ グループマネージャ
玉澤 佳帆さん
大学卒業後、2016年に同社入社。新規事業でデータ解析・分析のコンサルタントを務めてから、タレントパレットの開発部門へ異動。IM(イマジニア)として、新機能開発や顧客目線での機能改善に携わる。
コンサルティング経験から機能を進化、キーパーソンは「イマジニア」
鈴村 賢治さん(以下、鈴村) : 当社はもともと、ビッグデータの分析や、その活用支援を行う会社 です。企業が収集しているSNSのクチコミやアンケートの自由記述欄には、文章データが大量に含まれていて、自社に必要な情報を探し出すのは大変ですよね。そこでテキストマイニングという手法を使って、価値のある情報を発掘するサービスを提供しています。
HR領域に参入する前から、当社はデータマーケティングツール「CustomerRings(カスタマーリングス)」を提供していました。10年前のマーケティングでは、すべての顧客に同じメールマガジンを一斉送信していて、必ずしも要望に合った情報は届けられませんでした。そこに自社の技術を活かせると目をつけ、顧客のデータを分析し、個別にメールマガジンの内容を変えて配信を行うツールを開発したのです。
カスタマーリングスを展開するうちに、 ITを活用して顧客をとことん理解する「顧客の見える化」の発想は、人材難の時代における社員の相互理解にも活かせるのではないか と考えました。そうして対象となるデータを「顧客」から「社員」に置き換えることで「Talent Palette(タレントパレット)」が生まれました。世の中のITベンダーは「新たな技術を開発したから、使い道を見つけるためにサービスを作りたい」という技術先行型が多いと思います。当社は逆の発想で、コンサルティング経験からサービスを考えていることが強みです。
玉澤 佳帆さん(以下、玉澤) :その当社の発想の表れが、開発チームに「IM(Imagination Engineer)」と呼ばれる社員がいるところです。IMは、PM(Project Manager)のように進捗管理をするだけでなく、 コンサルティング経験をもとにクリエイティブ性を持ちながら、お客様の要望にそった機能へ進化させていく 役割を担っています。
私はIMに異動する前はコンサルタント担当だったのですが、お客様から聞いた要望を社内へ持ち帰って、開発チームが新機能を完成させるまでのスピード感に感動していました。経験したことが直接サービスにつながっていく過程が面白くて、自分も開発の輪に加わりたくなったのです。エンジニアやデザイナーではないからこそ技術的な制約にとらわれず、お客様の要望に本当に応えられるかどうか、責任をもって判断できるのですよね。
カスタマイズをしなくてもすべてのお客様が使える「汎用機能」でリリース
鈴村 :これまで、人事システムといえば、効率化の名のもとに部分最適化された業務管理システムでした。採用、人材育成、評価、人事管理……個々の業務は効率化されるけれど、社員のデータ自体は別々のシステムで「管理」されていたのです。そのため、意思決定の材料としてデータを活用するには、いちいち手作業でデータを統合していました。
他方、タレントパレットは人事データに加えて、評価、スキル、適性検査、モチベーションなどのエモーショナルなデータまで一元的に蓄積できます。ポイントは、 あらゆる社員データと機能をつなげて「見える化」し、経営層、現場の部門長、現場の社員が最終的な意思決定に集中できるような仕組み であることです。
鈴村 :目の前にいるお客様にとっての使いやすさを考えると、個々の要望に合わせて機能をカスタマイズしていく発想になりがちです。しかし、タレントパレットは 新機能はカスタマイズでなく、すべてのお客様が使える「汎用機能」としてリリースする 方針をとっています。開発の方針を決めたきっかけは、まだお客様が少なく機能も追いついていなかった時期にまで遡ります。
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