連載:第2回 よくわかる補助金・助成金 創業
起業前に確認 補助金受給のための条件とは
起業するぞ!と決めたあとには、会社を作って口座を作って…と色々と準備が必要になります。決めたからには今すぐにでも事業を始めたい、その気持ちはよく分かりますが、ちょっと待ってください!起業時に受けられる補助金や助成金・その他優遇制度の中には、起業前に準備をしておかないと対象外になってしまうものがあります。 今回は、これから起業に向けた準備をされている方に向けて、事前準備が必要な補助金等の概要と具体的な内容についてまとめました。
1. 登録免許税が減免!特定創業支援事業による支援を受けて会社設立
皆さんご存知のように、事業のスタートラインに立つ準備、つまり会社を設立するのにもお金がかかります。
最低限かかる費用は以下の通りです。
①定款の認証手数料:50,000円
②定款の謄本手数料:2,000円
③設立にかかる登録免許税:150,000円
まだ収入が無い中で、なんと202,000円ものお金が必要になります。これら手続きを行政書士や税理士にお願いする場合は代行手数料が必要になり、その他、実印の作成代や登記簿謄本の発行代など、とにかく出費が止まりません。
今まで挙げた費用の中で一番「高い」ものは、③設立にかかる登録免許税です。大半を占めるこの費用が、少しでも安くなると助かりますよね。
実は、半額になる方法があります。
その方法・条件は、
①産業競争力強化法に基づく認定を受けた市区町村で起業し
②特定創業支援事業による支援を受けた上で会社を設立すること
です。
まず①については、ご自身の起業地域が該当となるかどうかを、以下からお調べいただけます。
つづいて②については、創業支援のセミナーを受講したり創業相談をするなどして支援を受けることです。どのようなセミナーや相談が該当するのかは市町村が規定しておりますので、先ほどのリンクからご自身の地域を検索し、お調べいただければお分かりになるかと思います。
起業後に制度を知って手遅れ、とならないように、起業前にチェックをお願いします。
2. 起業と同時に人を雇うなら!中途採用等支援助成金
ここでは、起業してすぐに従業員を雇い入れる計画がある方へ、雇用の前に是非確認しておいていただきたい制度になります。こちらも手順を踏まないと対象外、となってしまいますので、しっかりと準備をしておきたい制度となります。
(1) 生涯現役起業支援コース
あなたの年齢が40 歳以上であり、起業とともに3名以上の従業員を雇い入れる計画がある場合、この助成金の対象となる可能性がおおいにあります。
概要
事業運営のために必要となる従業員の雇入れを行う際に要した、 雇用創出措置(募集・採用や教育訓練の実施)にかかる費用の一部を助成するもの。
※上記以外にも、雇用創出措置助成分の助成金の支給を受けた後、一定期間経過後に生産性が向上している場合に、別途生産性向上にかかる助成金を支給するものがあります。
受給要件
厚生労働省ホームページには以下のような受給要件が記載されています。 なお、太字の部分については事前の準備が必要なものになりますので、特に注意が必要です。
1 起業基準日から起算して 11 か月以内に「生涯現役起業支援助成金 雇用創出措置に係る計画書」を提出し、都道府県労働局長 の認定を受けていること。
2 事業継続性の確認として、以下の4事項のうち2つ以上に該当していること。
a.起業者が国、地方公共団体、金融機関等が直接または第三者に委託して実施する創業に係るセミナー等の支援を受けていること。
b.起業者自身が当該事業分野において通算10年以上の職務経験を有していること。
c.起業にあたって金融機関の融資を受けていること。
d.法人または個人事業主の総資産額が1,500万円以上あり、かつ総資産額から負債額を引いた残高の総資産額に占める割合が40%以上あること。
3 計画期間 内( 12 か月以内) に、対象労働者を一定数以上(※)新たに 雇い入れること。
※60歳以上の者を1名以上、40歳以上60歳未満の者を2名以上または40歳未満の者を3名以上(40歳以上の者1名と40歳未満2名でも可)
4 支給申請書提出日において、計画期間内に雇い入れた対象労働者の過半数が離職していないこと。
5 起業日から起算して支給申請日までの間における離職者の数が、計画期間内に雇い入れた対象労働者 の数を超えていないこと。
など 「生涯現役起業支援助成金 雇用創出措置に係る計画書」の提出時期が起業基準日から起算して 12 か月を超えてしまうと対象外となります。
その他の受給要件に該当する方は、事前の準備をしっかりするようにしましょう。
補助額
最新情報の入手先
令和に入ってから制度に変更がありました。以下のサイトから最新情報を確認するようにしてくださいね。
(2) UIJターンコース
あなたが東京からの移住者を従業員として雇い入れる計画がある場合、この助成金の対象となる可能性がおおいにあります。
概要
東京圏からの移住者を雇い入れた事業主に対し、その採用活動に要した経費の一部を助成するもの。
受給要件
厚生労働省ホームページには以下のような受給要件が記載されています。 なお、太字の部分については事前の準備が必要なものになりますので、特に注意が必要です。
1 採用活動に係る計画書を事業所の所在地を管轄する労働局に提出し、労働局長の認定を受けていること
2 計画書に定めた計画期間(※1)内に、次の(1)または(2)の採用活動を行っていること
(1)募集・採用パンフレット、自社ホームページ等の作成
(2)就職説明会等の実施 3 地方創生推進交付金(移住・起業・就業タイプ)を活用して地方公共団体が実施する移住支援事業を利用した東京圏からの移住者を雇い入れること
こちらは事前に計画書を作成し提出するだけではなく、採用活動を行っていることも要件となります。知っておけばやっていたのに…とならないよう、事前に知っておくことが重要ですね。
補助額
最新情報の入手先
こちらも同じく令和に入ってから制度に変更がありました。以下のサイトから最新情報を確認するようにしてくださいね。
3. 個人事業主も対象!小規模事業者持続化補助金
あなたが現在個人事業主として活動されていて、虎視眈々と起業(法人成り)をするチャンスを伺っているのでしたら、必見です。小規模企業が申請できる補助金として知名度の高い小規模事業者持続化補助金ですが、個人事業主でも申請できることをご存じでしたでしょうか。つまり、起業を待たずして個人事業主の間に補助を受けられるのがこの持続化補助金です。
(1)概要
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓や生産性向上のための業務効率化を行うために取り組んだ費用について補助が受けられるものです。 合わせて、補助金を申請する際には商工会議所や商工会の指導を受けられるため、売上を安定させてゆくゆくは法人化を、と考えられている方にはありがたい制度と言えます。
対象者
以下に該当する小規模事業者
(1)卸売業や小売業の方:常時雇用の従業員が5人以下
(2)サービス業(宿泊、娯楽業以外):常時雇用の従業員が5人以下
(3)サービス業(宿泊、娯楽業の方):常時雇用の従業員が20人以下
(4)その他製造業の方など:常時雇用の従業員が20人以下
補助率と補助額
補助率:3分の2
補助額:50万円(複数で共同して事業に取り組む場合には100万円~500万円)
最新情報の入手先
例年、以下のサイトで発表されるので、発表をお待ち下さい。
4.まとめ
いかがでしたか。事前に準備が必要なこれらの制度は、知らずにいて後で知ったとしても、手遅れだったってことになってしまいます。後々後悔する前に、ご自身にマッチする制度がないかまずはチェックしてみてくださいね。
(執筆)
株式会社プロデューサー・ハウス 花岡貴志
中小企業診断士
ファイナンシャルプランナー
宅地建物取引士
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